PCI Expressは自作PCなどをお持ちの方に馴染みの深い規格ですが、その最新規格であるPCI Express 5.0について進化点や性能について紹介します。
PCI Express(PCIe)とは
PCI Expressはコンピュータと周辺機器を連携させる規格の一種で、昔はPCIやAGP(Accelerated Graphics Port)が主流でしたが、PCI-SIGというIntel、AMD、NVIDIA等が参加する団体により、新しい規格が定められました。
PCI Expressは機器と多量のデータを低遅延で転送できる特徴があり、初期版のPCI Express 1.0aは2003年に定められ、2004年から製品が市場に登場しました。
そして、2007年には転送速度がアップしたPCI Express 2.0、2010年にはPCI Express 3.0、2017年にはPCI Express 4.0が登場し、そして2019年には今回紹介するPCI Express 5.0が策定されました。
今回は、PCI Expressの最新版であるPCI Express 5.0に関して、世代ごとの違いや対応製品、利用シーン等を説明していきます。
PCI Expressと5.0(PCIe 5.0)への進化
PCI Expressは数年おきに規格が新しくなっており、末尾のバージョンによって転送速度が変わっていきます。
2003年 | 2007年 | 2010年 | 2017年 | 2019年 | |
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バージョン | PCIe 1.0 | PCIe 2.0 | PCIe 3.0 | PCIe 4.0 | PCIe 5.0 |
x1 | 250MB/s | 500MB/s | 1GB/s | 2GB/s | 4GB/s |
x4 | 1GB/s | 2GB/s | 4GB/s | 8GB/s | 16GB/s |
x8 | 2GB/s | 4GB/s | 8GB/s | 16GB/s | 32GB/s |
x16 | 4GB/s | 8GB/s | 16GB/s | 32GB/s | 64GB/s |
*ここで示される値は理論上の最大値のため実際の転送速度は表より数%少ないです。
PCI Expressは第一世代であるGen 1.0では最大で4GB/sとなっていましたが、2.0では2倍の8GB/sなど規格が最新化される度に転送速度は2倍に増えて行っています。そして、最新規格であるPCIe 5.0ではx1で4GB/s、x4で16GB/s、x8で32GB/s、x16で64GB/sの転送速度を発揮する事が出来るようになっています。
ちなみに、DDR4-2666の転送速度は理論上21.3GB/sとなっています。そのため、PCIe 5.0 x8であれば転送速度だけ見ればメインメモリーより速い事になります。(と言ってもレイテンシーがあるので代替は無理そうです。)
レーンについて
PCI Expressにはレーンと言う概念があり、1レーンであれば「x1」、4レーンであれば「x4」と示しています。このレーンは複数束ねる事が可能で、x1を4つ束ねたのが「x4」、16つ束ねたのが「x16」となります。
基本的には転送速度はx1に、束ねるレーン数を乗じれば束ねた際の転送速度が求められます。(例 PCIe 5.0 x1=4GB/s x 16レーン=64GB/s)
また、必要なレーン数によって差し込むスロットの大きさが異なります。x16対応スロットが最も長く、他にx8やx4、x1対応スロットがあり数字が小さくなるほどスロットは小さくなります。なお対応スロットより低いレーンでの動作は可能ですので、x16対応スロットにx1対応製品を差し込む事は可能です。
ちなみに、このレーンは無限には増やす事は出来ず、各マザーボードやCPUによって運用できる最大レーン数が決められています。
例えばIntelのZ590マザーボードとCore i9-11900Kではマザーボード側に24レーン、CPU側に20レーンまで対応していますので、接続する機器のレーン数を調べ、マザーボードとCPUの対応レーン数以内のであれば最大性能での動作が可能となります。
製品毎に必要なレーン数の代表例
- x1対応製品
- サウンドカード、地上デジタルチューナー、ビデオキャプチャーカード、ネットワークカード(1Gbps)
- x4対応製品
- 4K対応ビデオキャプチャーボード、NVMe SSD、ネットワークカード(10Gbps以上)
- x16対応製品
- グラフィックカード、NVMe SSD拡張カード(4枚接続)
PCI Express 5.0で起きる変化
PCIe 5.0では既存のPCIe 4.0に比べて転送速度が2倍に向上しています。そのため、最大レーン数がx4に縛られるM.2接続の機器などでは非常に大きな恩恵を受ける事が出来ると考えられます。
特にM.2接続のNVMe SSDでは現在最新のPCIe 4.0ではx4接続では理論上は最大8GB/sの転送速度が実現可能となっていますが、既にPCIe 4.0対応のNVMe SSDでは最大リード速度が7GB/sに達している製品が多く、既にPCIe 4.0の規格上限値に限りなく近いです。
これが、PCIe 5.0対応となると最大16GB/sまで理論的には対応可能になるため、現行の約2倍高速なNVMe SSDが登場する事となります。
また、少ないレーン数で動作しても転送速度が高速なため、PCIe 5.0対応 NVMe SSDをx2動作で動かす事でPCIe 4.0のx4動作と同等の性能を発揮しつつ、レーン数を温存する事が可能となります。このようにレーン数を温存できるメリットとしては、PCI Express対応機器を多くつなげるデータセンターやワークステーションではCPUやマザーボード・チップセットが持つ最大レーン数に対して余裕が生まれるため、より高い拡張性が期待できます。
対応製品や利用用途など
PCIe 5.0については、2021年11月に発売が開始される予定のIntel 第12世代 Alder Lake CPUから一部マザーボードで対応が行われています。また、AMDにおいても2022年9月27日から発売が開始されているRyzen 7000シリーズ対応マザーボードではほぼすべてのマザーボードでPCIe Gen 5.0に対応したNVMe SSDスロットやX670EとB650EなどのハイエンドモデルではPCIe Gen 5.0に対応したPCIe x16レーンが搭載されます。
PCIe Gen 5.0を搭載するIntel 第12世代Alder Lake-Sおよび第13世代Raptor Lake-S対応マザーボード
『9月30日発売』AMD Ryzen 7000対応、X670/X670Eマザーボードの価格と機能一覧
なお、PCIe Gen 5.0に対応した周辺機器としては2022年9月時点ではNVMe SSDのみで、GeForce RTX 4000シリーズもすべてPCIe Gen 4.0止まりとなっています。もしかしたら、2022年11月に登場するAMDのRadeon RX 7000シリーズの一部モデルでPCIe Gen 5.0に対応するかもしれませんが、規格の普及具合からすると見込みはかなり薄いと言え、PCIe 5.0はしばらくの間はオーバースペックな規格となりそうです。
2022年9月時点、日本ではPCIe Gen 5.0対応NVMe SSDの発売は行われておらず、ほとんどがPCIe Gen 4.0までの対応となっています。
コメント
コメント一覧 (2件)
PCIの比較表が、右端が、2017の半分までで、2019年は全く見えない。Google crome、FireFox、Microsoft Edge、の3つ共、見えない。3大ブラウザで見えないから、そちらのサイトが発出するHtml/CSSを書き換える義務がある、と思います。
横スクロール機能に対応していますので、一度ご確認ください。
iPhoneとChromeでは確認しましたが、まだ見られないようでしたらコメントください。