ROG Ally搭載のRyzen Z1の正体はPhoenix 2。Zen 4cの詳細ベンチマークが登場も電力効率は微妙?

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AMD初のハイブリッドアーキテクチャー『Phoenix 2』は既にROG AllyのRyzen Z1に内蔵されていた。Zen 4cの詳細ベンチマークが登場。

ここ最近、高性能コアと高効率コアの2つを搭載するハイブリッドアーキテクチャーはスマートフォン向けSoCでは主流で、x86系CPUでもIntelが2021年に発売したAlder Lakeから導入されています。このAlder Lakeでは高性能と高効率コアそれぞれでアーキテクチャーが異なるCPUを搭載しています。

AMD Ryzen Z1 (7540U/Phoenix2) 简单测试 – 知乎 (zhihu.com)

一方で、AMDについてはハイブリッドアーキテクチャーと言うモノのCPUコア自体は同じアーキテクチャーをベースにダイ面積を小さくし、動作クロックを下げたコンパクトCPUを投入しており、Zen 4世代では高性能コアであるZen 4と高効率コアをZen 4cを混在させた『Phoenix 2』と呼ばれるAPUが2023年末までにノートPC向けに投入が予定されています。しかし、このPhoenix 2についてはまだ登場していなかったと考えられていましたが、どうやら2023年6月に発売されたASUS ROG Allyの下位モデルに搭載されているRyzen Z1に既に搭載されていたことが明らかになり、このRyzen Z1を用いてZen 4cコアの性能がどれほどのものか、ベンチマークを計測した結果が中国の知乎(zhihu)に登場しています。

Phoenix 2が導入される背景

Phoenix 2についてはRyzen 5 7540UやRyzen 3 7340Uなどミドルレンジ以下のために開発されたAPUとなっており、このようなAPUが登場するのはZen 2以来となっています。Zen 3ではすべて最大8コアまで搭載できるAPUをベースに上位モデルから下位モデルを展開しようとしていたため、価格がどうしても効果になりがちでしたが、Phoenix 2では上述の2モデルを念頭に設計が行われているため、コストが非常に安く抑えられるようになっています。

Zen 4とZen 4cの性能を比較した結果

Ryzen Z1をHWiNFOで確認するとSteppingにPHX2-A0と記載がされており、Phoenix 2を内蔵している事が分かります。ただ、その他の仕様はコア数が6コアである以外、L2キャッシュは各コアに1MB備え、L3キャッシュも16MB備えるほか、命令セットなどもPhoenixと同じ構成になっています。

テストはDebian Linux / GCC 12.x環境下で行われており、SPEC CPU 2017の結果では、通常のZen 4を搭載するRyzen 7 7840Uに対して、Ryzen Z1内蔵のZen 4コアとZen 4cコアの間には30%ほどの性能差があります。これは動作クロックによる違いが大きな要因となっているようです。

動作クロックを3.2 GHzに固定すると、Ryzen 7 7840Uに対して、Ryzen Z1内蔵のZen 4コアとZen 4cコアとの差はほぼなくなるなどZen 4に対してZen 4cの性能差は無いと言える結果になっています。

動作クロックによる性能差はありませんが、電圧と動作クロックの関係はZen 4とZen 4cの間では異なる挙動を示しており、1.5 GHzまではZen 4に対してZen 4cの方が優れた電圧を示していますが、2 GHzを超えるとZen 4の電圧の方が低く、動作クロックの高さもZen 4の方が圧倒的に高いなど特性が大きく異なるようです。

電力効率の観点においては高効率コアであるZen 4cがZen 4に対して明らかに優れているという結果は得られていません。特に電力消費に対する性能の伸びはZen 4cはZen 4cより緩やかで、電力を使う状況ではZen 4の方が優れているという結果になっています。ただ、この計測方法はAPUパッケージ全体であるため、Zen 4cのみに負荷を掛けてもZen 4を完全に機能停止させる事は出来ず、Zen 4側の一部機能や巨大なL3キャッシュをすべて動作させるための電力が乗っています。そのため、この結果からZen 4cの効率は悪いと判断する事はできないです。特に、電圧においてはZen 4cの方が1.5 GHzまでは低く抑えられている点や、Zen 4c自体、CPUダイ面積が小さいため理論上は電力効率はZen 4より優れていると考えられます。

最後に内蔵GPUの性能についてですが、Ryzen 7 7840Uは、Ryzen Z1よりも最大で65%高いゲーム性能を提供しました。これは、Ryzen 7 7840Uが12のCompute Unitと最大2.7GHzの動作クロックであるのに対し、Ryzen Z1は4つのCompute Unitと2.8GHzの動作クロックである事が大きく影響しています。ただ、Phoenix 2を搭載するノートPCはゲームを想定しておらず、オフィス用途やアカデミック用途であれば必要十分な性能は得られると考えられます。

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • 7950xで組んだし
    7840u搭載機も持ってるから
    そういうの良いから

    8950xではコア数増やしてくれ!頼む
    何かもうRYZENでぇええ!と驚くことも感動することもなくなってしまった
    どうしたの?
    コア数も性能もintelに駆逐されて
    RYZENに求めてるものは何なのさ?
    メニーコアでぶん殴ることじゃないの?

    来年phenix2か〜と思ったら7840uのマイナーチェンジでAI取り除いたのがソレとか無いわ〜

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