読み書き速度12GB/s超え。PCIe Gen 5.0対応NVMe SSDが登場。

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AMDではPCI Express Gen 5.0(PCIe Gen 5)に対応するNVMeスロットを備えたマザーボードをCOMPUTEX 2022にて発表をしましたが、これに併せて、台湾に本社を構えるApacer社がPCIe Gen 5に対応するNVMe SSDを発表しました。

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PCIe Gen 5.0とAMD 600シリーズチップセット

PCIe Gen 5.0については2021年11月に発売がされたIntelのAlder Lake-S CPUと対応するIntel 600シリーズチップセットにて初めて対応が行われた新しいPCIe規格となっています。

このPCIe Gen 5.0は規格自体は2019年に策定されており、2022年現在メジャーになりつつあるPCIe Gen 4.0に対して転送速度が2倍に引き上げられています。

2010年 2017年 2019年
バージョン PCIe 3.0 PCIe 4.0 PCIe 5.0
x1 1GB/s 2GB/s 4GB/s
x4 4GB/s 8GB/s 16GB/s
x8 8GB/s 16GB/s 32GB/s
x16 16GB/s 32GB/s 64GB/s

*ここで示される値は理論上の最大値のため実際の転送速度は表より数%少ないです。

このPCIe Gen 5.0ではグラフィックスカードで一般的に使われる16レーンにおいては片側64GB/sに、NVMe SSDなどに一般的に使われる4レーンでは16GB/sに速度が引き上げられています。また、1レーンでもPCIe Gen 3.0の4レーン相当である4GB/sが発揮できます。

そんな、非常に高速な転送速度を実現するPCIe Gen 5.0ですが、この新しい規格に対応するNVMe SSDがCOMPUTEX 2022で発表がされました。

読み込み13GB/s、書き込み12GB/sとなる超高速NVMe SSD

COMPUTEX 2022でPCIe Gen 5.0対応NVMe SSDを発表したのは台湾に拠点を置くApacerと言うメーカーで、主にNVMe SSDやSDカードなどのフラッシュストレージやメモリーなどの開発製造を行っています。元々はAcerグループでしたが、現在は独立したメーカーとなっています。

そんな、Apacerでは2つのNVMe SSDを発表、一つはApacerブランドのAPACER AS2280F5、もう一つがZADAKブランドのZADAK TWSG5と呼ばれるモデルとなっています。

仕様面ではAPACER AS2280F5もZADAK TWSG5も共にPCIe Gen 5.0接続が可能で、NVMe 2.0規格に準拠し、読み込み速度は最大13GB/s、書き込み速度は最大12GB/sとなっています。この読み書き速度は現行のPCIe Gen 4.0に対応する高速なNVMe SSDの2倍近い速度となっています。

両モデル共に、大型のヒートシンクも標準で搭載がされていますが、ZADAK TWSG5については薄型ヒートシンクも付属され搭載する環境に応じて変更が出来るようになっています。

搭載コントローラーはPhison E26。冷却には要注意

APACERのPCIe Gen 5.0対応NVMe SSDについては詳細仕様については明らかにされておらず、搭載NANDやコントローラーについては不明です。

ただ、PCIe Gen 5.0対応の600シリーズチップセットについて発表した際にPhison社のPCIe Gen 5.0対応コントローラーを搭載する予定の製品一覧にApacerの名前が出ている事から今回発表されたApacer製のNVMe SSDにはPCIe Gen 5.0に対応するPhison E26コントローラーを搭載すると見られています。

Phison社はPCIe Gen 5.0対応コントローラーについて、高い転送速度が実現できている反面、TDPは14Wと非常に高く薄型ラップトップに搭載されるCPU並みの消費電力になっています。そのため、ヒートシンク単品のような冷却では書き込みなど高負荷時にはコントローラーの熱でヒートシンクが飽和、NANDメモリーにまで熱が伝わってしまい、サーマルスロットリングによるパフォーマンス低下や、最悪の場合には強制シャットダウンなどが行われてしまう可能性があるようです。

そのため、今回のApacer製のように巨大なヒートシンクを搭載してはいるものの、高いパフォーマンスを発揮するにはファンで風を当てるなど対応が必要となるかもしれません。少なくとも付属の薄型ヒートシンクでは書き込みなど高い負荷が掛かる場面ではPCIe Gen 4並みのパフォーマンスしか発揮できない可能性がありそうです。

PCIe Gen 5.0対応NVMe SSDについては各社プロトタイプモデルの発表を行っており、2022年下半期頃から徐々に市場投入が行われる見込みです。恐らく今回紹介したApacerのPCIe Gen 5.0対応NVMe SSDも近い内に登場すると見られます。

これらのNVMe SSDでは読み込み速度が13GB/sとPCIe Gen 4.0対応NVMe SSDの約2倍近い速度になっていますが、Windowsの起動やゲームのロード、動画編集においてはPCIe Gen 4.0でも十分高速と言え、わざわざ高い金額を払ってPCIe Gen 5.0対応NVMe SSDを買う理由は現時点ではあまり無いと言えそうです。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
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