Appleはカメラ搭載AirPodsを2027年に発売する計画とされていますが、同製品がカメラをどのように活用するのかなど、一部の情報がmacOSに含まれている非公開のフレームワークから判明しました。
左右のカメラが同じ場面を2方向から捉え、Siriの目として働く
カメラ搭載AirPodsは、AirPods Proに小型のカメラを組み込み、周囲の状況をSiriへ伝える「目」を持たせる構想で開発されてきた製品です。8月17日にはmacOS Tahoe 26.7のリリース候補版からデモ映像が見つかりましたが、デモ映像に映っていた機種は投入中止となり、カメラ搭載AirPods自体の投入も2027年へ先送りされる見通しが伝えられています。
今回の仕様が見つかったのは、同じmacOS Tahoe 26.7に含まれる「AccessorySensorManager」という非公開のフレームワークで、Macに接続されたAirPodsのセンサーデータを管理するものです。MacRumorsフォーラムの投稿者mactracker氏の解析によると、コード上は左右のイヤホンがそれぞれ個別のカメラセンサーを持ち、同一のフレームIDが付いた最大1メガピクセルの同期済みRGB静止画を返すとのことです。これによりVisual Intelligence(目の前のものについてSiriに尋ねる機能)は、同じ場面を2つの角度から受け取ることになります。
撮影されるのはVisual Intelligenceが処理するための内部的な静止画で、写真として保存したり動画を録画したりすることはできないとのことです。撮影モードはアクティブとパッシブの2種類で、アクティブは640×640で取り込んで処理後に1024×1024を返し、パッシブは320×320で取り込んで320×320または512×512を返しますが、これらは撮影時の解像度設定で、物理センサーの実解像度はより大きい可能性があるとされています。
頭の動きを前提にしたパッシブモードの環境認識
パッシブモードはユーザーの操作を待たずに動くモードとみられ、フレームワークは撮影のきっかけになりうる状況として、周囲の発話や物音の変化、装着者の姿勢の変化や頭の回転、決められた範囲の外への移動を挙げています。そのため周囲から見れば、装着者が何もしていない場面でも撮影が走りうることになりますが、これらの条件すべてが実際に撮影を起動するかまでは、コードから判断できないとmactracker氏も説明しています。
こうしたバックグラウンドでの撮影では、頭部とともに動くカメラは歩行や振り向きで揺れ続けます。フレームワークはこれを前提に、レンズの歪み補正や左右カメラどうしの校正、カメラとモーションセンサーの間の校正を備え、動きが大きすぎた画像や視界が遮られた画像を破棄する処理まで用意しています。
撮影中を周囲に知らせるライトと本体側での人物検出
コードにはインジケーターとその輝度を遠隔制御する仕組みも含まれており、静止画の撮影中であることを周囲に知らせるライトがカメラ付きAirPodsには搭載されるとみられます。加えて、AirPods側での推論(peripheral inference)として、人物が視界にいるかどうかの判定も挙げられています。このような機能が実装される背景には、AppleがスマートグラスでもMeta製品を巡るプライバシー批判を踏まえて発表を2027年へ延期しているように、カメラ搭載を巡る批判を避ける設計へ寄せていることがうかがわれます。特にAirPodsはスマートグラス以上に小さく、カメラの存在が分かりにくいため悪用される懸念も十分あります。
カメラ付きAirPodsのうち、2026年内に発売予定だったモデルは発売中止となっているため、ここで判明した仕様が2027年の新世代へそのまま引き継がれるとは限りません。ただ、ユーザーが自由に写真や動画を撮影できない仕様やインジケーターの搭載は、2027年に発売予定の製品でも引き継がれる可能性があり、主にAI用途でカメラが活用される公算が大きいとみられます。


