Snapdragon 8 Elite はサーマルスロットリングが激しめ。ベンチマークへの最適化も判明
Qualcommはハイエンドスマートフォン向けチップセットであるSnapdragon 8 Eliteを発表し、8コアのOryonコアを最大4 GHz以上で動作させることで、Apple A18 Proを上回る高いパフォーマンスを発揮することを明らかにしました。しかし、どうやら相当な負荷をかけているため、同チップセットを搭載するスマートフォンではオーバーヒート(サーマルスロットリング)が多発するほか、ベンチマークへの過度な最適化が施されている状況であることが判明しました。
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Android AuthorityがSnapdragon 8 Eliteを搭載するRealme GT7 Proを先行入手したところ、スマートフォンレビューでは定番の3D Mark Solar Bay Stress Testを実行した際、スマートフォンの温度が46℃を超えるなど、デバイスの保護機能が起動してテストを完了できない状態に陥っていたとのことです。ただし、3DMarkなどのベンチマークソフトに対する最適化が行われている可能性があるとして、アプリ名を変更して同じテストを行ったところ、3回ほどテストを完了することができたとのことです。
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このテストではRealme GT7 Proは1回目のテストでは高スコアを記録しましたが、20回目のテストでは65%程度のスコアに低下するなど、激しくサーマルスロットリングが発生している様子が確認されました。ただし、それでもSnapdragon 8 Gen 3を搭載するGalaxy S24 Ultraに対しては50%程度高いスコアを記録しているため、性能が非常に高いことには変わりないと言えます。
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なお、温度に関してはSnapdragon 8 Gen 3を搭載するGalaxy S24 Ultraは最高41℃程度ですが、Snapdragon 8 Eliteを搭載するRealme GT7 Proでは最大44℃とやや高めの温度にまで上がることが明らかになっており、長時間ゲームをプレイしているとスマートフォン本体が不快に感じる温度にまで上昇する可能性があります。
Realmeがベンチマークへの最適化を認め、今後修正予定と明言。
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Geekbench 6においてはRealme GT7 Proはシングルコアが3,011ポイント、マルチコアでは9,143ポイントを記録していますが、Geekbench 6のアプリ名を偽装し最適化処置を無効化すると、シングルコアは63%、マルチコアは47%と大幅に低下することが確認されています。また、先の3D Markにおいてもベンチマークが温度により正常に動作しないことが明らかになっています。Realmeによると「温度管理と性能管理における業界の一般的な慣習」であり、ベンチマークへの最適化を暗に認める説明をしています。ただし、今後この対応をアップデートで修正するとのことですが、Realme GT7 Proではパフォーマンスを優先するあまり温度管理が不十分であることが明らかになっています。
Snapdragon 8 Eliteを搭載するスマートフォンはRealme GT7 ProのほかにXiaomi 15など他のOEMからもまもなく発売される予定ですが、高い性能を持つ反面、本体の冷却能力やソフトウェア面での温度管理を厳格に行わないとサーマルスロットリングが多発し、パフォーマンスの落差が大きくなるなど、ピーキーなチップセットであることが懸念材料と言えます。
ただし、サーマルスロットリング中でもSnapdragon 8 Gen 3を上回るパフォーマンスを発揮する場面も見られるため、スマートフォンメーカー側で冷却性能を高める工夫や、ソフトウェアの最適化などがこれまで以上に重要となります。そのため、Snapdragon 8 Eliteを搭載するスマートフォンを検討する際には、レビューなどを確認してから購入することが大切になりそうです。
Our first hands-on with a real-world Snapdragon 8 Elite phone reveals a hot mess | Android Authority
https://www.androidauthority.com/real-world-snapdragon-8-elite-benchmarks-3494890
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