TSMC 3nm製造のGoogle Tensor G5がテープアウト。2025年発売のPixel 10に向けて開発は順調?
Googleが発売するスマートフォンのPixelでは最近はサムスンのExynosをベースにしたチップセットを搭載していましたが、2025年に発売されるPixel 10ではGoogle独自開発のチップセット『Tensor G5』に切り替えられる予定で、このチップセットはTSMC 3nmプロセスを用いて製造されると言われています。
そんなTensor G5ですが、台湾のサプライチェーンからの情報によるとチップの設計最終段階にあたるTape-outに成功したとのことで、製造のためにTSMCに設計仕様などが送られたとのことです。
今後、このTensor G5はTSMCでサンプル品が製造され、設計通りの機能やパフォーマンスを発揮できているか確認する作業が進められるのですが、半導体製品の多くはテープアウトから最終製品の発売まで1年ぐらいのリードタイムが確保されているため、この後の工程に問題が無ければ2025年秋前には実際にTensor G5を搭載したPixel 10シリーズについて正式発表などが行われるかもしれません。
このGoogle Tensor G5はGoogle独自開発のチップセットになると言う事で、Android OSも作るGoogleがチップセットレベルで独自開発を行う事により、アプリケーションからデバイスに至るまでの全体を完全にコントロールできるようになります。
これにより、サムスンなど一般的なAndroidスマートフォンはもちろんの事、Apple iPhoneにも対抗できるスマートフォンの開発が期待できます。特に、Googleが独自にハードウェア設計が可能になることで、いち早く最先端のAI機能を取り入れたスマートフォンの発売も可能になるなど、一般的なAndroidやiPhoneなどに対しても差別化が図れると言えます。
ただ、懸念点も存在しておりGoogleが一部カスタマイズしたExynosをベースにしたTensorを開発し、搭載したPixel 6では不具合が多発し、2021年に発売された端末ではあるものの、2024年7月現在も起動が不可能になるなどと言う致命的な不具合が新たに発生するなど品質面で問題がありました。これはPixel 7やPixel 8などでは改善されてきたものの、新しいチップセット搭載時にこのような不具合を起こしてしまっているため、初の完全カスタムチップのTensor G5では同じような失敗を繰り返さない事が求められます。
GoogleのTensor G5は既にサンプル品が出荷されている様子が荷物目録などで判明しているのですが、無事テープアウトまでこぎ着けたようですので現時点では開発は順調に進んでいると言えそうです。ただ、Pixel 6などで不具合が多発した過去もあるため、ハードウェアの出来栄えも気になるところですが、これらを動かすソフトウェアも入念に検証し、不具合が無い状態で発売することが求められます。
補足情報
Google Tensor G5はPixel 10シリーズに搭載が予定されているチップセットで、Googleが初めて完全独自開発するチップセットになっています。チップセットはTSMC 3nmを活用して製造することで、電力効率とパフォーマンスを向上させるほか、Googleが開発しているAI機能をフルに活かせるNPUなども搭載されると見られています。
製品ジャンル | メーカー | 製品名 | 発売予定時期 |
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スマートフォン向けSoC | Tensor G5 | 2025年夏から秋発売のPixel 10に搭載 |
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