2023年Q2のGPU出荷台数はGPUの価格下落で想定外の回復。シェアはNVIDIAが高価格化により低下しAMDに恩恵。

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2023年第2四半期のGPU出荷台数はGPU全般の価格下落により出荷台数は回復。NVIDIAの高価格化路線によりAMDがシェアを伸ばす。

グラフィックスカードの需要については2020年から2021年にかけて在宅需要やマイニング、そして転売など需要が大きく伸びたものの、2022年に入ると在宅需要は2020年頃にすべて満足され、マイニングなどは仮想通貨価格の下落やグラフィックカードを用いてマイニング出来たEthereumがGPUマイニング不可な方式に移行した事で需要は大きく減退。一方で、販売価格についてはインフレや販売戦略上変わらなかったことから高い販売価格だけが悪目立ちし、結果的にグラフィックカードがほとんど売れないという状況が2022年から続いています。

そんなグラフィックカードですが、特にデスクトップ向けグラフィックスカードの出荷が低調で2023年第一四半期(Q1)に記録された出荷台数は過去10年間で最低の記録し、2023年第二四半期(Q2)は入学式や行事などイベントが少ない事から多くの業種で需要が減る期間にあたるほか、NVIDIAやAMDが発売したメインストリーム向けモデルの販売状況が芳しくない事を踏まえて、さらに出荷台数が減ると想定されていました。

そんなグラフィックカードの出荷台数について2023年Q2の結果が登場したのですが、想定とは異なり出荷台数がQ1から増えていたようです。

PC GPU shipments increased by 11.6% sequentially from last quarter and decreased by -27% year to year. – Jon Peddie Research

調査会社のJon Peddie Resarchによると、CPUの出荷台数についてはQ1に比べて15%の伸びを記録しておりエンタープライズ向けを中心に需要が徐々に伸びているようです。ただ。コンシューマー向けにおいてはまだまだ需要が回復しておらず、内蔵GPUやディスクリートGPUなどすべて含めたGPUの出荷台数はQ1に比べて-2.6%の出荷台数になっています。ただ、このGPUの出荷台数の中で、デスクトップ向けのディスクリートGPUのみに注目すると、Q1に比べて2.9%出荷台数が伸びている事が記録されているとのことです。

この理由としては、在庫として残っていたグラフィックカードが徐々に無くなり始めた事や、AMDを中心にグラフィックカードの価格を下げ始めている事が大きな要因となっているようです。また、NVIDIAのGeForce RTX 4000シリーズについても発売当初は高かったものの、NVIDIAの想定を下回る売れ行きであることから販売価格は下がる傾向にあり、この価格下落がデスクトップ向けのディスクリートGPUの出荷台数の伸びに繋がったと見られています。

内蔵GPUやディスクリートGPUを含めた各社のシェアについては2023年Q2ではIntelが68%、NVIDIAが19%、AMDが13%でしたが、Q1比ではIntelが68%で横ばいも、NVIDIAが18%で1%ダウン、AMDが14%で1%アップと言う結果になっています。出荷台数ベースではAMDが非常に好調で、Q1に対して出荷台数は22.9%の伸びを記録する一方で、NVIDIAは7.5%、Intelは11.7%とAMDが突出して良い結果になっています。

デスクトップ向けのディスクリートGPUだけに焦点を当てると、23年Q2はNVIDIAが80%、AMDが17%、Intelが2%となっておりNVIDIAが圧倒的なシェアを握っている事実は変わりませんが、Q1からの変化点を見るとNVIDIAのシェアは84%から4%低下している一方で、AMDは12%から17%と5%伸びています。Intelは4%から2%と半減しています。

AMDのグラフィックカードのシェアが大きく伸びている要因としてはRadeon RX 6000シリーズやRX 7000シリーズが比較的安価で販売されている事や、NVIDIAのGeForce RTX 4000シリーズが高価格化した事が原因になっていると見られています。IntelについてはQ1からシェアが半分に落ちてしまっていますが、Arc AシリーズについてはエントリーのA380かハイエンド寄りのA750とA780しかないなどラインアップが極端な上に、AMDやNVIDIAの新世代モデルが続々登場した事で存在感が薄らいだことが原因になっていると見られています。

なお、今後の23年Q3期ではRTX 4000シリーズの各種ミドルレンジモデルやRadeon RX 7600、RX 7700 XT、RX 7800 XTなどの出荷台数も反映された結果になりますのでAMDとNVIDIAのデスクトップ向けのディスクリートGPUのシェアがどのように推移するかは注目です。また、Q3では新学期(Back to school)の他に景気が回復に向かい始めているとも言えますので、新製品登場による市場活性化と相まってデスクトップ向けのディスクリートGPUに限れば出荷台数は今期同様に増える傾向にあると考えられます。

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