2020年期待のCPUでもある『Zen 3』こと、第4世代 Ryzenシリーズですが、AMDの四半期決算にて『開発は順調に進捗中で2020年内に発売する』と発表がありました。ここでは、海外のリーク情報などで挙がっている第4世代Ryzen『Zen 3』の情報をまとめて紹介します。
Zen 4に関する概要が判明
5nm『Zen 4』RyzenはIPC25%向上へ。性能は『Zen 3』より40%増し
Ryzen『Zen 3』の最新情報一覧
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第4世代 Ryzen「Zen 3」の基本情報ついて
現行の第3世代Ryzen(Zen 2)の次期型に当たる第4世代Ryzen(Zen 3)ですが、コードネームはデスクトップ版はVermeerと呼ばれています。
少し勘違いしやすいのが、世代と(ZenX)の番号が合わない点です。これは、第一世代Ryzenでは(Zen)、その次に第二世代Ryzenが出た際に(Zen+)となったため世代に対してZen世代-1の状態になっています。
デスクトップ版『Zen 3』Ryzen 5000シリーズは2020年11月5日に発売済み
AMD Reports Q2 2020 Earnings: Notebook and Server Sales Drive a Record Quarter
7月28日に発表されたAMDの第二四半期決算発表にて、AMDのCEOであるLisa Su氏による新製品に関する発表がありました。それによると、AMDのコンシューマー向け製品開発は順調に進んでおり、Zen 3及びRDNA 2製品は予定通り2020年下旬に発売する予定と発表しています。
その発表通り、AMDは『Zen 3』Ryzenは10月8日に発表し、Ryzen 5、Ryzen 7、Ryzen 9を11月5日に発売します。
発売済みのデスクトップ向けラインアップ
11月5日に登場する段階では、16コア、12コア、8コア、6コアの4種類が登場します。現時点では、すべてのモデルで末尾に『X』が付く高性能モデルとなる予定です。
コア数は現行と変らず、定格クロックとブーストクロックは若干向上されています。一方でTDPに関しては『Zen 2』と据え置きとなっています。
スペック/ラインアップ | Ryzen 9 5950X | Ryzen 9 5900X | Ryzen 7 5800X | Ryzen 5 5600X |
コア / スレッド | 16 / 32 | 12月24日 | 8月16日 | 6月12日 |
ベースクロック | 3.4GHz | 3.7GHz | 3.8GHz | 3.7GHz |
ブーストクロック | 4.9GHz | 4.8GHz | 4.7GHz | 4.6GHz |
L2キャッシュ合計 | 8MB | 6MB | 4MB | 3MB |
L3キャッシュ合計 | 64MB(32MB+32MB) | 32MB | ||
CCD有効コア数と数 | 8コア有効CCD x 2 | 6コア有効CCD x 2 | 8コア有効CCD x 1 | 6コア有効CCD x 1 |
オーバークロック | 対応 | |||
製造プロセス | TSMC 7nm FinFET | |||
ソケット | AM4 | |||
PCI Express | PCIe 4.0 | |||
TDP | 105W | 65W | ||
最大メモリ速度 | DDR4-3200 | |||
付属クーラー | 非同梱 | Wraith Stealth | ||
内蔵GPU | なし |
CES2021で登場したデスクトップ版『Ryzen 5000』シリーズ
GPU非内蔵のデスクトップ向けRyzen 5000
モデル名 | コア / スレッド | ベースクロック | ブーストクロック | L2キャッシュ | L3キャッシュ | TDP | 価格 |
AMD Ryzen 9 5900 | 12月24日 | 3.0 GHz | 4.7 GHz | 8MB | 64 MB | 65W | OEM向けのみ |
AMD Ryzen 7 5800 | 8月16日 | 3.4 GHz | 4.6 GHz | 4MB | 32 MB | 65W | OEM向けのみ |
2020年11月8日に発売されたRyzen 5000シリーズでは末尾『X』のモデルのみ登場しましたが、CES 2021で無印版のRyzen 5000シリーズであるRyzen 9 5900とRyzen 7 5800が発表されました。このモデルではベースクロックとブーストクロックがRyzen 9 5900XやRyzen 7 5800Xに対して引き下げられたモデルとなっています。
そのため、性能面では若干低くなっていますが、PBOを有効にすると末尾『X』モデルと同等の性能を発揮する事が確認されています。
AMD Ryzen 7 5800は5800Xと同等の性能。シングルコア性能もPBO有効化で挽回可能 – ギャズログ | Gaz:Log
ただし、残念ながらこのRyzen 9 5900とRyzen 7 5800はOEM向けのみの販売になっておりコンシューマー向けには販売がされない模様です。
パフォーマンス
『Zen 3』世代のRyzenでは、電力効率向上がメインテーマで開発を進められており、それに伴いアーキテクチャーも刷新されています。
特に、大きな変化としてはCCX(Core Complex*)が8コア化され、これによりレイテンシーが大幅に低減されています。
この変更によってIPCは19%程度向上し、Cinebench R20ではシングルコアスコアは600pt越えの631ptを発揮しています。このスコアはIntel Core i9 10900Kの540ptを大幅に超えており、Intelが第10世代Coreシリーズのアドバンテージとして挙げられていたシングルコアパフォーマンスの優位性は失われたことになります。
これにより、ゲーム時のパフォーマンスは主要なゲームでIntel Core i9 10900Kに対して-3%~21%発揮するとAMDが公式発表しています。
『Zen 3』Ryzen 5000シリーズの価格帯
『Zen 3』世代の価格帯は『Zen 2』世代に対して50~100ドル程度(日本円にして6000円~12000円)値上がりします。これは『Zen 2』世代ではIntelに対してシングルコアパフォーマンスが低いというハンディキャップがあったものの、『Zen 3』ではIntel以上のパフォーマンスを叩き出しています。
そのためAMDとしては多少の値上げを実施しても十分勝負が出来ると踏んでか、多少の値上げがされています。
モデル | 価格($) | 値上げ幅($) |
Ryzen 9 5950X | 799 | 100 |
Ryzen 9 3950X | 699 | Base |
Ryzen 9 5900X | 549 | 50 |
Ryzen 9 3900X | 499 | Base |
Ryzen 7 5800X | 449 | 50 |
Ryzen 7 3800X | 399 | Base |
Ryzen 5 5600X | 299 | 50 |
Ryzen 5 3600X | 249 | Base |
対応マザーボード
対応ソケットはオリジナルの『Zen』から変わらずソケットAM4を採用しています。
一方でマザーボードは500シリーズ以降であればBIOSアップデートのみで『Zen 3』CPUを載せる事が可能で、一部の400シリーズマザーボードでも一部機能やパフォーマンスが制限される可能性があるものの対応は可能との事です。
モバイル向け『Zen 3』Ryzen
モバイル向けRyzen 5000シリーズはCES 2021にて発表がされ、デスクトップ向けRyzen 5000シリーズと同じくCCD内のコア全てがアクセス可能なL3キャッシュが搭載されます。これにより高いIPCを発揮すると同時に、より低消費電力にもなっておりバッテリー持続時間が伸びる事が期待されています。
モバイル向けRyzenですが、CES 2021にて発表はされたもののいつ頃から出荷されるのかについては明確にはされていませんでした。しかし、決算発表などの資料から推察すると遅くとも2021年3月中には出荷が開始されると見られています。
モバイル向けRyzen 5000『H』シリーズ(主にゲーミングラップトップ向け)
モデル名 | コア / スレッド | ベースクロック | ブーストクロック | L3キャッシュ | グラフィックス | TDP |
Ryzen 9 5980HX | 8C / 16T | 3.30 GHz | 4.80 GHz | 16 MB | 8 CUs (512 SP) | 45W+ |
Ryzen 9 5980HS | 8C / 16T | 3.00 GHz | 4.80 GHz | 16 MB | 8 CUs (512 SP) | 35-45W |
Ryzen 9 5900HX | 8C / 16T | 3.30 GHz | 4.60 GHz | 16 MB | 8 CUs (512 SP) | 45W+ |
Ryzen 9 5900HS | 8C / 16T | 3.00 GHz | 4.60 GHz | 16 MB | 8 CUs (512 SP) | 35-45W |
Ryzen 9 5900HS | 8C / 16T | 3.00 GHz | 4.60 GHz | 16 MB | 8 CUs (512 SP) | 35-45W |
Ryzen 7 5800H | 8C / 16T | 3.20 GHz | 4.40 GHz | 16 MB | 8 CUs (512 SP) | 35-45W |
Ryzen 5 5600H | 6C / 12T | 3.30 GHz | 4.20 GHz | 8 MB | TBD | 35-45W |
Ryzen 5 5600HS | 6C / 12T | 3.00 GHz | 4.20 GHz | 8 MB | TBD | 35-45W |
Ryzen 5000Hシリーズは最新の『Zen 3』アーキテクチャーを搭載したゲーミングラップトップなど高いパフォーマンスが求められるモバイル向け製品に採用される製品となっています。コア数は最大で8コア16スレッド、最小で6コア12スレッドとなっています。
性能面ではRyzen 9 5980HSなどの上位製品ではデスクトップ向けCPUであるRyzen 7 3800XやCore i7-10700Kと同じぐらいの性能が発揮されるため、モバイル向け製品と言いつつも性能面ではデスクトップCPUとほとんど変わりません。
Ryzen 9 5980HSのベンチマークが出現。35W帯CPUとして高い性能を発揮
下剋上性能。AMD Ryzen 9 5900HXのベンチマークと動作クロック出現
モバイル向けRyzen 5000シリーズ(一般的なモバイルPC向け)
モデル名 | アーキテクチャー | コア / スレッド | ベースクロック | ブーストクロック | L3キャッシュ | グラフィックス | GPU クロック | TDP |
Ryzen 7 5800U | Cezanne-U (Zen 3) |
8C / 16T | 1.90 GHz | 4.40 GHz | 16 MB | 8 CUs (512 SP) | 2000 MHz | 10-25W |
Ryzen 7 5700U | Lucienne-U (Zen 2) |
8C / 16T | 1.80 GHz | 4.30 GHz | 8 MB | 8 CUs (512 SP) | 1900 MHz | 10-25W |
Ryzen 5 5600U | Cezanne-U (Zen 3) |
6C / 12T | 2.30 GHz | 4.20 GHz | 12 MB | 7 CUs (448 SP) | 1800 MHz | 10-25W |
Ryzen 5 5500U | Lucienne-U (Zen 2) |
6C / 12T | 2.10 GHz | 4.00 GHz | 8 MB | 7 CUs (448 SP) | 1800 MHz | 10-25W |
Ryzen 3 5300U | Lucienne-U (Zen 2) |
4C / 8T | 2.60 GHz | 3.80 GHz | 4 MB | 6 CU (384 SP) | 1500 MHz | 10-25W |
Ryzen 5000Uシリーズでは、一般的に販売されているモバイルPC向けに採用される製品になっています。TDPは10~25Wとなっており各OEMが熱設計やバッテリー持続時間などに応じてTDPを調整できるようになっています。
Ryzen 5000UではRyzen 5000Hのように全製品に『Zen 3』アーキテクチャーは搭載されておらず、モデルナンバーが偶数の製品のみ『Zen 3』搭載となっています。奇数の製品では前世代の『Zen 2』アーキテクチャーが搭載されています。
『Zen 3』アーキテクチャーを搭載したモデルでは、前世代のモデルに対してシングルスレッドは約30%台、マルチコアは約10%台で向上しています。
AMD Ryzen 7 5800U (Cezanne) のベンチマークが出現
また、前世代の『Zen 2』アーキテクチャーを採用した製品でも改良が施されていると見られており、シングルスレッドは約8%、マルチコアでは約10%向上しています。
『Zen 2』搭載 Ryzen 7 5700Uのベンチマークが出現。Ryzen 7 4800Uよりも高速。
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