GeForce RTX 5070 の評価は史上最悪? RTX 4070 SUPER と同等性能でコスパ大幅悪化
NVIDIAはCES 2025でアッパーミドルレンジ帯のど真ん中を狙ったGeForce RTX 5070を2025年2月までに発売することを明らかにしていました。しかし、供給不足やバグなどに見舞われてしまい発売日が3月5日に設定されましたが、発売日前日である3月4日23:00からメーカー希望小売価格で販売されるモデル限定でレビューが解禁されましたが、評価としてあまり高くなかったRTX 5080やRTX 5070 Tiをさらに下回る辛辣なレビュー結果が相次いで出ています。
グラフィックスカード モデル | GeForce RTX 5070 | GeForce RTX 4070 SUPER | GeForce RTX 4070 Ti |
---|---|---|---|
内蔵GPU | GB205 | AD104 | AD104 |
クラス | アッパーミドル | アッパーミドル | アッパーミドル |
CUDAコア数 | 6,144 | 7,168 | 7,680 |
ベース クロック | 2.33 GHz | 1.98 GHz | 2.31 GHz |
ブースト クロック | 2.51 GHz | 2.48 GHz | 2.61 GHz |
VRAM仕様 | 28 Gbps GDDR7 | 21 Gbps GDDR6X | 21Gbps GDDR6X |
VRAM容量 | 12GB | 12GB | 12GB |
バス幅 | 192-bit | 192-bit | 192-bit |
帯域幅 | 672.0 GB/s | 504.2 GB/s | 504.2 GB/s |
TDP | 250W | 220W | 285W |
GeForce RTX 5070のスペックはRTX 5000シリーズとしては初めて投入されるGB205 GPUと呼ばれるアッパーミドルレンジ専用のGPUを採用していますが、CUDAコア数がRTX 4070 SUPERの7,168から6,144と大幅減少しているなど先代モデルに対して14%減少するなど性能に懸念を抱くスペックになっています。ただ、NVIDIAはこのRTX 5070についてRTX 4090並みの性能を持つことを発表会で明らかにしており話題になっていましたが、実際のベンチマークでは先代のRTX 4070 SUPERと同等性能などRTX 4090には遠く及ばないことが明らかになっています。


Hardware Unboxedのレビューによると、1440p解像度でラスタライズのみ使用した16タイトルの平均性能は先代のRTX 4070 SUPERに対して+1%と新世代にもかかわらず同等性能を記録しています。また、過去数世代に渡り、新世代グラフィックカード発売時は先代の上位モデルに迫る性能を期待できていましたが今回のRTX 5070は上位モデルのRTX 4070 Tiに対して6%劣っています。
これはGDDR7化により帯域幅が拡大された4K解像度でも似た結果で、RTX 4070 SUPERに対しては5%高い性能を発揮できていますが、RTX 4070 Tiに対しては5%低い性能になっています。


レイトレーシングに特化したベンチマークでもRTX 5070の性能は微妙で、1440pならびに4K解像度ではRTX 4070 SUPERに対して2%ほど劣るか優れるかと言う誤差レベルでしか差が出ておらず、RTX 4070 SUPERの実質的にリネームを行ったモデルと言ってもいいかもしれません。

ちなみに、NVIDIAはRTX 5070のことをRTX 4090並みの性能であると言っていましたが、あれはDLSSやMFGなどドーピング状態のことを指しており、純粋な性能はRTX 4090に対して1440pのレイトレーシングありでは40%、4Kレイトレーシングでは46%劣る性能になっています。

RTX 5070ではVRAM容量が12GBに抑えられていますが、Indiana Jones and the Great Circleなどグラフィックス負荷が非常に重いタイトルではこの12GBのVRAMが足を引っ張るとのことで、1440p解像度では16GBのVRAMを持つRTX 4070 Ti SUPERが47FPS程度を記録する中、RTX 5070は13FPSとプレイ不可能なレベルになっており、GTA VIなどVRAM容量が必要となるタイトルでは設定を大きく下げる必要が近い将来発売されるゲームで求められる可能性がありそうです。

消費電力はRTX 5070は250Wに設定されており、RTX 4070 SUPERの220Wから30W上がっていますが、TechPowerUPによると最大消費電力は257Wでゲーム時も同じぐらいお消費電力を記録していたとのことです。一方で、同等性能のRTX 4070 SUPERは216Wを記録しているため、電力効率がRTX 4070 SUPERに対して落ちているとも言えます。


GeForce RTX 5070のメーカー希望小売価格(MSRP)はアメリカでは$550に設定されています。このMSRPを基準にコストパフォーマンスを算出するとRTX 5070はRTX 4070 SUPERに対して3%ほど優れたコストパフォーマンスが期待できるとのことです。ただ、RTX 4070 SUPERは2024年中ごろまでは$585で販売されており、RTX 5070のMSRPモデルとコストパフォーマンスは同等レベルになっています。また、そもそもRTX 5070含め、RTX 5000シリーズでは極度な品薄であることからMSRP通りに販売されるモデルは極めて少なくRTX 5070も$600~650程度になると見られているため、RTX 4070 SUPERが仮にまだ市場で販売されていた場合、コストパフォーマンス面では劣ると言えます。
GPU | 1FPSあたりのコスト | FPS | 販売価格 |
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GeForce RTX 5070 (定価) | 1727円 | 63 | 108,800円 |
GeForce RTX 5070 (実売) | 1870円 | 63 | 117,800円 |
GeForce RTX 4070 SUPER (2024年2Hの最安値) | 1533円 | 60 | 91,980円 |
日本で販売されるNVIDIA製グラフィックカードの正規品は代理店を通じて販売されるため為替レートに対して割高で販売されるケースが多くなっており、RTX 5070は$=198円相当のレートで換算されています。このレートをベースにNVIDIAは海外の$550に対して、日本でのMSRPは108,800円に設定していますが、RTX 5070 Ti発売時にはMSRPモデルは販売されず、すべてが割高なOCモデルになっていました。そのため、RTX 5070も同じようにMSRPモデルはほとんど用意されず多くのユーザーは割高なRTX 5070しか入手できないと考えられています。
これらを加味して、日本で購入する際のコストパフォーマンスはRTX 5070を定価で入手できたとしてもRTX 4070 SUPERの2024年下半期時点の最安値モデルに対して13%ほど割高で、現実的に入手可能な12万円近いモデルと比べた場合は22%割高になるなどRTX 4070 SUPERに対して同じ性能で20%以上も高価であり、日本でもHardware Unboxedが言っているように”Worst 70 Series Ever”=史上最悪の70番台GPUと言ってもいいかもしれません。
また最悪なのは価格だけではなく在庫状況も酷い状況と言われており海外ではよくてRTX 5070 Ti並みの入荷数であると言われています。そのため、このRTX 5070が発売されるのは2025年3月5日23:00ですが、例年のように深夜販売は行われず、RTX 5070 Tiなど他のRTX 5000シリーズと同じようにRTX 5070も発売時の3月5日時点では抽選販売の受付だけ行われ、実際の販売は3月6日以降に行われると見られています。
ただ、3月5日夜にはGeForce RTX 5070 Ti並みの性能をより安価に実現したAMDのRadeon RX 9070 XTのレビュー解禁日、そして翌日3月6日(日本は3月7日の可能性)にはRX 9070 XTの発売が行われるため、RTX 5070などのアッパーミドルレンジクラスのグラフィックカード購入を検討している場合はRTX 5070の抽選にだけ申し込んでおいてRadeon RX 9070 XTの価格や評価次第ではそちらの購入に切り替えるという方法がいいかもしれません。
Worst 70 Series Ever, GeForce RTX 5070 Review | Hardware Unboxed
NVIDIA GeForce RTX 5070 Founders Edition Review | TechPowerUP
https://www.techpowerup.com/review/nvidia-geforce-rtx-5070-founders-edition/
コメント
コメント一覧 (5件)
下のモデルが出る度に最悪評価を着実に更新していく地獄絵図
4090相当という話は何だったのか
頼んだぞAMD
4000シリーズを早々に切った時点で察するべきだったけど、この世代はハズレというかもはや特級呪物なんだよなぁ……
“お消費電力を記録” そしてまた中の方のお嬢様が隠しきれていない
>>16タイトルの平均性能は先代のRTX 4070 SUPERに対して+1%
誤差範囲でしか性能アップしていないうえに消費電力は30Wアップとかどうなっているんだ?
5070は最適化不足ってことを信じたい