NVIDIA DLSS 3.5がCyberpunk 2077でDLSS 3.1を超える画質に。レイトレ時のノイズが少ないアップスケーリングを実現。
NVIDIAではDLSSと呼ばれるAIを活用したアップスケーリング技術を前面に押し出しており、NVIDIA GeForce RTX 4000シリーズにおいてはグラフィックカードの性能自体は抑えられているものの、フレーム生成機能を付与したDLSS 3.0を活用する事で従来のグラフィックカードより体感上の性能が大幅に向上する事が謳われています。
そんなDLSSですが、その最新バージョンであるDLSS 3.5が発表され、Cyberpunk 2077を使ってDLSS 3.1とDLSS 3.5そしてフレーム生成を加えたDLSS 3.5の3つを比較したYoutube動画がベンチマークなどを行うYoutubeチャンネル、MxBenchmarkPCより公開されています。
DLSS 3.5では従来のDLSSでは正しい結果が得られにくかったレイトレーシング時のアップスケーリングに焦点が当てられており、これを『Ray Reconstruction』と呼ばれる機能として新たに投入されています。
比較動画ではDLSS無しの動画が無いためオリジナルに対してどれだけ劣化が少ないかは不明ですが、比較動画においてDLSS 3.5とDLSS 3.1の間で最も異なるのが上記スクリーンショットのシーンで、DLSS 3.1ではレイトレーシングのアップスケーリングによってフェンス部分にノイズが出現していますが、DLSS 3.5系ではノイズは一切出ておらず、フェンスのディテールについてもDLSS 3.0に比べてより緻密に描写が行われています。なお、パフォーマンス面ではフレームレートを見る限りほとんど変わっておらず、Ray Reconstructionによるパフォーマンスへの影響は抑えられているようです。
このDLSS 3.5については最終版が9月以降にロールアウトされる予定で、この技術の動作にはゲームエンジン内で有効にする必要があります。そのため、DLSSファイルを単純に交換しただけでは動作しませんが、Call of Duty Modern Warfare IIIなど大型タイトルにおいては対応すると見られているためRTXシリーズを持っているユーザーはリリース後に一度試してみる価値はあるかもしれません。
NVIDIAではGeForce RTX 4000シリーズからグラフィックカードの性能を向上させるというよりは、DLSSの様なソフト面で体感上の性能を向上させる方向に向かっており、DLSS 3.5の登場でその方向性はより明確になったと言えます。ただ、このDLSSについては対応ソフトとハードウェアがあれば絶大な効果が得られるものの、対応ソフトが少ない点やゲーム開発者側で設定が必要など制約も多いため、消費者はグラフィックカードの絶対的な性能を重視する傾向にあるため、NVIDIAの方向性とユーザーが求めている方向性の間にはまだまだ不一致があると言えそうです。
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