NVIDIAのArm SoC「RTX Spark」を搭載するノートPCの実機テスト結果が公開され、GPUはデスクトップ向けRTX 5070と同じコア数を持ちながら、ゲームではRTX 5050並みの性能にとどまるようです。
RTX 5070と同じコア数でも、ゲームはデスクトップのRTX 5050並み
RTX Sparkは、NVIDIAがComputex 2026に合わせてMicrosoftと発表したArm SoCで、MediaTekと設計した20コアのArm CPUと、デスクトップ向けRTX 5070と同じ6,144基のCUDAコアを持つBlackwell GPU、最大128GBの統合メモリを1つにまとめています。AIやクリエイティブと並んでゲームも用途の柱に掲げられており、搭載ノートPCは10月16日に発売されます。
そんな中、韓国のQuasarzoneが、上位構成(20コア・64GB)のRTX Sparkを積むASUS ProArt P16をデスクトップPCと性能比較を行っています。
CPUはCinebench 2026のマルチコアで7,232ポイントと、Core Ultra 5 250K Plusの7,472ポイントに3%差まで迫っています。ただ、GPUの性能も効くPremiere Proでは、RTX 5060と組み合わせたCore Ultra 5 250K PlusやRyzen 9 9900X、Core i5-14600Kのデスクトップをすべて下回っています。
GPUは、3DMark Time Spyのグラフィックススコアが13,155と、Core Ultra 5 250K Plusと組み合わせたデスクトップのRTX 5060(13,835)の95%にあたり、コア数はRTX 5070と同じでも、性能はRTX 5060に近い水準です。
Cyberpunk 2077、Forza Horizon 6、The Witcher 3 Remasteredの3本での平均fpsは、3DMarkのRTX 5060並みからさらに一段下がり、デスクトップ向けRTX 5050並みです。フルHDでは3本ともRTX 5050に届かず、Forza Horizon 6では下位1%のfps(1% Low)が39fpsと、RTX 5050の96.4fpsの4割ほどです。
| 平均/下位1%のfps | RTX Spark | RTX 5050 | RTX 5060 |
|---|---|---|---|
| Cyberpunk 2077(中) フルHD | 99.3/70.6 | 112.8/90.9 | 143.5/115.2 |
| Cyberpunk 2077(中) QHD | 78.6/57.9 | 69.7/58.9 | 92.9/76.8 |
| Forza Horizon 6(標準) フルHD | 80.0/39.0 | 110.7/96.4 | 131.1/112.5 |
| Forza Horizon 6(標準) QHD | 75.0/36.8 | 85.5/75.5 | 106.8/93.6 |
| The Witcher 3 Remastered(中) フルHD | 115.3/75.1 | 115.9/98.9 | 149.8/126.6 |
| The Witcher 3 Remastered(中) QHD | 79.9/54.0 | 73.1/63.6 | 94.4/83.1 |
RTX SparkはCPUとGPUで45〜80Wの電力を分け合っており、Cyberpunk 2077をQHDで動かしたときも、GPUは平均34Wで動いていました。これはデスクトップ向けRTX 5060がグラフィックスカード単体で使える145Wの4分の1にも満たない水準です。メモリ帯域も、256bitのバス幅にGDDR7ではなくLPDDR5Xを組み合わせるため最大300GB/sで、RTX 5060の448GB/sだけでなくRTX 5050の320GB/sも下回ります。電力も帯域もRTX 5060に届かないため、GPUはコア数ほど性能が伸びず、RTX 5050並みにとどまっているとみられます。
x86向けのゲームは、Microsoftの変換機能「Prism」でArm向けのコードに変換しながら動くため、その分の処理が加わります。GPUの負荷が重いQHDでは、フルHDとは逆にCyberpunk 2077とThe Witcher 3 RemasteredがRTX 5050を上回るものの、下位1%のfpsはすべての条件でRTX 5050を下回っています。
Cyberpunk 2077のQHDではCPUもGPUとほぼ同じ平均31Wを消費しており、Prismによる変換の負担がCPU側に乗ることで、チップ全体でGPUが使える電力が減少し、グラフィックス性能が下がると見られています。
VALORANTは発売時に遊べず、PUBGの対応は2027年上半期
6月の発表時に対応予定とされたVALORANTとLeague of Legendsは、発売時点ではアンチチートが対応しておらず、対応時期も示されていません。NVIDIAによると、PUBGは2027年上半期までに、Call of Dutyは2027年に対応する予定とのことで、発売時にアンチチートごと遊べるタイトルにはFortniteやCounter-Strike 2、Marvel Rivalsなどが挙げられています。
強みは大容量メモリを使うAI。国内は51万円から
RTX Sparkはゲーミング性能よりも大容量メモリが強みで、RTX 5090の32GBを大きく超える最大128GBのメモリをGPUが使えます。この強みはローカルAIでも発揮されており、4bitに量子化しても8GBのRTX 5060や12GBのRTX 5070には収まらない、270億パラメーターのQwen 3.8 27Bも、64GBのテスト機では毎秒28.9トークンで文章を生成しています。また、動かすパラメーターが一部に限られるMoE構成のGemma 4 26B A4Bでも毎秒81トークンまで伸びています。
国内でも搭載機のSurface Laptop Ultraが10月16日に発売され、価格は18コア・5,120基・24GBの最小構成で51万3,480円、テスト機と同じ20コア・64GBの構成で81万2,680円です。ASUS ProArt P16も10月下旬以降に国内で発売されますが、価格は示されていません。
RTX Sparkでは、これまでArm環境で対応があまり進んでいなかったアンチチートソフトへの対応が謳われるなど、NVIDIAもゲーミング用途を視野に入れています。しかし、実際のゲーミング性能はRTX 5050並みで、価格も50万円を超えるなどゲーミング向けとしてはコストパフォーマンスが低くなっています。そのため、大容量メモリを活用できるAI向けが主な用途と言え、ゲーミング向けとしての活用は難しそうです。


