AMD EPYC 9654が世界最速CPUに。EPYCが2023年にシェア30%獲得する可能性

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AMDでは2022年にZen 4アーキテクチャーを採用するサーバー・データセンター向け製品のEPYC Genoaの投入を開始していますが、このCPUの最上位モデル、EPYC Genoa 9654が世界最速CPUとなった事がPassmarkベンチマーク結果より明らかになりました。また、AMDのこの高い性能によってサーバー・データセンター向け製品の市場シェアは2023年末には30%にまで伸びる予測も示されているようです。

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AMD EPYC Genoa 9004シリーズ最上位モデルが世界最速CPUに。Core i9-13900KSの2倍の性能を発揮

AMDは2022年にZen 4アーキテクチャーを採用するEPYC Genoa 9004シリーズを投入しています。このCPUでは最上位モデルのEPYC Genoa 9654は96コア、192スレッド構成となっており、動作クロックは2.4 GHzから最大3.7 GHz、キャッシュは384MBでTDPは最大400WとCPUの常識を打ち破るようなコア数と消費電力を持ったCPUになっています。

今回、このAMDのサーバー・データセンター向け製品、最上位CPUのEPYC Genoa 9654のPassmarkベンチマークが出現し、世界最速のCPUの称号を手に入れた事が明らかになっています。

Passmark上で記録されたベンチマークによると、EPYC Genoa 9654は124,119ptを記録しています。この記録は2023年1月時点では世界最速CPUであると共に、Passmark史上初めて10万ptの壁を破った最初のCPUとなっています。

このEPYC Genoa 9654に関しては、これまで最速CPUであったRyzen Threadripper PRO 5995WXの95,539ptを30%上回っています。EPYC Genoa 9654はTR PRO 5995WXに比べると1.5倍のコア数を搭載していますが、動作クロックが最大4.5 GHzにまで上がるTR PRO 5995WXに比べると3.7 GHzと低いクロックで動作するEPYC Genoa 9654で30%近いスコア向上を記録しているのはZen 4アーキテクチャーを採用した事による効率向上の結果と言えそうです。

このEPYC Genoa 9654を他のCPUと比べると、シングルコア面ではCore i9-13900KSを40%近く劣っていますが、96コアと言う圧倒的なコア数によってマルチコアでは2倍近いスコアを叩き出しています。また、IntelのIce Lake世代となるXeon Platinum 8380に対してもマルチコアスコアでは2倍近いスコアを叩き出しています。

XeonとEPYC Genoaとのスコア差についてはSapphire Rapids搭載のXeonが登場すれば2倍の差まではいかないものの、Sapphire Rapids Xeonは最大60コアであることを考えると、1.2~1.5倍程度の差は付けられてしまうと考えられます。

EPYC Genoa 9004シリーズの高い性能でAMDは2023年にサーバー向けCPUの市場シェアが歴代最高の26%を超える可能性。

AMD EPYC CPUs Including Genoa & Bergamo Expected To Push Server Market Share Beyond 30% (wccftech.com)

EPYC Genoaについてはx86系CPUで圧倒的な性能を見せつけていますが、この圧倒的な性能を武器にサーバー・データセンター向け製品においてAMDは更にシェアを伸ばしていく事がKeyBancの調査で明らかになっています。

AMDでは2022年末に発表したEPYC Genoaの他に、2023年には3D V-Cacheを搭載するGenoa-X、最大128コアを搭載するEPYC Bergamoの投入も計画していますが、このAMD製CPUが持つ高いコア密度と電力効率を武器にサーバー・データセンター向けCPUの市場シェアを大きく伸ばすと見られており、2023年年初は22%だった市場シェアは2023年末には30%にまで拡大する可能性があるとKeyBancは予測しているようです。

この30%というシェアに関しては、AMDのOpteron CPUが好調だった時の26%を上回っています。また、EPYCについては2017年から投入が開始されたCPUであり、たった6年でサーバー・データセンター向けCPUのシェアのほとんどを握っていたIntelを抑えてここまで成長できたことは驚異的と言えます。

一方で、AMDのライバルであるIntelにとっては2023年は明るい話は少なく、サーバー・データセンター向けではSapphire Rapids世代のXeonを投入していますが、上述の通り96コアのEPYC Genoaに最大60コアで対抗する事は困難と見られています。また、2023年後半にはSapphire Rapidsから性能を向上させたEmerald Rapidsを投入するものの、EPYC Genoaに性能面で優位に立つ事は困難と考えられているため、AMDの好調ぶりはひときわ際立つと見られています。

AMDではサーバー・データセンター向け製品から得られる多額の収益を基に製品ラインアップを拡大しており、EPYC Genoa、Bergamo、Sienaに加えて、アクセラレータを搭載するInstinct MI300などエンタープライズ向け製品で攻勢を強めているため、Intelにとっては厳しい戦いがしばらく続くと見られています。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
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