2021年1月頃、NVIDIAが現在発売中のローエンド向けグラフィックスカードであるGeForce GT 710の後継モデルにあたるGeForce GT 1010を発売予定であることがVideocardzによって取り上げられていましたが、その姿がTaobaoやTwitter上に出現しました。
Pascal世代のGPUを搭載するGeForce GT 1010
NVIDIA GeForce GT 1010 spotted on Chinese marketplace for 70 USD – VideoCardz.com
NVIDIAの製品ラインアップ上、最もローエンドな製品としてはGeForce GT 710が存在しており、このモデルでは2013年に発売されたKeplerをベースとしておりTSMC 28nmプロセスを用いて製造がされています。
そんなGeForce GT 710は2016年1月に発売がされました、そこから6年以上アップデートが行われていませんでしたが、2021年1月頃に2016年に投入されたPascalアーキテクチャーを採用したGeForce GT 1010が出現すると言われていました。
そこから約1年間、GeForce GT 1010はリリースされる事無く経過しましたが、中国のTaobaoにてBTOパソコンから取り出されたGeForce GT 1010が売りに出されているのが発見されました。また、リテール販売が行われると見られるモデルの画像も出現しています。
VGA端子とHDMIを搭載。価格は約8000円
Taobaoに掲載されたのはLenovo製PCに搭載されていたGeForce GT 1010を取り出したものと見られています。そのため、商品説明欄には『Lenovo GT1010 2GB GDDR5 HDMI VGA desktop computer graphics card 5V10W62717 SV11B65869』と記載がされています。
掲載されているGT 1010の写真上ではNVIDIAのロゴなどは確認できず、Lenovo用にカスタマイズが行われたモデルであると見られています。仕様上はPCIe Gen3.0 x4接続となっており、GPU本体もx4接続分の端子しか用意されていません。外部出力用の端子はVGA端子とHDMIの2つを搭載しており、この点は現行のGT710に搭載されているDVI端子、VGA端子、HDMI端子より少なくはなっていますが、ロープロファイルでVGA端子もHDMI端子も備えているGPUはGT 710ではあまり存在しないため、ある意味貴重な存在と言えそうです。
Taobaoに掲載されている仕様としてはGPUにはPascalアーキテクチャーを採用したGP108 GPUを搭載し、Samsung 14nmプロセスで製造が行われています。CUDAコアは256基で、動作クロックはベースが1228MHz、ブーストが1468MHzとなっており、GDDR5を2GB搭載し、バス幅は64bitとなっています、TDPに関しては30Wという事でGT 710の19Wと比べると若干ながら消費電力は上がっています。
なお、Taobao上で販売されている価格は450人民元という事で、日本円で換算すると約8000円程度になります。Taobaoの価格は若干吹っ掛けたものになっているとは考えられますが、GT 710に対して性能向上している事や昨今のGPU不足、そして上位モデルであるGT 1030が1万円越えで販売されている事を考えると、もしかしたら8000円と言う価格は販売価格に近い値付けになっている可能性もありそうです。
HDMI端子を2個搭載した、Leadtek製はリテール販売される模様
Taobaoに掲載されたモデルはLenovo製PCに搭載されるもので市販予定は無いと見られていますが、Twitter上にはLeadtek製のリテール販売が予定されるモデルが掲載されています。
このモデルではHDMI端子が2個搭載されており、PCIe端子を見るとx8の長さになっていますが、こちらもx4接続です。
@VideoCardz First retail GT1010 :
Leadtek GT1010 pic.twitter.com/uTSbk9Y3Hz— MEGAsizeGPU (@Zed__Wang) January 31, 2022
このユーザーはGPU-Zのスクリーンショットも掲載していますが、Leadtek製のモデルではブースト時の動作クロックは1380MHzとなっているようです。
性能はGT 710を4倍以上だが、Alder Lake-S内蔵のUHD Graphics 770に負ける性能
GeForce GT 1010の性能については、1月18日にGeekbenchの各種スコアが掲載されています。
ベンチマークはCore i9-12900Kを搭載したハイエンドPCで行われていますが、GeForce GT 1010はValkanが7677pt、CUDAが7730pt、OpenGLが7983ptを記録しています。GT 710に比べると約4倍のスコアとなっていますが、Intel Alder Lake-Sに内蔵されているグラフィックであるIntel UHD Graphics 770に比べると10%以上劣後する結果となっています。
内蔵GPUを搭載しないRyzenシリーズやXeonなどを運用している人でマルチディスプレイ環境やUI表示にグラフィックを利用するようなアプリケーションと言う用途であれば十分使えそうです。
GPUモデル | GeForce GT 710 | GeForce GT 730 | GeForce GT 1010 | Intel UHD Graphics 770 | GeForce GT 1030 | GeForce RTX 3090 |
---|---|---|---|---|---|---|
スコア(Vulkan) | 1947 | 3430 | 7677 | 9147 | 10178 | 139885 |
スコア(CUDA) | 1520 | 2735 | 7730 | ー | 10328 | 238257 |
スコア(OpenGL) | 2029 | 3688 | 7983 | 9118 | 10699 | 205030 |
AMD RDNA3 Navi31とNavi32は6nmと5nmを組み合わせ。Navi33は6nmに
GeForce GT 1010がいくらで販売されるかはまだ分かっていませんが、上位モデルにあたるGeForce GT 1030が10000円越えで販売されている現状を鑑みると、GeForce GT 1010は少なくともGT 710が販売されている4000円台と言う価格で販売される事は無く、Taobaoで掲載された8000円に近い価格で販売される可能性が高そうです。
正直、純粋に画面を描写するだけのグラフィックスカードでさえも1万円近くするのを見ると、今の状況は本当に異常事態と実感できますね・・・