AMDの次世代CPU「Zen 6」に、電力や温度の上限に達した際も、ゲームが使用しているコアのクロックを維持する仕組みが搭載される可能性があることが明らかになりました。
Zen 6が狙うのはピーククロックではなく最低フレームレート
Zen 6の電力管理を巡っては、今年3月にコアごとに性能の下限を設定する機能「CPPC Performance Priority」のLinuxカーネル向けパッチがAMDのエンジニアから投稿され、5月には各コアの実クロックをOSへ直接通知する仕組み「CPPC HighestFreq」が提案、6月には低電力コアがLinuxカーネルに登録されており、OS側の足回りの整備が段階的に表に出てきていました。
こうした流れの中で今回、コア単位のEPP BoostとPQOS拡張という2つの機能が加わることが分かりました。
Ryzen向けオーバークロックツール「HYDRA」の開発者として知られる1usmus氏によると、Zen 5を含むAMD製CPUには、EPPと呼ばれる、性能重視か電力効率重視かを決める値をコア単位で切り替える機能があります。ただ、現状はゲームのスレッドがGPUやほかのスレッドを待つ間にコアがクロックを落とし、その後の復帰が間に合わなくなる問題があるとのことです。これに対してEPP Boostでは、動作中のコアだけを一時的に性能重視モードへ切り替えることで、CPU全体を最大性能で動かすことなく、クロック低下を防いで性能を引き上げられるとのことです。
ただし、この仕組みはCPUの最大クロックを引き上げるものではなく、効果が表れるのは、電力や温度の上限に達した後にどのコアから絞るかという場面です。恩恵は平均フレームレートよりも、最低フレームレート(1% Low)の落ち込みを抑える形で表れるとのことです。
省電力性能に特化を当てたパッチが先行
もう1つのPQOS拡張は、バックグラウンドタスクが使用するスレッドに対して、利用できるメモリ帯域に上限を設定する仕組みですが、AMDが公開している技術資料では、複数のワークロードが同居する仮想化環境などを想定した機能として説明されています。そのため、デスクトップ向けRyzenなどで、ゲーム中のバックグラウンドタスクに対するメモリ帯域幅の抑制などに使える保証は、現時点ではないと考えられます。ただ、導入されれば、ゲーミング時の性能や安定性向上につながる可能性があります。
これらの機能はOSが実際に利用して初めて効果が出ますが、対応パッチはいずれもLinux向けが先行しており、Windowsで恩恵を受けられる時期はMicrosoft側の実装次第です。ただ、導入されればゲーミングに加え、一般的なアプリケーションでも性能や安定性に好影響を与える機能とも言えます。さらに、発売時期も2027年とされており、発売までまだ時間があるため、これらの機能がWindows 11でもサポートされる可能性は低くなさそうです。


