OpenAIの動画生成AI『Sora』が普及すると最大72万台のNVIDIA Hopper H100が必要に。消費電力は原発1基近くに

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OpenAIの動画生成AI『Sora』が普及すると最大72万台のNVIDIA Hopper H100が必要と推計。消費電力は原発1基分

OpenAIはChatGPTを開発、公開したことで一気に有名になった企業で、元々2015年に設立された比較的新しいスタートアップでしたが、今ではGoogleやApple、Metaが脅威に感じ、Microsoftが1兆円以上出資するなどしています。

そんなOpenAIが文章の生成AIのChatGPTの次の製品として、動画生成AIの『Sora』を発表し現実と見分けがつかない様なリアルな動作生成が行えることが話題となっていますが、この動画生成AIの『Sora』が実際に普及し、多くの人が使えるようになるには信じられないほどのコンピューティングパワーと電力が必要になるという推計が出されています。

Hopper H100 GPUを使うと5分の動画を生成するには1時間分のGPUパワーが必要になるとのことです。この性能を基にTikTokやYoutubeなどに投稿される動画の内、TikTokでは56万時間の内、半分にあたる28万時間万分、Youtubeでは71.6万時間の内、15%の10.7時間の動画がSoraで生成されたと仮定すると、コンテンツクリエイターの需要を満たすには最低でも8.9万台のNVIDIA Hopper H100 GPUが必要になるとのことです。

ただ、これはGPUが理論上最大の性能を発揮した場合の推計で、メモリーや通信などのロスにより使用率は50%程度に落ちます。これで最低18万台必要となりますが、需要自体は常に均一ではありません。

もしすべてのトラフィックを裁くとなるとさらにGPUが倍程度、そしてコンテンツクリエイターが投稿する動画に対して1本の動画だけ作るとは考えられず、最低2本作る可能性もあるため、さらにGPUが2倍程度必要となり、結果として合計72万台程度のHopper H100がピーク時には必要と言う計算になるようです。

Hopper H100は消費電力が700Wで、仮に72万台を一斉に使った場合は50.4万kWになり大型な火力発電1基分、さらに冷却や電力損失などを含めると80万kW程度必要となり、関西電力が保有する美浜原発3号機の定格出力に迫る電力が必要になるようです。

今回の推計結果は投稿される動画の内、TikTokで50%、Youtubeで15%の動画がAIで作られるという計算の根拠は明らかにされておらず、盛った計算である印象もあります。ただ、これらが半分にし、ピーク時は負荷の均一化を狙いキュー制にし、1人2分程度までに制限したとしても依然として9万台のHopper H100が必要になり、消費電力は6.3万kWで冷却や損失を合わせると9万kW程度で一般家庭3万世帯ぐらいの消費電力が必要になります。

ただ、NVIDIAがHopper H100に対して性能を最大5倍程度に高めたBlackwell B200を発表したり、生成AIのアルゴリズムも改良されていくため今後、この必要になるGPUの台数や消費電力は減ると考えられますが、少なくとも2024年3月時点においては『Sora』などの動画生成AIの利用には膨大で多くのユーザーが利用するには非現実的な計算能力が必要と言えます。

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ChatGPTについては1日あたり約2億リクエストを応えるために50万kWの電力が必要で、2027年にはAI系が使う電力消費が全世界の総消費電力の0.5%を超える可能性が出ていますが、それだけの電力を賄うための発電設備については少なくとも日本ではあまり進んでいない印象です。

今後も様々なAI開発が進み、普及していくと必要な電力量も増えるため、そのうち原子力発電所は電力会社以外にもMicrosoftやGoogleと言ったIT企業が作る可能性もありそうです。実際に、Microsoftでは採用ページで小型モジュール原子炉の研究者を募集していたことがあるなど電力の自給自足に向けて検討をしている事は確かです。

ソース

Under The Hood: How OpenAI’s Sora Model Works | Factorial Funds

https://factorialfunds.com/blog/under-the-hood-how-openai-s-sora-model-works

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