AMDでは2022年末までにRDNA3アーキテクチャを採用するRadeon RX 7000シリーズの発売を予定していますが、この中でMCM構造を採用するハイエンドモデル、Navi 31とNavi 32そして、アッパーミドルレンジを担うNavi 33それぞれの製造プロセスがビジネス系SNSであるLinkedinより明らかになりました。
RDNA3が採用される各GPUの製造プロセスが判明
AMDではCES2022にて発表を行ったRadeon RX 6500 XT GPUやRyzen 6000シリーズ CPUではTSMC 6nmプロセスを採用していることが明らかになっています。一方で、2022年後半に発売が予定されているZen4アーキテクチャを搭載するRyzen 7000シリーズではTSMC 5nmが採用されると見られており、この流れに沿って次世代GPUであるRDNA3アーキテクチャを搭載するRadeon RX 7000シリーズでもTSMC 5nmが採用されると予想されていましたが、AMDのInfinity Data Fabric関係の設計を行っているエンジニアのLinedinのプロフィールに、うっかりとRadeon RX 7000シリーズで採用される製造プロセスを掲載してしまって、明らかになっています。
MCMを採用するNavi 31とNavi 32ではTSMC 6nm + 5nmの組み合わせに
RDNA3アーキテクチャーを採用するRadeon RX 7000シリーズではRyzen CPUなどで採用されているMCM(Multi-Chip Module)が採用されると見られています。
2021年7月時点で判明しているRDNA3採用のNavi31について
このMCMについては2021年7月頃にNavi 31がテープアウトされるタイミングで多くの情報がリークとして出現しており、MCMが採用されるのはハイエンドモデル向けのGPUであるNavi 31とNavi 32の2種類であり、GPUの構造としてはGPUダイであるGraphics Core Die(GCD)が2つと、キャッシュや機械学習、GPU間のコミュニケーションを担うMulti Cache Die(MCD)と呼ばれるダイに繋がれるとの事です。
このうち、GCDについてはTSMCの5nmプロセスが採用され、MCDについてはTSMC 6nmが採用されるというリーク情報になっていましたが、この情報は今回出現したLinkedinの情報と合致しており、正しい情報であった可能性が高まっています。
モノリシックダイのNavi 33のみGPUに6nmを採用
RX 7700などアッパーミドルレンジでの採用が予定されているNavi 33 GPUではNavi 31やNavi 32と異なり1つのGPUのみを搭載するモノリシックダイになり、TSMC 6nmが採用されると2021年7月頃のリークで出現しています。
navi33
monolithic
tsmc 6nm— Greymon55 (@greymon55) July 5, 2021
この情報についてもかなり確度の高い情報だったようでLinkedinのプロフィール上ではNavi 33(6nm)と記載されていることからリーク情報と整合が取れています。
一方で、機械学習用GPUであるMI200シリーズの後継モデルにあたるMI300ではMI200と同じく6nmが採用されると記載がされていますがAMDとしてはダイサイズが小さめで済むNavi33やシェーダーなどを搭載していない
機械学習用GPUとしてAMDではInstinctと呼ばれるGPUを投入しており、最新モデルであるInstinct MI 200シリーズでは一部モデルで既にMCMを採用し、TSMC 6nmが採用されています。その後継モデルであるMI300シリーズについてもプロフィール上には記載されており、製造プロセスは現行のMI200シリーズと同じ6nmで製造が行われる予定となっています。
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AMDではTSMC 5nmプロセスについてかなり前倒しで確保していると見られていますが、同時期にNVIDIAもGeForce RTX 4000シリーズでTSMC 5nmを採用することから製造キャパシティーについては取り合いになっていることが予測されています。また、TSMC最大顧客であるAppleはTSMC 4nmに最新製品から移行すると見られていますが、それでも今後発売されるiPhone SE3など廉価版製品では引き続きTSMC 5nmを採用した製品が出現するため、思うように使えないのが現状と見られています。
また、TSMC 5nmについては製造コストはTSMC 6nmや7nmに比べて高くなるため、AMDとしては少しでもTSMC 5nmのキャパシティーを減らす事とコスト低減のためにNavi 33 GPU、そしてNavi 31やNavi 32に使われるMulti Cache Die(MCD)、MI300用 GPUなどは6nmに据え置き、TSMC 5nmの使用は最低限に留める事でリスクとコストを下げていると見られています。