DRAMとSSDの良い所取りした『ULTRARAM』が登場。近い将来メモリは1つに統合される?

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近い将来SSDとメモリーは統合される?両者の良い所取りをした『ULTRARAM』が登場

ULTRARAM wins most innovative flash memory award (electronicsweekly.com)

現代のPCではCPUの処理に必要な小さなデータを一時的に格納するDDR5などDRAMメモリーと、写真や動画など容量の大きなデータを長期間格納するのはSSD(フラッシュ)と言う形で2つのストレージデバイスが搭載されています。

DRAMは非常に高速なアクセスが可能である一方で、揮発性メモリであるため電源が供給され続けなければデータの維持が出来ません。そのため、上述のようにCPUの処理に必要なデータを一時的に格納するために使います。一方でフラッシュは不揮発性メモリであるため電源が遮断されてもデータは維持できますが、DRAMほど高いアクセス速度は期待できません。そのため、PCではコストはかかるもののDRAMとフラッシュの2つのメモリを搭載しているのですが、近い将来この組み合わせが変わり、1つのメモリのみで問題がなくなる可能性があります。

それが、ULTRARAMと呼ばれる新しいフラッシュメモリです。

このULTRARAMはフラッシュ系メモリの技術イベントであるFlash Memory Summit 2023(FMS2023)にて発表され、同イベントで最もイノベーティブな新技術として賞を受賞した技術となっています。元々はランカスター大学で発明され、その商業化を行うべく設立されたQuinas Technology社が同大学と共に現在も開発を続けています。

このULTRARAMは名称が奇抜ではあるものの、理論的にはすべてのデバイスに対応できるメモリであり構造は、「特許取得済みのメモリ技術は量子力学的共鳴トンネリングを使用して、速度、不揮発性、耐久性、エネルギー効率の組み合わせを提供します」と言う事で非常に万能なメモリになっています。

具体的には、ULTRARAMではDRAM並みの性能を提供できるのですが、読み書きに必要なエネルギー使用量は大幅に削減され、データも最大1000年程度保持できる耐久性を有しているとのことです。

このULTRARAMが実用化されればデータセンターにおいてはエネルギー使用量の大幅な削減が可能になる上に、消費者向けデバイスと共に今まではDRAMとフラッシュの2つを搭載していた事でデバイスの消費電力やパフォーマンスのボトルネックになるケースもありました。しかし、ULTRARAMが登場すれば消費電力を削減できると共に、完全なパワーオフ状態からの起動が高速化され、スリープモードなどが不要になる可能性があります。

このULTRARAMはガリウムアンチモナイド(GaSb)、インジウムヒ化物(InAs)、およびアルミニウムアンチモナイド(AlSb)などの化合物半導体を使用しておりコストや生産性については明らかにされていないためDRAMやフラッシュに比べると大きく劣るものと見られています。しかし、まだ開発が始まったばかりではあるもののDRAMとフラッシュを統合できる点はサーバー・データセンターからPC、スマートフォン、自動車や産業用機器など幅広い分野での活用方法が見いだせるため、今後研究開発が進み数年先には実用化に向けた規格策定などが行われるものと見られています。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
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