Qualcommが、フラッグシップSoC「Snapdragon 8 Elite Gen 5」のGPUを縮小した派生版「V Series」の仕様資料を公開しました。名称は標準版と同じですが、GPU専用メモリーのAdreno High Performance Memory(HPM)が削られるなど、下位版として投入されるようです。
V SeriesではGPUのスライスと専用メモリーが削られる仕様に
Snapdragon 8 Elite Gen 5は、2025年9月のSnapdragon Summitで発表されたQualcommのフラッグシップSoCで、3nmプロセスで製造されています。内蔵のAdreno GPUは3つのスライスで構成されると説明されてきており、各スライスに専用メモリーを割り当てるAdreno HPMは合計18MBです。
今回公開されたSnapdragon 8 Elite Gen 5 V Series(型番:SM8850-1-AB)では、このGPUが2スライスの1.2GHz動作となり、Adreno HPMも12MBへ縮小されています。一方で、CPUはPrimeコア2基(最大4.6GHz)とPerformanceコア6基(最大3.62GHz)のOryon構成で、Hexagon NPUやX85 5Gモデム、LPDDR5X・UFS 4.1への対応も標準版と同じです。削られたのは、GPUのスライス数と専用メモリー容量の2点です。
このSnapdragon 8 Elite Gen 5 V Seriesを採用する端末としては、XiaomiのRedmi K100 Proが挙げられており、同端末の発表に合わせてチップセットも正式発表されました。Redmiが自社ラボで計測したAnTuTu V11の総合スコアでは、K100 Proが約409万点、通常版のSnapdragon 8 Elite Gen 5を搭載するK100 Pro Maxが約455万点を記録しており、1割程度の差があるようです。ただし、2機種では画面サイズや冷却、バッテリー構成も異なるため、この性能差がGPUの削減だけに起因するものかは不明です。
同じSnapdragon 8 Elite Gen 5でも内容の異なる仕様が4つ存在...
Snapdragon 8 Elite Gen 5は基本構成はCPU側がPrimeコア2基(最大4.6GHz)とPerformanceコア6基(最大3.62GHz)で、GPU側にはAdreno GPUを3スライス搭載する仕様になっています。しかし、Qualcommでは既にPrimeコアの動作クロックを4.74 GHzに引き上げたSM8850-AC/SM8850-1-ADとPerformanceコアを5基に減らしたSM8850-5-AC、そして今回登場したGPUスライスを2スライスに減らしたV Series(型番:SM8850-1-AB)が加わることで、Snapdragon 8 Elite Gen 5には4つのモデルが存在することになります。
このように同じSnapdragon 8 Elite Gen 5の中に複数のバリエーションが存在する理由としては、スマートフォンメーカー側はハイエンドモデルとしてアピールできる「Snapdragon 8 Elite Gen 5」の名前を付けながらも可能な限りコストを抑えたいと言う意図があると見られます。また、Qualcomm側も特にCPU/GPUのコア数を減らしたモデルを「Snapdragon 8 Elite Gen 5」として売れれば下位モデルほど価格を下げずに選別品を処分することが出来るためこのようなカスタマイズを受け入れているものと考えられます。
なお、Qualcommは次世代のSnapdragon 8 Elite Gen 6ではPro版と無印版の分離する方針のため、次世代機ではチップセットの仕様がもう少し整理される可能性が有ります。


