Intel製CPUでは自社ファウンドリでCPUを生産をしているため出荷量の面では外部ファウンドリに頼るAMDに比べて安定的な状況が続いていました。しかし、3月末にリリースしたRocket Lakeでは部材の供給不足によって出荷量が需要を下回る可能性が出てきているとの事です。
2021年4月~6月(第二四半期)にかけてRocket Lake CPUの出荷量が減る可能性
Exclusive: Demand To Exceed Supply For Intel Rocket Lake Due To Substrate Shortage (wccftech.com)
Intel製のCPUはすべて自社のファウンドリで生産している事からキャパシティー面で余裕や調整代があり出荷量については安定的に推移していました。一方でTSMCなどの外部ファウンドリを利用していたAMDではキャパシティーが原因で出荷量が不安定な状況が続いていました。結果的に、AMD Ryzen 5000シリーズは高い評価とは裏腹に出荷量の少なさからIntelが市場でより多くのシェアを取るという結果となりました。
しかし、Intelによると複数のパートナーに対してCPU製造に必要な部材について近いうちに供給不足が発生しそれに伴いRocket Lake CPUの出荷量が減少すると報告を上げているとの事です。概要としては以下の通りです。
- 2021年1月~3月まではRocket Lake CPUの生産割当は安定的で数週間は希望小売価格で販売ができる模様
- CPU製造に必要な部材不足により4月~6月のRocket Lake生産割当は厳しい状況になる
- 生産割当は上位モデルが優先されるため、Core i5、Core i7、Core i9の順で影響を受ける
- Intelでは自社ファウンドリを利用しているため、AMD製CPUに比べて供給量の調整が容易(Intelは部材不足だけですが、AMD(TSMC)は生産キャパと部材不足の両方)のため、販売プレミアはAMD Ryzenに比べて低くなる見込み
しばらくはRocket Lakeを定価で買えるが、長くは続かない
Intelの報告によると、1月~3月に生産された分については安定した出荷量で、数週間は希望小売価格で販売が可能と言う見方がIntelによって示されています。そのため、Rocket Lakeについては現時点では十分な量が供給済みであり、各店舗が持つ在庫も数週間程度は持つ在庫量になっているとの事です。しかし、4月以降の生産分に関しては徐々に影響が出始め、生産割当はCore i9、Core i7、Core i5の優先順位で行われるため、下位モデルから入手困難な状況が発生すると見られています。ただし、IntelによればTSMCを利用するAMD Ryzenに比べると自社ファウンドリであることから事態のコントロールは容易で販売プレミアはAMD Ryzenに比べて低くなると述べています。
今年後半は半導体に必要な部材不足が顕著化か
300mmウェハーなどを製造する信越化学工業やSUMCOなどは100%に近い値で稼働していますが、TSMCやサムスンなどウェハーを求める企業は多く、Intelへ流れる供給量には限りがあります。Intelではパートナーへ部材不足について報告していますが、Intelが打てる抜本的な対策は無いのが現状です。
Intelの出荷量が減る理由はウェハーなど半導体製造より上流に位置する部材の不足が原因のようですが、この問題の気になる点はIntelだけではなくTSMCやサムスンも影響を大きく受けるはずの事象である事です。そのため、2021年後半にかけてはTSMCなどの半導体製造キャパシティーの問題から信越化学工業やSUMCOのウェハー製造キャパシティーの問題に焦点が当たるかもしれません。(TSMCやIntelの工場を増やせばいいというノリでアメリカや日本で工場誘致をしていますが、ウェハーを作る信越化学工業やSUMCO、Global Wafersなどのキャパシティーも併せて増やす必要があります)
このIntelの部材不足の話で分かる事は、グラフィックスカードやCPUの不足はまだまだ続きそうで解消の余地は一切ないという事です。ひょっとしたら今より状況が悪化している可能性もあるかもしれませんので欲しいPCパーツがあれば多少高くても買った方が良いかもしれません。
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