Appleの自動運転自動車『タイタン』のためにM2 Ultra SoCを4個相当のチップを開発していた模様。コスト的に割に合わず?

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Appleの自動運転車プロジェクトは『プロジェクト・タイタン』と言う名称の元、2014年ぐらいから開始されていたのですが、2024年に入ってからこの自動運転車プロジェクトが中止されたことが明らかになりました。

ただ、このプロジェクト・タイタンのためにAppleは1兆円を超える研究開発費をかけていたと言われているのですがそのプロジェクト・タイタンの根幹を握り、開発終盤に差し掛かっていた自動運転車用のチップセットについて情報が明らかになりました。

BloombergのレポーターのMark Gurman氏によるとAppleは自動運転のための専用チップセットの開発を進めていたようで、チップセットはM2 Ultraを4つ搭載した超巨大チップであったとのことです。このチップセット自体はほぼ完成していたとのことですが、完成する前にプロジェクト・タイタン自体が中止となりお蔵入りとなったとのことです。

M2 UltraはAppleのMac StudioやMac Proなどに搭載されているチップセットで、16コアの高性能コアと8コアの高効率コアの合計24コアを搭載し、GPUは最大76コア搭載され、トランジスタ数は1340億になります。これを4つ搭載となるとCPUコア数は合計96コアでAMDのサーバー・データセンター向け製品のEPYC Genoaと同じコア数になります。GPUは304コアでこちらは比較対象がありませんが、トランジスタ数は5360億になります。

簡単に言えば最新鋭のデータセンターに搭載されているブレードサーバーが1個丸々車に乗っていると言っても過言ではないスペックになっていたようです。

これだけのチップセットを動作させるには莫大な電力が必要で、Apple M2 Ultra自体は1個100W程度ですが、4個搭載となるとチップセットだけで400Wとなります。もちろん、Appleのプロジェクト・タイタンは電気自動車で大容量バッテリーを積むため自動運転用チップセットに400W程度の電力の供給は可能なのですが、巨大チップセットの冷却に加え、電力変換を行うACコンバーターなど必要となる消費電力は400Wを大きく超え、電気自動車の商品性に直結する航続距離への影響が計り知れないという事で、恐らく商品性的にTeslaに競合することが困難だったのではないかと考えられます。

また、プロジェクト・タイタン自体、自動運転を売りにすると考えられていましたが、自動運転を行うための技術開発ができていてもアメリカの一部地域を除いては完全自動運転であるLevel 4での運行はハードルが非常に高く、自動車を量産する上で必要なUN認証もまともに整備されていない状態です。(Tesla Cybertruckの様にFMVSSが適用される北米でのみ発売も可能ですが、それでも自動運転Level 4は一般的には認められない)

そのため、仮にアップルがこのプロジェクト・タイタンを販売できる状態にまで完成させたとしても価格がポルシェのタイカン(2000万円ぐらい)を超えるような価格になるほか、自動運転Level 4の適用は不可能で、販売地域も限られてしまいます。

生産する上でも大量のカメラやセンサーをキャリブレーションしたり、チップセットの動作状況を確認する設備や方法の整備などAppleが完成車メーカーに生産を頼んだところで設備改修やCOPなどの確立にさらに多額の投資と時間がかかってしまうため技術的に完成できていても、それらを出荷するための段取りなど困難が待ち受けているのは目に見えているので正直このプロジェクト・タイタンは野心的ではありましたが、現実的ではなかったというのが正直なところです。

ソース:Apple Car Canceled: Live Q&A With Bloomberg’s Mark Gurman – Bloomberg

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