AMDのモバイル向け8コアCPU、Ryzen 7 5800Uは『Zen 3』アーキテクチャーを搭載し、コードネームはCezanneと呼ばれています。今回、Cezanneこと、Ryzen 7 5800UのGeekbenchベンチマーク結果が出現しました。
驚異的なシングルコアパフォーマンス
AMD『Zen 3』アーキテクチャーを搭載するモバイル向けRyzenであるRyzen 7 5800UのGeekbench結果が出現しました。そのスコアは現行のRyzen 7 4800Uに対してシシングルスレッド性能が38%も向上しています。
デスクトップ版『Zen 3』と同じく8コアCCXを搭載
AMD Ryzen 7 5800Uでは、デスクトップ版『Zen 3』と同じ思想でCCXとそのキャッシュ部分のデザインが刷新され性能の向上が図られています。
『Zen 2』までは、CPUの中にCCXと呼ばれるモジュールが2つ搭載され、合計で8コアでした。各CCXは4コアになっており、L3キャッシュも容量の少ないものを各CCX毎に持っていました。このレイアウトの場合、CCXを跨ぐ通信などを行うとレイテンシーが上がり、性能が大きく低下するという欠点がありました。
一方で『Zen 3』からはCCXが1つ=8コア搭載されるようになり、L3キャッシュも8コアすべてが1つの場所にアクセスするようになりました。そのため、レイテンシーが下がり高い性能を発揮できるようになりました。
『Zen 2』Ryzen 7 4800Uに対して38%の高速化
Ryzen 7 5800Uでは、8CUを搭載するVega GPUを搭載し、通常のクロック周波数は2.0GHzで動作すると見られています。
スコアを見ると、Ryzen 7 5800Uではシングルスレッドは1421pt、マルチスレッドで6450ptを記録しています。前世代に当たるRyzen 7 4800Uではシングルスレッドでは1031pt、マルチスレッドでは5845を記録しており、シングルスレッドは約38%、マルチスレッドでは約10%のパフォーマンスがRyzen 7 5800Uで上がっています。
このパフォーマンスですが、IntelのTigerlake-Uに当たるCore i7-1165Gと比較しても、シングルスレッドの性能はほぼ同等ですが、マルチスレッドではCore i7が4743とRyzen 7 5800Uの方が約36%高いという結果になっています。
今回、紹介されたAMD Ryzen 7 5800Uと、その他のモバイル向けRyzen 5000UシリーズはCES 2021にて発表が予定されています。
AMDのRyzen 5000Uですが、デスクトップ版の『Zen 3』と同じようにIPCが高く、全般的に高い性能を発揮できるようです。最新鋭のIntel Tigerlake-Uと比べてもシングルスレッドでは同等、マルチスレッドでは3割増しとモバイルPCの性能を大幅に上げるポテンシャルを持っていそうです。
AMDでは2020年度第二四半期決算の場にて、モバイル向けRyzenの出荷が大幅に伸びたと発表しています。恐らくRyzen 5000Uシリーズでもその流れは続くと見られており、2020年度第四四半期から2021年度第一四半期にかけて更にCPU部門は利益を積み増す事が出来ると考えられます。
コメント