Intel Arrow Lakeではハイパースレッドの開発が間に合わず廃止へ。それでも性能はRaptor Lakeを大きく上回る見込みに
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Intelでは2024年下半期にかけて第二世代Core UltraおよびCoreシリーズCPUを投入する計画としています。このArrow LakeについてはMeteor Lakeから導入されたタイルアーキテクチャを採用すると共に、Meteor Lakeではお蔵入りとなったデスクトップ向けモデルも準備される予定となっていますが、今回このArrow Lake CPUに関する情報がMoores Law is Deadから登場しました。
IntelのArrow Lakeについては発売時期は2024年Q4という事で10月から12月に予定がされています。ここでは8P+16Eまでの構成のCPUが登場し、デスクトップ向けのハイエンドモデルなどで搭載される8P+32E構成のCPUについては2025年中頃の投入が計画されているとのことです。
このArrow LakeはIntelに2018年から2020年まで在籍していたジム・ケラー氏が関わったRoyal Coreプロジェクトで計画された一部機構が採用される見込みになっています。
このRoyal Coreプロジェクトで考えられたものの中には4-Wayハイパースレッディングなども含まれていたのですが、Arrow Lakeで新たに採用されるP-CoreのLion Coveにおいては4-Wayのみならず一般的な2-Wayハイパースレッディングの開発が間に合わず、2023年5月頃にハイパースレッディング自体を搭載しない方向で決定されたようです。ただ、このハイパースレッディング廃止の代わりに『Rentable Unit』と呼ばれる新しい機構が搭載されます。このRentable Unitの詳細については不明ですが、IntelとしてはハイパースレッディングのためにArrow Lakeを遅らせるほど価値があるものでは無いと判断しており、Rentable Unitが従来のハイパースレッディングに対して何かしらのアドバンテージを持っている機構であると考えられます。
なお、Royal CoreプロジェクトやRentable Unitなど新機構を搭載する事でマルチスレッド性能については同じコア構成のRaptor Lakeに対して40%程度上回る見通しで、シングルコア性能についてもRaptor Lake比で30~40%上回る見通しになっています。
IntelのArrow Lakeについてはつい最近、Igor’s LABよりIntel内部での性能見積もりに関するスライドがリークとして出現し、この中ではRaptor Lake世代の最上位モデル、Core i9-13900Kに対して3~20%程度性能面で上回ると言う事でしたが、このスライドで比較対象として挙げられていたArrow LakeについてはCore i7クラスのCPUでステッピングは初期のA0サンプルが用いられていたとのことです。そのため、性能面で言えば初期品で動作クロックも低く、ハイパースレッディングも非搭載でありながらCore i9-13900Kを上回ると言う驚異的な性能を発揮しているとのことです。
Arrow Lakeについては本来であればIntel 20Aノードを使って製造が行われるはずでしたが、最新のリークではすべてTSMC 3nmを用いて製造が行われると言われるなど雲行きが怪しい感じでしたが、あくまで生産側では何かしらのトラブルを抱えているものの、開発側では順調に進んでいると考えていいのかもしれません。
少々気になるのがハイパースレッディングについては開発が間に合わなかったという事ですが、一応その代替としてRentable Unitと呼ばれる新しい機構も搭載され、性能面でもRaptor Lakeを大きく上回るようですので、開発の一部機構がコケても全体日程に影響が波及しないように開発プロセスにおけるロバスト性は上がっているのかもしれません。(今までのIntelの実績からするとまだまだ油断はできませんが・・・)
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