去年の10月にRadeon RX 6800シリーズおよび6900 XTと同時に発表されたAMDのFidelity FX Super Resolutionですが、この機能が同じRDNA 2アーキテクチャーのグラフィックスを搭載するPlayStation 5やXbox Series Xなどにも展開される予定のようです。
先行する NVIDIA DLSSに追いつける? AMD Fidelity FX Super Resolution (通称:FXSS)
AMDでは去年10月にRadeon RX 6800および6900XTと同時にAMDの新しい機械学習を活用した超解像度技術であるAMD Fidelity FX Super Resolution (通称:FXSS*)を発表しました。このFXSSではNVIDIAが既にDLSS(Deep Learning Super Sampling)と呼ばれる名称で一部ゲームで採用されているものと似た技術です。DLSSもFXSSも基本な機能としては、重いゲームをネイティブ解像度より低い解像度で描写し、GPU内部で機械学習を使ってアップコンバートしネイティブ解像度とほとんど変わらない画質でネイティブ解像度の時よりも高いパフォーマンスを出す事が目的となっています。
そんなFXSSですが、機能について発表だけされて実装はされていませんが、Linus Tech TipsのLinus Sebastianによると、AMDはどうやらRDNA 2アーキテクチャーを採用する全デバイスで同時にFXSSを有効にする計画との事です。
*FXSSは勝手に頭文字を使って略しているだけです。AMDから出ている正式な略称ではなりません。
RDNA 2を採用するPlayStation 5、Xbox Series Xと同時にローンチか?
Linus Tech TipsでRadeon RX 6700 XTのローンチについて動画が挙げられましたが、その中でLinusはAMDがなぜこのFXSSが遅れたのか少しだけ情報をもらえたとして、以下のように発言しています。(動画:6:52)
Apparently, rather than rushing [FidelityFX Super Resolution] out the door on only one new top-end card, they want it to be cross-platform in every sense of the word. So they actually want it running on all of their GPUs, including the ones inside consoles, before they pull the trigger.
It would’ve been nice to have it ready by the time the cards launched, but as we saw with Nvidia’s DLSS 1.0 versus DLSS 2.0, it could be for the best.
— Linus Sebastian, Linus Tech Tips
日本語訳
AMDでFXSSがなかなか出なかった理由としては、FXSSを一部のハイエンドグラフィックスカードのみに対応させるより、対応できる全ての機種でFXSSに対応させたかったとのことです。もちろんそこにはゲームコンソールなども含まれ、それらを含めて一斉に対応させたいようです。
もちろん、グラフィックスカードとの同時リリースが望ましいですが、NVIDIAのDLSS1.0が使い物にならず、DLSS2.0でやっと使えるようになったことを考えるとこの考え方は正しいかもしれません。
AMDとしては、PCなど限られたユーザーのみが恩恵を受けるのではなく、できる限り多くのユーザーを巻き込んでFXSSへ対応を行いたいようです。
AMDのFXSSは去年10月にリリースされた情報によると、MicrosoftのDirectML APIを利用しており、当然ながらXbox Series Xへの適用は簡単に行えると考えられています。一方で、PlayStation 5については、どのように対応するかは謎に包まれていますが両者共にRDNA 2をベースとしたグラフィックスを搭載しているため、何かしらの方法を使ってリリースされると考えられます。
なお、AMDでは3月中のドライバーアップデートでRadeon RX 6000シリーズのFXSS対応を実施するとのリークが事前に流れており、近々コンソールでのFXSS対応など詳細について改めて発表があるものと考えられます。
AMD FidelityFX Super Resolutionが春に登場。NVIDIA DLSSに対抗
DLSSやFXSSなど機械学習を活用した超解像技術のメリットは画質を犠牲にせずにパフォーマンスを向上できる点ですが、デメリットはゲーム自体がこのDLSSやFXSSに対応する必要があることです。そのためAMDとしては今更FXSSをリリースしても有力なタイトルが対応してくれる保証はなくNVIDIA DLSSに追いつくことは困難でした。
しかし、PlayStation 5などのコンソールでFXSSが利用可能となると、主要タイトルの多くはPS5版でFXSS対応をすると考えられます。AMDとしてはその流れのまま同時リリースされるPC版でもFXSS対応してくれるだろうという魂胆が見えます。ただ、この魂胆通りに行くかはFXSSの出来にかかっていますので実際にFXSSがリリースされ、どれほど画質が落ちずに、パフォーマンスが向上するかを見ないと、今後どうなるかは予測はできません。
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