AMDが2023年2月に発売を予定している3D V-Cache搭載のRyzen 7000X3DではV-Cacheの温度条件が厳しい事から手動でのオーバークロック機能は無効化される見込みでしたが、AMDが新たに更新したRyzen 7000X3Dの仕様書によると、手動オーバークロック機能が有効化される可能性があるようです。
Ryzen 7000X3Dの手動オーバークロック機能は有効化に変更。ただし、ミスの可能性もあり、そもそも推奨されず。
AMDの3D V-Cacheを搭載するRyzenシリーズに関しては初めて登場したRyzen 7 5800X3Dでは手動でのオーバークロック機能は無効化されていました。理由としてはダイの上に載せられている関係上、V-Cacheは熱を受けやすくAMDとしては安定性と耐久性を優先した結果と言われています。
この流れは2023年2月に発売されるRyzen 7000X3Dにおいても同様と見られており、2023年1月時点でAMDのサイトに掲載されていたRyzen 9 7950X3DやRyzen 9 7900X3D、Ryzen 7 7800X3Dの仕様では手動でのオーバークロック機能は無効化され、Precision Boost Overdrive (PBO)やCurve Optimizerのみ有効化されるという表記でした。
AMD Ryzen 7000X3Dはオーバークロック不可。Microsoftは最適化を実施へ
しかし、AMDが2023年1月23日ごろに、Ryzen 7000X3D各モデルの仕様ページを更新し、オーバークロック機能を示す『Unlocked for Overclocking』がYesに変更されている事が明らかになりました。
この『Unlocked for Overclocking』はBCLKオーバークロックの可否を示すものであるため、他のRyzen 7000シリーズの様に動作クロックを自由に設定が出来るものでは無いと見られています。また、AMDでは過去にRyzen 7000X3Dについて誤って発売日を掲載したというミスもあったため、今回の『Unlocked for Overclocking:Yes』と言う記載もミスである可能性もありそうです。
AMDとしてはCPUの電力効率とパフォーマンスの両立が可能なCurve Optimizerの使用をRyzen 7000X3Dで推奨しています。CPUの電圧についてもRyzen 7 5800X3Dでは1.1VだったものからRyzen 7000X3Dでは1.4Vへ上げられているため、温度や電圧に敏感な3D V-Cacheを扱う上では今まで以上に注意が必要で、設定を誤れば故障へ繋がる可能性が十分にあります。そのため、BCLKオーバークロックが本当に可能となっても、これらの設定には手を出さず、素直にCurve Optimizerの調整のみ触るに留めておいた方が良さそうです。
Ryzen 7000X3Dについてはただでさえ密度の高いCPUダイの上にSRAMダイを重ねているため温度的には非常に厳しいと言え、AMDの言う通りCurve OptimizerなどAMDの自動設定に任せて、BCLKオーバークロックが可能でも不用意に触らない方が安全と言えそうです。
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