DRAM大手3社のサムスン・SK Hynix・Micronが、次世代メモリ規格となるDDR6の開発を本格的に始動した模様です。商用化は2028〜2029年頃が見込まれています。
DDR6開発が大手3社で本格始動。基板メーカーへの共同開発要請が始まる
韓国メディアThe Elecの報道によると、サムスン・SK Hynix・Micronの大手3社がDDR6に関する開発を始動しており、基板メーカーに対しても共同開発を進めるよう要請が行われているとのことです。基板業界の関係者は「メモリ各社と基板メーカーは、製品投入の2年以上前から共同開発を進めるのが通例で、DDR6の初期開発は最近始まった」と述べています。なお、現時点でDDR6モジュールを公開・展示したメーカーは存在せず、最終的なスペックや投入時期はメモリ各社の正式アナウンスを待つ必要があります。
速度は最大17.6Gbpsの見通し。AIデータセンター向けが先行
DDR6の速度は、初期段階で8.4Gbps程度から始まり、プロセスの成熟に伴い最大17.6Gbpsまで引き上げられる見通しです。現行のDDR5はJEDEC標準で4.8Gbpsからスタートし、当初上限の6.4Gbpsから後に8.8Gbpsまで拡張されているため、DDR6はDDR5の初期速度の約1.75倍からスタートし、最終的にはDDR5標準速度の約2倍以上に達する計算となります。
また、低消費電力モデルとなるLPDDR6では1.0V未満での動作が想定されており、容量面でも現行のDDR5から大幅に拡張されるとみられています。
JEDECは2025年にLPDDR6規格を発表しているほか、最近では512GB容量のLPDDR6 SOCAMM2モジュールの仕様も公開しており、AIデータセンター向けの規格策定が先行しています。実際、AIサーバー向けには既にLPDDR5/Xを採用したSOCAMM2が標準化されつつあり、DDR6世代でもデータセンター向けが先行投入される展開となりそうです。AIデータセンター向けが先行する展開はDDR5の時にも見られたパターンですが、DDR6ではSOCAMM2のような新フォームファクターも含めてサーバー向けに最適化された規格策定が進んでおり、コンシューマー向けへの恩恵が遅れる形が一段と強まっています。
なお、規格策定が行われても製品に反映されるのは若干遅れるのが通例であるため、DDR6に対応できるサーバー向け製品はAMDはZen 7世代のEPYC Verano、Intelは早くてもCoral Rapidsなどになるとみられています。
また、コンシューマー向けにDDR6が普及するのは、AMD向けではソケットAM6へ移行が噂されるZen 8 Penelope(ペーネロぺ)が2030年、Intelでは2031年以降に登場するCPUから対応すると考えられるため、コンシューマ向けにDDR6が本格的に普及するのは早くても2030年以降になるとみられています。
DDR5供給逼迫の長期化が背景に
DDR6開発が前倒しで進む背景には、AI需要によるDRAM供給逼迫が長期化していることがあります。サムスンとMicronは既に、メモリ供給の制約が数年単位で続くとの見解を示しており、特に2027年は2026年よりもさらに需給が悪化する見通しです。サーバー向けメモリ市場では現時点でDDR5が80%以上のシェアを占めており、年内には90%まで拡大する見通しですが、AI企業は単一サプライヤーに依存せず複数のDRAMメーカーから調達してもなお必要量を確保できない状況が続いています。
DDR6の開発前倒しは、AI需要によりDRAM各社が次世代規格への投資を急がざるを得ない状況にあることを示しており、メモリ業界がコンシューマー向け需要よりもデータセンター向け需要を優先する姿勢がより鮮明になっているといえます。

