Google Pixel 10用のTensor G5の積荷目録が登場。TSMCが製造することが確定
Googleは自社でカスタマイズしたTensorプロセッサを2021年登場のPixel 6から採用していますが、このTensorチップはサムスンのプロセッサであるExynosをベースに開発が進められていました。そのため、プロセッサのアーキテクチャーや性能のほとんどはExynosと同等で、製造もサムスンファウンドリーで行われてきました。しかし、この縛りによりTensorは同時期に登場するQualcommのSnapdragon 8やMediaTekのDimensity 9000シリーズを採用するスマートフォンに対して性能が劣る事が多くPixelシリーズの競争力を落とす要因にもなっていました。
しかし、Googleではこの縛りから解放されるとともに完全自社開発でTensor G5に取り組んでいると噂され、2025年発売に向けて製造プロセスも競合に劣らないTSMC 3nmを活用すると言われていますが、今回このTensor G5のサンプル品と見られる積荷目録が登場し、GoogleのTensor G5はTSMCで製造される可能性が非常に高くなっています。
Android Authorityが入手した積荷目録には台湾にあるGoogleが発送し、荷受人がインドのTessolveが指定されています。このTessolveと言う企業は半導体の検証およびテストを行う企業で、過去のTensorチップの試作品もこのTessolveに発送されていました。
既に台湾のGoogleから試作用チップを発送している時点でTSMCの関与が考えられますが、積荷目録に記載されている物品の詳細には製造がTSMCであることを確定させるような情報が随所に記載されています。
物品の詳細には『G313-09488-00 IC, SoC,LGA,A0,OTP,V1,InFO POP, NPI-OPEN,CP1/2/3 & FT1/2 & SLT TEST, TSMC, 16GB SEC, BGA-1573, 1.16mm』と記載されています。
今回の試作品は初期段階のチップセットのようで、これは『OTP, V1』と言うリビジョン情報から確認することができ、セキュリティーや電力などのパラメーター以外の情報および物理的な構造は固定された状況を示すようです。
この詳細情報の中にはTensor G5のコードネームを示すLagunaの略称の『LGA』と記載されているほか、製造者にはTSMC、そしてTSMC独自のパッケージング技術のInFO-PoPで製造される事も記載されています。
InFO-PoPはチップセットの上にDRAMなどを重ねる薄型パッケージング技術で、AppleのA17 Proにも採用されている技術になっています。これは放熱性を向上させるほか、チップセットの大きさを縮小するのにも役立ちます。
なお、Tensor G5を搭載するPixel 10は2025年秋以降に発売予定で、発売までまだ1年以上ある状況で試作品を作るには少々早い段階とも言えます。しかし、GoogleがサムスンからTSMCに切り替えたことや、完全独自開発のアーキテクチャーを採用するため早くからチップの試作と検証を開始している事が伺えます。
なお、この詳細情報にはメモリーサイズとメーカーが記載されており、ここは16GBのサムスン製メモリーを搭載するようです。そのため、Google Pixel 10は標準で16GBのメモリーサイズを持つ可能性がありそうです。
GoogleのTensor G5は投入まで1年以上あるものの、Googleが完全独自開発で行うためかなり時間をかけて検証を進めている様です。製造はTSMCと言う事なら2025年秋以降なら最新鋭のN3Pを採用する可能性があり、同時期に登場予定のSnapdragon 8 Gen 5やDimensity 9500にも対抗することが可能な性能を備える可能性があります。ただ、Googleはチップセットのプロセッサ性能よりGeminiなどローカルAI処理性能を重視する可能性もあるため、単純にGeekbenchスコアで競合チップセットと同等性能を狙わない可能性があります。
どちらにせよ、サムスンのExynosベースから脱却することでGoogleは独自性を強めたチップセット開発が可能になりPixelシリーズの商品性は向上する可能性があります。
Exclusive: Google Pixel 10’s Tensor G5 chip will be manufactured by TSMC, and we can prove it | Android Authority
https://www.androidauthority.com/tsmc-tensor-g5-proof-pixel-10-3445056
補足情報
Tensor G5はGoogleが同社のPixel 10向けに開発中のスマートフォン向けチップセットでGoogleがアーキテクチャーの設計などすべてを担当する最初のチップセットになります。製造は従来までのTensorが採用していたサムスンからTSMCへ切り替えられ、TSMC 3nmの中で最新プロセスのN3EまたはN3Pが採用されると言われています。
製品ジャンル | メーカー | 製品名 | 発売予定時期 |
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スマートフォン向けSoC | Tensor G5 | 2025年秋以降 |
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