NVIDIAがGeForce RTXでP2P機能を無効化。プロ用途はRTXシリーズに課金を?

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NVIDIAのGeForce RTX 4090はゲーミングにおいて高い性能を発揮するもののこの性能を活かしてコンテンツ制作や機械学習などエンタープライズ向けに活用しすることを思いつく人も居そうですが、NVIDIAでは先回りしてエンタープライズ向け用途で需要が高いP2P機能についてGeForce RTXシリーズから削除されている事が明らかになりました。

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GeForce GPUはゲーム用。エンタープライズ用途では高価なRTXシリーズの購入を推進させるためにGeForceからP2P機能を削除。

NVIDIAではゲーミング用途用に発売しているGeForceとエンタープライズ向けに販売しているRTXシリーズの2種類のグラフィックスカードが存在しますが、この2つでは同じGPUダイを使いつつより安価なGeForceはRTXシリーズに対して一部機能が無効された状態で販売されています。ただ、それでもGeForceでもエンタープライズ向けで使うには十分な機能が提供されている場合も多く、安価に販売されているGeForceを用いてコンテンツ制作や小規模な研究開発に使うというユーザーが存在していました。

しかし、NVIDIAとしてはコンテンツ制作や研究開発のようなエンタープライズ用途ではGeForce RTXより数倍高価なRTXシリーズを用意しており、この製品を使って欲しいというのが正直な所であり企業収益を失わないためにNVIDIAではGeForce RTXシリーズから複数のグラフィックスカードを使う際に便利な『P2P機能』をフェードアウトさせているようです。

このP2P機能は数年前から登場した技術で、複数のグラフィックスカード間でのデータのやり取りをシステムメモリーを介さずに直接グラフィックカード間で通信する技術で、CUDAプログラムを動作させる際にはレイテンシーを下げる事が可能になる他、システムメモリーを使わないためリソースの節約にもなっていました。

このP2P機能についてコンテンツ制作などエンタープライズ向けPC製作を手掛けるPuget SystemがAMDおよびIntelシステム上でさまざまなマルチGPUベンチマークを実行したのですが、GeForce RTX 4090ではこのP2P機能が無効化されているのかP2P関連のワークロードのベンチマークは失敗またはデータ破損が発生した事を報告しています。

このP2P機能についてはPCIeまたはNVIDIAのNVLinkを介して機能し、GeForce GTX 1000シリーズやRTX 2000シリーズまではNVLinkやPCIeを利用したP2P機能はサポートされていたようです。しかし、RTX 3000シリーズからはP2P機能が無効化されており、RTX 4090についてもP2P機能が無効化されている事がNVIDIAからの回答で明らかになっています。RTX 4090についてはP2Pベンチマークでは非対応との表示は無く『破損』と表示が出たため、Puget SystemがNVIDIAへ問い合わせを行ったとの事です。

エンジニアからのフィードバックによると、GeForce RTX 4090ではPeer to Peerはサポートされていないそうです。アプリケーションとドライバはこの構成をPeer to Peer対応として表示すべきではありませんでした。そのため近い将来登場するドライバーでは『非対応』として表示するようにします。— NVIDIA代表

NVIDIAが旧世代のグラフィックスカードで軒並みサポートされていたP2P機能を無効化した背景には、NVIDIAはGeForce RTXなどゲーミング用途向けグラフィックスカードがゲーム以外の用途で使われる事に対して否定的である事にあります。

特にAmpere時代では上位のRTX 3090とRTX A6000では同じダイを使っていた事から一部のシステムインテグレーターは高価なQuadroやRTXシリーズよりもGeForce RTX 3090のブロワークーラー搭載版を使用して、費用対効果の高いサーバー製品を提供し、NVIDIAは結果的にGeForce RTX 3090のブロワークーラーの搭載を禁止する措置に出ました。

同様に、現在最新のGeForce RTX 4090とRTX 6000 Ada Generationでは同じAD102 GPUダイを使っていますが、前者は27万円、後者は120万円と5倍程度の差がありますが、P2P機能が両社で使えるとなると多くの顧客は圧倒的に安いRTX 4090をシステムに組み込むことが想定されるため、NVIDIAとしては収益を守るために意図的にGeForce RTXシリーズなどではP2P機能などを無効化するなどRTXシリーズとの差別化を進めているようです。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
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