サムスンは、モバイル向けメモリとして長年供給してきたLPDDR4およびLPDDR4Xについて、新規受注を停止したことが明らかになりました。既存注文分を消化した後に正式にEOL(製造終了)となる見通しです。
サムスンがLPDDR4/LPDDR4Xを生産終了へ
LPDDR4とLPDDR4Xは通常のメモリより低電圧で動作するモバイル向けメモリで、スマートフォンやタブレット、ノートPCに加え、組み込み機器や車載システムなどでも広く採用されてきました。両メモリは量産開始が2015年ごろですでに10年以上経過しており、サムスンとしてはLPDDR5系への生産シフトを本格化させる段階に入ります。
最終受注は4月17日。2027年Q1にLPDDR5系へライン転換
韓国のTHE ELECによると、サムスンは4月17日時点でLPDDR4/LPDDR4Xの最終受注を済ませており、既存注文分の生産は2026年中に継続される見通しです。一方、製造ラインは2027年第1四半期からLPDDR5系への転換が進められるとのことです。
LPDDR5系への移行が当初より遅れていた背景には、顧客がLPDDR4/LPDDR4Xの供給確保を継続したことでサムスンがライン切り替えに踏み切れなかった事情があるとされています。今回の新規受注停止を機に、ようやく製造リソースを次世代メモリへ集中できる体制に移行する形となります。
なお、サムスンはメモリ事業全般でライン再配分を進めており、華城(ファソン)工場では2D NANDの生産を終了し、1c DRAMのエンドファブラインへと転用する動きも進行中です。LPDDR4/LPDDR4XのEOLも、こうした全社的な生産最適化の一環に位置付けられます。
Exynos 1330やTelechipsなど関連チップに影響
今回の新規受注停止はサムスンのExynosやQualcommなど、LPDDR4/LPDDR4Xを採用する現行チップにも影響を及ぼします。特にエントリー向けチップではコストの関係からLPDDR4を採用する傾向がありますが、在庫枯渇後はLPDDR5への切り替えが進む見通しです。そのため、エントリー向け製品においてはLPDDR5化により値上がりが懸念されます。
また、自動車向けのADASや車内インフォテイメント向けチップを手掛けるTelechipsも、想定より早いEOLを受けて2026年からLPDDR5/LPDDR5X対応への設計変更を進めています。ただ、自動車向け市場は長期供給が前提であるため、メモリ世代の前倒し切り替えはコスト高騰要因となり、自動車にも影響が波及する可能性があります。
SSDのキャッシュにも採用。さらなる値上げ圧力に
LPDDR4の影響はモバイルや車載に留まらずPCIe Gen4やGen5世代のSSDでも、コントローラーのキャッシュとしてLPDDR4メモリが搭載されているケースが一般的です。
そのため、EOLによりLPDDR4の供給が途絶えれば、SSDメーカーは設計変更に加え、より高価なLPDDR5への置き換えが必須となります。そのため、すでに高値で推移しているSSD価格がさらに上昇する懸念があります。

