第12世代対応、Intel製CPUの型番の見方と性能の違いを解説

この記事は最終更新日から1年経過しています。掲載内容や情報が古い可能性があります。
  • URLをコピーしました!

新しいコンピューターを選ぶ際にCPUが重要な役割を果たす事は周知の事実ではありますが、搭載されているCPUのモデルだけ見ても『Core i7-12700K』や『Pentium-G6500』など何が違うのかよくわからないと思います。今回は、このCPUのモデルナンバーが何を意味しているのかを紹介していきます。

 

目次

デスクトップ向けCPU

デスクトップ向けCPUでは比較的シンプルなラインアップになっています。

デスクトップ向けCPUのモデルナンバー解説

まずは、デスクトップ向け(コンシューマー向け)CPUから解説していきます。

例には2021年11月4日から発売が開始される予定の第12世代Intel CPUであるCore i7-12700Kを使用して解説します。

Core i7 12 700 K
ブランド名 CPUの世代 SKU バリアント

ブランド名:Core i7-12700K

冒頭に来る『Core i7』や『Atom』などの文字はCPUのブランド名を示しています。車で言うとトヨタ『プリウス』やレクサス『NX』など車種に当たります。

Intel製CPUでは、一般的なものでは計3つのブランドが存在しており、ブランド名からどのような層をターゲットにした製品か推察する事が出来ます。

Core Intel製CPUの主力モデル。Core iの後に続く数字が大きいほど性能が高いモデルとなっています。
i9 最上位のフラッグシップモデル。CPUの世代の中で最も高い性能を求めるユーザー向けで高解像度の動画編集から重いゲームなど高負荷な作業に最適なモデル。価格は最も高く10万円近くする場合が多い。
i7 ハイエンドモデルで、Core i9ほどの性能ではないが高性能。高解像度の動画編集から重いゲームなど高負荷な作業にも対応できる。価格は5~7万円ぐらい。
i5 ミドルレンジモデルで標準的な解像度での動画編集や一般的なゲームに対応可能。価格は3~5万円で一般的なユーザーに最もオススメできるモデル。
i3 コスト重視のミドルローレンジモデル。Microsoft Officeやブラウジング程度であれば快適に動作。価格は2~3万円程度
Pentium

エントリーモデル。Microsoft Officeやブラウジング程度であれば動作はするが、重い作業には向かない。価格は1~2万円

Celeron 最廉価モデル。Microsoft Officeやブラウジングでもストレスを感じる場面が発生する。その代わり価格は1万円以下。

もしPCを選ぶ際に、4Kでの動画編集や最新のゲームを最高の環境で行いたい場合はCore i9またはCore i7を、HDでの動画編集やゲームを行いたい場合はCore i5、Officeやブラウジング程度でしか使わないのであればCore i3を選ぶと後悔は無いです。なお、PentiumとCeleronに関しては予算上厳しくても、避けるべきCPUです。ブラウジング程度であれば動作はするものの、性能が低いためストレスを感じる場面は非常に多くなります。

CPUの世代:Core i7-12700K

モデル名の後に付与されている数字、上2桁はCPUの世代を表した数字となっています。

CPUの世代 コードネーム
第9世代 Coffee Lake
第10世代 Comet Lake
第11世代 Rocket Lake
第12世代 Alder Lake
第13世代 Raptor Lake
第14世代 Meteor Lake

基本的に、この数字が高いモデルの方が最新鋭であり、同じモデルで比較すると最新モデルの方が性能が高くなります。場合によっては1世代前のCore i7に対して、最新世代のCore i5が同等性能となる場合もありますので予算が許す限り最新世代のCPUを選ぶ方が正解と言えます。

なお、PentiumとCeleronはCPU世代と数字が上記で紹介されているCore系CPUとは異なっていますが、考え方は同じで数字が進むほど新世代となり性能が上がります。

SKU:Core i7-12700K

SKUとはStock Keeping Unitと呼ばれており、同じブランド内においても様々な製品が存在しています。その時にこのSKUを利用して、ブランド内での性能を区分けするのに利用できます。

一般的にはこの数字が大きいほど高性能であり、同じ世代、同じブランドのCPUでこの数字の大小を比べる事で大まかなにどちらの方が高性能であるかが判断できます。

例 Intel Core i5の場合:Core i5-12400<Core i5-12500<Core i5-12600

例Intel Pentiumの場合:Pentium Gold G6400<Pentium Gold G6500

バリアント:Core i7-12700K

各CPUの末尾についているアルファベットの無いモデルを標準として置くと、K/KF/Tなど付けられたモデルはそのモデルに機能が追加または機能が省かれたモデルとなっています。Intel製CPUでは末尾に付けられるアルファベットには以下の意味があります。

末尾のアルファベット 機能・説明
アルファベットなし

標準モデル。内蔵GPUは搭載、オーバークロック非対応
Core i5-12400、Core i7-12700など

F 標準モデルから内蔵GPUを無効化したモデル。オーバークロックも非対応。
Core i5-12400F、Core i7-12700Fなど
K オーバークロック対応モデル。内蔵GPUも搭載
価格は標準モデルより価格およびTDPは大幅に高くなる
Core i5-12600K、Core i9-12900Kなど
KF オーバークロック対応モデルだが、内蔵GPU非搭載
その分、Kに対して数千円安くなる。TDPは同じ。
Core i5-12600KF、Core i9-12900KFなど
T 標準モデルに対してTDPが引き下げられた省電力版モデル。
TDPは35W台
Core i5-12400S、Core i7-12700Sなど

Intelデスクトップ向けCPUでオススメは?

どのCPUがオススメかと言われると、用途により異なりますが、大まかには以下の3モデルになります。

パフォーマンス最重視な方

ゲームや動画編集など1秒でも早く作業を終わらしたいという方やとにかく性能を突き詰めたい人はCore i9-12900Kを購入する事をお勧めします。理由としてはとにかく性能が高く、オーバークロックにも対応しているため純正設定よりも更に性能向上が見込めます。

なお、性能を追求する方はきっとGPUを搭載するので内蔵GPU非搭載のKFでも良いと思われる人も居るかもしれません。ただ、万が一GPUに不具合が起きた際に内蔵GPUは搭載しておいた方が原因の確認が早く、ダウンタイムを縮小できるため個人的には内蔵GPUは搭載がオススメです。(動画配信やコンテンツクリエイターなどパソコン機材でお金を稼いでいる人は特に重要)

Intel Core i9-12900K |パソコン工房で73980円で販売中

コストパフォーマンス重視

ゲームも動画編集もしたいが、だからと言って湯水のようにお金を使いたくないという方にはバランスが取れているCore i5-12400がオススメです。性能面では6コアを搭載しており、ゲームや動画編集は快適にこなせます。一方で価格は3万円程度であるため、予算を抑える事も可能です。

なお、発売は2022年1月5日以降と見られています。

コスト重視

そこそこ使えるパソコンをとにかく安くで作りたいという方はCore i3-12100がオススメです。このモデルは2年前のCore i9-9900並みの性能はあるため、ゲームなども快適にプレイが出来、動画編集などの作業も4K動画編集や大量のエフェクト追加では厳しいですが、1440p程度であれば普通に動かせます。

このモデルも2022年1月5日発売予定で価格は2万円を下回ると見られています。

モバイル向けCPU

モバイル向けCPUについては、ゲーミングラップトップや薄型ラップトップ、タブレットなど様々な筐体が存在するためその分モデルナンバーは複雑なものになっています。

モバイル向けCPUのモデルナンバー解説

モバイル向けCPUについては、現在発売中の第11世代、TigerLake CPU、Core i7-1165G7を使用して解説します。

Core i7 11 65 G7
ブランド名 CPUの世代 SKU バリアント

ブランド名:Core i7-1165G7

冒頭に来る『Core i7』や『Atom』などの文字はCPUのブランド名を示していますが、こちらはデスクトップ向けとほとんど同じです。ただ、モバイル向けにはCeleronより下にAtomと言うCPUが追加されています。

Core Intel製CPUの主力モデル。Core iの後に続く数字が大きいほど性能が高いモデルとなっています。
i9 最上位のフラッグシップモデル。CPUの世代の中で最も高い性能を求めるユーザー向けで高解像度の動画編集から重いゲームなど高負荷な作業に最適なモデル。主にゲーミングラップトップで採用されるが発熱も大きいため、バッテリーの持ちは悪くなる。また、非常に高価。
i7 ハイエンドモデルで、Core i9ほどの性能ではないが高性能。高解像度の動画編集から重いゲームなど高負荷な作業にも対応できる。クリエイター向けのラップトップやゲーミングラップトップなどで採用されている場合あり。Surface Pro 8などタブレット端末でも採用例あり。
i5 ミドルレンジモデルで標準的な解像度での動画編集や一般的なゲームに対応可能。オフィス用モバイルPCで最も採用されているモデル。万能であり、標準的なモデル。
i3 コスト重視のミドルローレンジモデル。Microsoft Officeやブラウジング程度であれば快適に動作。オフィス用のモバイルPCなどで採用例多数あり。
Pentium

エントリーモデル。Microsoft Officeやブラウジング程度であれば動作はするが、重い作業には向かない。Surface Go 2などで採用されており、価格重視のモデル向け。

Celeron

廉価モデル。Microsoft Officeやブラウジングでもストレスを感じる場面が発生する。コスト重視のモバイルPCなどに採用される。

Atom 最廉価モデルかつ最も省電力なCPUであるため、GIGAスクール構想などとにかく低コストで限定的な運用でしか使わないようなモバイルPCなどで利用されています。一般的にAtom搭載PCは避けるのが無難です。

一般的な使用方法であれば、家庭や仕事問わずCore i5を搭載するモバイルPCであれば長い間快適に使用する事が出来ます。一方で、外出先で動画編集やゲームがしたいという方はCore i7搭載のモバイルPCを購入した方が良いかもしれません。Core i9についてはあまりにも性能と価格が高いため、万人受けでは無く、逆にAtomやCeleronについてはGIGAスクール構想用のPCに採用されていますが、起動に数分、ネットが高速でも描写に数十秒などユーザーにストレスしか与えない非人道的なスペックのため避けるのがオススメです。もし子供に効率より、我慢する事を学ばせたいのであれば良いかもしれませんが。

CPUの世代:Core i7-1165G7

モデル名の後に付与されている数字、上2桁はCPUの世代を表した数字となっています。こちらは第10世代と11世代はデスクトップ向けとは異なるコードネーム(プロセスルールとアーキテクチャー)を採用していましたが、Alder Lakeからは再び統一されています。

CPUの世代 コードネーム
第9世代 Coffee Lake
第10世代 Ice Lake(10nm化されデスクトップ向けと別れる)
第11世代 Tiger Lake(10nm化されデスクトップ向けと別れる)
第12世代 Alder Lake(デスクトップ向けとアーキテクチャーを再び統合)
第13世代 Raptor Lake
第14世代 Meteor Lake

こちらもデスクトップ向けと同じで基本的に、この数字が高いモデルの方が最新鋭であり、同じモデルで比較すると最新モデルの方が性能が高くなりますので予算が許す限り最新世代のCPUを選ぶようにしましょう。

SKU:Core i7-1165G7

このSKUについても基本的にデスクトップ向けと同じで、この数字が大きいほど高性能であり、同じ世代、同じブランドのCPUでこの数字の大小を比べる事で大まかなにどちらの方が高性能であるかが判断できます。

ただ、デスクトップ向けとは異なり桁が3桁のモデルや2桁のモデルが存在しています。

バリアント:Core i7-1165G7

各CPUの末尾についているアルファベットはデスクトップ向けと同じく、細かな仕様違いが示されており、モバイル向けでは内蔵グラフィックスの性能の違いやTDPの違いなどが示しています。なお、TDP違いがある場合はTDPが高いモデルほど性能が高い代わりにバッテリーの持ち時間や筐体の大きさは大きくなる傾向にあります。

末尾のアルファベット 機能・説明
アルファベットなし

モバイル向けには存在しません。

H

TDPが35W~45Wで設定されるモバイル向けCPU。モバイル向けCPUでは同じCore i5やCore i7でもHが付いているモデルの方がTDPが高いため高性能となる。

HK

TDPが35W~45WのCPUで、オーバークロックも可能。ハイエンドなゲーミングラップトップに搭載される。

P

TDPが28W程度に設定されるCPU。第12世代のAlder Lakeから再登場。内蔵グラフィックスを搭載するものの、性能に大きな差異は無い模様。(過去モデルではPは内蔵GPU非搭載でしたが、Alder Lakeでは未発表のため内容が変更される可能性があります。)

G7/G4/G1

TDPが28W程度に設定されるCPU。Gの後に続く数字は内蔵グラフィックスの性能を表しています。第11世代CPUまではこの名称が利用されていました。

U

TDPが15W程度に設定されるCPU。グラフィックスは内蔵しているものの、性能はUバリアントはすべて同じ。

Y

TDP 11.5W程度のCPU。Surface Goなど小型タブレット端末に採用される。

T TDPが7Wに設定されるCPU。小型なタブレット端末などで採用される。

モバイル向けについては、種類が多くここで登場しないバリアントも存在していますが基本的に現在発売されている第11世代辺りでは上記のバリアントを覚えておけば大体をカバー可能と言えます。CES2022でモバイル向けAlder Lakeも発表されますが、この時に新しいバリアントなどが追加されればこちらも更新していきます。

 

今回はIntel製CPUの型番について紹介をしましたが、今後AMDのRyzenなどの型番についても紹介していきます。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。
プロフィールはこちら

コメント

コメント一覧 (1件)

  • Atom:Atom系のネットブック用CPUはかなり前にPentium silverとCeleronにブランド変更されており、GIGAスクール構想の時代にAtomブランドでは出てきてないと思います。Atomはもともと組み込み用ブランド名で(スマホ組み込み用Atomがタブレットでも使われていただけ)、今でも組み込み用途で使われています。

    HK = 35W~65W:公称cTDPの範囲はこうですが、過去の製品は、実際には大半が65W運用だった気がします。

    P = 20~28W:UP3の後継で軽量級ノートにも搭載されるんで、cTDP下限の20Wでの使用も一定割合あるかなと思ってます。

    G7/G4/G1 = 15~28W:公称は15Wでしたし、実際に15W上限に設定されて28W出せないノートPCも多かったです。

    Y = 5~9W:選別落ちが例外的に11.5Wに設定されて中華ミニPC向けに出荷されたことがありましたが、基本的に5~9Wが公称値でしょう。

    あとモバイル用のTバリアントは存在してないと思います。

コメントする

目次