IntelがArrow Lake、Lunar LakeやノートPC向けRaptor Lakeは不適切電圧によるCPU不安定化の不具合は発生しないことを確認。
Intelの第13世代デスクトップ向けCPUであるRaptor Lakeと第14世代のRaptor Lake Refreshでは、一定期間後にCPUの動作が不安定化する問題が2024年初めに発覚しました。この問題について、半年近くにわたる原因究明が行われ、その結果、IntelはこれらのCPUに設定されていたマイクロコードが不適切であり、CPUを恒久的に不安定化させる高電圧が供給されてしまうケースがあることが判明しました。この影響で、動作不安定やBSoDの頻発など、CPUを実質的に故障させる問題が発生していました。これを受け、Intelはこれらの不具合を防ぐためのBIOSアップデートを提供しましたが、すでに不安定化したCPUは交換以外に修理方法はなく、対象のCPUについて3年間の延長保証を適用すると発表しました。また、Intelはこの問題の続報として、他のプラットフォームのCPUや、将来発売されるCPUについては同様の問題は発生しないことを明言しました。
Raptor LakeとRaptor Lake Refreshは、細かな違いはあるものの、基本的なアーキテクチャーはノートPCやサーバー向け製品と共通で、製造プロセスも同じです。そのため、これらのデスクトップ向けCPUで発生している不具合が、ノートPC向けのRaptor Lake-U/P/H/HXやサーバー向けのEmerald Rapidsでも発生するのではないかという懸念がありました。しかし、Intelは同じアーキテクチャーを採用しているものの、ノートPC向け(デスクトップ向けベースのHXを含む)やサーバー向け製品はこの不具合の影響を受けないと明言しています。
また、影響を受けている製品と同じCPUダイを使用しているCore i5-14400などのCore i5無印モデルやCore i3についても、この不適切な電圧設定による不具合は発生しないとしています。これらの製品を使用しているユーザーは心配する必要がなく、延長保証の対象外であることも明言されています。
Intelが2024年秋以降に投入するArrow Lakeでは、CPUが許容する最大温度のTjmaxが従来の100℃から105℃に引き上げられるほか、一部のCPUでは最大消費電力が従来の253Wから295Wで動作可能になるなど、製品の信頼性に懸念を抱かせるような設定変更が行われています。しかし、IntelはArrow Lake世代やまもなく発売されるLunar Lakeについて、アーキテクチャーの刷新とRaptor Lake系で発生した不具合の反省点が盛り込まれ、同様の不具合が再発しないように対策が施されていることを明らかにしています。
なお、IntelはRaptor Lake系CPUの不具合について、修正されたマイクロコードを反映したBIOSを配布していますが、この修正によって新たな不具合が防げているかや、詳細な不具合発生のメカニズムについては、9月末までに明らかにするとしています。Raptor Lake系CPUを使用しているユーザーは、BIOSアップデートで一応の対策は施されていますが、パフォーマンスへの影響や新たな不具合の発生が防げているかについては引き続き注視する必要があるため、今後のIntelの発表に注目しておくべきでしょう。
Raptor Lake系CPUの不具合については、同じアーキテクチャーを採用しているノートPC向けやサーバー向け製品にも影響が出るのではないかと懸念されていましたが、Intelはこれらの製品では不具合は発生しないと明言しており、これだけ大きな問題である以上、隠蔽することも難しいため、本当に問題がないと考えてよさそうです。また、Arrow LakeやLunar Lakeといった新世代CPUについても再発防止策が講じられているようで、同様の不具合は再び発生しないと期待されます。
ただし、現時点でマイクロコードの修正により電圧問題が解決されたとされていますが、そもそも高い電圧がなぜCPUの不安定化を招いたのか、詳しいメカニズムはまだ明らかにされていません。また、ノートPCやサーバー向け製品で問題が発生しなかった理由も詳細には不明です。9月末までに予定されている続報で、これらの点についても可能な範囲で明らかにされれば、消費者の安心感が一層高まることが期待されます。
Intel Core 13/14th Gen Instability Update – Future Products Unaffected + Current Gen Product Updates | Intel Support Community
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