NVIDIAが、次世代のAI向けシステム「Vera Rubin」の仕様を公式サイトで告知なく書き換え、GPUに載るHBM4の帯域を最大26%引き下げていたことが分かりました。GPU同士をつなぐNVLinkの帯域も引き下げられています。
Rubin GPUのHBM4帯域は22TB/sから19.2TB/sへ。演算性能は据え置き
Vera Rubinは、NVIDIAが1月のCES 2026で発表した、Vera CPUとRubin GPUを組み合わせるAI向けのシステムで、8月には本格出荷も始まったと伝えられていました。発表時の仕様では、Rubin GPU 1基あたりのHBM4の帯域は22TB/s、NVLinkの帯域は3.6TB/sとされていました。
そんな中、NVIDIAは公式サイトの仕様表を告知なく書き換えており、Rubin GPUのHBM4の帯域は19.2TB/s、NVLinkの帯域は3TB/sと、それぞれ約13%と約17%下がりました。Rubin GPUを72基、1ラックにまとめたVera Rubin NVL72でも、ラック全体の帯域がこれに合わせて引き下げられています。
Rubin GPUを8基載せたサーバー向けの基板「HGX Rubin NVL8」は下げ幅がさらに大きく、HBM4の帯域は176TB/sから130TB/sへ26%下がり、容量も2.3TBから2TBに減っています。
| HBM4の帯域 | NVLinkの帯域 | HBM4の容量 | |
|---|---|---|---|
| Rubin GPU(1基) | 22TB/s → 19.2TB/s | 3.6TB/s → 3TB/s | 288GB(変わらず) |
| Vera Rubin NVL72(72基) | 1,580TB/s → 1,400TB/s | 260TB/s → 216TB/s | 変わらず |
| HGX Rubin NVL8(8基) | 176TB/s → 130TB/s | − | 2.3TB → 2TB |
Rubin GPUのHBM4の容量は288GB、演算性能もNVFP4での推論で50PFLOPSと変わっていませんが、AIが回答を1トークンずつ生成する処理は演算性能よりメモリの帯域で速さが決まるため、この処理には帯域の引き下げがそのまま響きます。ただ、19.2TB/sでも、前世代のBlackwellの8TB/sと比べれば2.4倍の帯域があります。
22TB/sはHBM4を規格より4割近く速く動かす前提。帯域より出荷量を優先か
当初の22TB/sは、Rubin GPUに8基積むHBM4を、業界規格(JEDEC)が定める1基あたり最大2TB/sより4割近く速い2.75TB/sで動かす前提の数字でした。規格の2TB/sは、1基にある2,048本の信号線を、1本あたり最大8Gbpsで動かしたときの帯域です。NVIDIAはこの1本あたりの速さを、AMDのAIサーバー「Helios」に対抗するため、10Gbpsへ上げるようメモリメーカーに求めていたと、調査会社のTrendForceが2025年9月に伝えていました。
同じ報告では、NVIDIAは供給の確保を重視しているため、HBM4の量が足りなかったり、消費電力やコストが増えすぎたりすれば、引き上げを見送るか、HBM4を性能で選別して製品ごとに使い分ける可能性もあるとされていました。今の仕様では、HGX Rubin NVL8のGPUは1基あたり約16TB/sと、Vera Rubin NVL72に載るRubin GPUの19.2TB/sより低くなっています。NVIDIAはHBM4の速さを上げきれないまま出荷する量を確保するため、帯域の仕様を下げたうえで、速いHBM4を主力のVera Rubin NVL72に回し、HGX Rubin NVL8には一段遅いものを使っているとみられます。
帯域はMI455Xに2割近く届かず。Rubin Ultraも計画を下回る可能性
Rubin GPUのHBM4の帯域は、1月の時点では、Heliosに載るAMDのAI向けGPU「Instinct MI455X」の19.6TB/sを上回っていました。ただ、MI455Xは7月の投入時に23.3TB/sへ引き上げられており、今回の引き下げで、Rubin GPUの帯域はMI455Xより2割近く低くなりました。MI455XはHBM4をRubin GPUより多い12基積み、1基あたり約1.9TB/sと規格の範囲内の速さでこの帯域を出しています。
Vera Rubinの上位モデルとして2027年に投入予定のRubin Ultraは、当初、HBM4より速いHBM4EをGPU 1基あたり1TB積む計画でしたが、The Informationによると、試されているサンプルの容量は192GBと256GBで、Rubin GPUの288GBも下回るとのことです。HBM4Eでも速さを上げきれなければ、Rubin UltraはVera Rubinと同じく、容量に続いて帯域まで計画を下回る可能性があります。


