Snapdragon X Eliteのベンチマークに不正疑惑。OEMはQualcommが記録したスコアを再現できず
Qualcommが2024年4月24日に発表したSnapdragon X PlusとEliteはノートPC向けARMとして非常に高い性能と電力効率を持つと明らかにしています。
発表会ではGeekbench 6のスコアを持って性能の高さが示され、Snapdragon X Eliteでは15,610ポイント、Snapdragon X Plusは13,350ポイントを記録するなど同じARM系CPUのApple M3を10~28%上回る性能であるとアピールしています。
しかし、この高いスコアについて非常に限られた条件または設定によって再現されているなど不正行為をして取得された結果である可能性が指摘されています。
Snapdragon X Eliteを搭載予定の複数OEMに対してSemiAccurateが入手した情報によると、Snapdragon X EliteおよびSnapdragon X Plusで記録されたスコアについて、どのような設定で行われたかなどが明らかにされておらず、開発中のデバイスで計測を行っても同等のスコアは再現できなかったとのことです。
この開発中デバイスで計測されたスコアは酷いケースではQualcommが達成したとするスコアに対して5割程度と言うものもあり、冷却の見直しなどを含めて見直しを進めても、Qualcommが発表しているスコアと同等レベルまでスコアを伸ばすことができなかったようです。
Semiaccurateでは具体的にどのような不正が行われているのかなどの詳細は明らかにされておらず、あくまで不正疑惑と言うレベルの話ですが、今回のQualcommのベンチマークについては不明点は多く残されているのは事実です。
特にApple M3と性能を比較するグラフではGeekbench 6.2.0を使っている事は明らかにしていますが、性能に大きな影響を与えるTDPについては何も明かされていません。Snapdragon X EliteとPlusはTDPが28Wから最大80Wまでのレンジで設定ができます。一方で比較対象のApple M3はTDPは最大20W程度と言われているため、TDPを明確に示さなければフェアな比較ではなく、消費者に誤解を与える発表方法と言えます。
また、多くのOEMがノートPCでTDPを80Wに設定する事は考えられず、仮にTDP80W設定で計測された場合、不正とまでは行かないものの優良誤認に近いものであるため、早いところこの件についてQualcomm側が計測条件など説明をすることが求められます。
QualcommのSnapdragon X EliteやPlusではTDPが28Wと80W版の2つ存在することは2023年10月の発表会で明らかにされていましたが、今回のベンチマークではTDPについて記者が触れても回答はしてもらえなかったらしく、恐らくベンチマークで不正を行ったと言うよりは、TDPを80Wなど高く設定して計測した可能性が高そうです。ただ、このような事をしてもベンチマークを複数回回すストレステストのような事をすれば1発で発覚するので、仮に高いTDPでテストしていたら早めに釈明した方が良い気がしますね。
ただ、今回の不正もあくまで疑惑で明確な証拠はない状態ですので、レビューアーや個人の手にこのSnapdragon X Elite搭載ノートPCが渡った際にどのような性能を出せるのか注目です。
Qualcomm Is Cheating On Their Snapdragon X Elite/Pro Benchmarks | SemiAccurate
コメント