Qualcommでは2024年に投入を予定しているスマートフォン向けSoC、Snapdragon 8 Gen 4について3nmのキャパシティー不足を懸念してTSMCとサムスン両方で製造する事を検討していましたが、どうやらTSMCでのみ生産する事に変更されたようです。
QualcommのSnapdragon 8 Gen 4はTSMC 3nmでのみ生産へ。デュアルソーシング化でサムスンの3nm GAA+が検討されるも不採用に。
Qualcommについては主力のスマートフォン向けSoCであるSnapdragon 8 Gen 4を2024年頃を目途に投入する計画となっています。このSnapdragon 8 Gen 4では3nmプロセスを用いて製造が行われる計画となっています。しかし、3nmの本命であるTSMC 3nmの量産化が遅れている事やキャパシティーでリスクが懸念される一方で、サムスンについては3nm GAA+の量産が開始され、歩留まりも会社発表によると良好という事でQualcommではSnapdragon 8 Gen 4についてTSMC 3nmとサムスンの3nm両方を使う『デュアルソーシング』化が行われるのでは無いかと噂されていました。
このデュアルソーシング化ではサムスンのスマートフォンであるGalaxyに搭載されるSnapdragon 8 Gen 4はすべてサムスンで製造し、それ以外はTSMCで製造を行うというアプローチが取られる予定でしたが、このデュアルソーシングのリークを行ったRevegnus氏によるとこの計画は変更されたとのことです。
Revegnus氏はサムスンの3nm GAA+で製造されるSnapdragon 8 Gen 4はキャンセルとなり、TSMC 3nmであるN3Eですべて製造されると新たにリークしています。
Qualcommがこの変更に至った理由については明らかにされていませんが、一般的にTSMCでの製造単価はサムスンに比べて高価でSnapdragon 8 Gen 4搭載スマートフォンについては今以上に高価になる可能性がある中でこのような変更を決定した背景にはサムスン3nm GAA+について供給面で懸念があったものと見られています。
Qualcommについてはコストより安定供給を最優先してファウンドリーを選ぶ傾向が強くSnapdragon 8 Gen 1ではTSMC 4nmのキャパシティーが不安だったためか、サムスンの4nmで製造が行われていました。しかし、歩留まりが悪く供給面でも問題になったため、たった半年でTSMC 4nmへ移行するなど安定供給が会社の利益に直結するため容赦ない傾向にあります。
そのため、サムスンの3nm GAA+についてはサムスン側は歩留まりが良好とプレスリリースでも発表していますが、実際にはサムスンの3nm GAA+については何かしらの製造上の不具合に悩まされている可能性があり、これがQualcomm側の要求する供給量を満たせない可能性があると判断され結果的にSnapdragon 8 Gen 4はTSMC独占での製造と言う形に落ち着いたものと言えそうです。
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特にTSMC 3nmについては当初は製造上の不具合や歩留りが低調と言う話はありましたが、現在は5nmよりも高い歩留りを実現していると言われており、この高い歩留りについてもQualcomm側がTSMCに乗り換える理由の一つとして評価した可能性がありそうです。
コメント
コメント一覧 (2件)
これは朗報ですね。
ただその前に8Gen3はどうなるんでしょうね?
3nm世代がTSMC一社に集中することが確定してしまうこと、再来年になってもN3Eを使っているであろうことはあまり良いニュースとは言えないですね…