NVIDI RTXとAMD Radeon ProのAI性能を測ったベンチマーク登場。AMD RadeonがNVIDIAを上回る場合も
ここ最近、生成AIであるChatGPTやMidJourney、Stable Diffusionに関しては法人、個人共に利用者が急増しており、大企業では独自の生成AI開発など急激に増えている状態となっています。
特にこの生成AIの中でStable Diffusionに関しては独自に画像を製作できる事から急激に人気を伸ばしていますが、今回このStable Diffusionを利用する上でのグラフィックカードの性能について、動画編集や研究分野などで利用するBTO PCなどを製作するPuget SystemがNVIDIAのエンタープライズ向けグラフィックスカードであるNVIDIA RTXとAMDのエンタープライズ向けグラフィックスカードのRadeon ProでStable Diffusion性能を比較するベンチマーク結果を掲載しました。
Stable Diffusion Performance – NVIDIA RTX vs Radeon PRO | Puget Systems
ベンチマークはCPUにはAMD Threadripper Pro 5975WX (32コア)にDDR4-3200動作の16GBメモリーを8枚、合計128GBと言う構成で、グラフィックカードについては以下の8モデルを用いて性能の比較が行われています。
- AMD Radeon PRO W7900 48GB
- AMD Radeon PRO W7800 32GB
- AMD Radeon PRO W6800 32GB
- AMD Radeon Pro VII 16GB
- AMD Radeon Pro WX 9100 16GB
- NVIDIA RTX 6000 Ada 48GB
- NVIDIA RTX A6000 48GB
- NVIDIA RTX A5000 24GB
なお、Stable Diffusionにおいてはフォークが複数存在しており、今回のテストではAutomatic 1111やSHARKでのテスト結果が掲載されています。
Automatic 1111においてはNVIDIAのグラフィックカードがAMDを大きく上回る結果になっています。RTX 4090と同じAD102 GPUを搭載するRTX 6000 Ada Generationにおいては、Radeon RX 7900 XTXと同じNavi31 GPUを搭載するRadeon Pro W7900に対して5倍を超えるパフォーマンスを発揮しており、NVIDIA製グラフィックカードの中で最も遅かったRTX A5000(RTX 3080相当のGPU仕様)でさえも、AMDで最大スコアを記録したRadeon Pro VII(HBM2搭載)に対して3倍以上の差を見せつけています。
Automatic 1111の結果はNVIDIAがAIに強いと言うイメージ通りの結果になっていましたが、SHARKにおいては全く異なる結果になっています。
SHARKではRadeon Pro W7900がRTX 6000 Ada Generationを26%上回る結果を記録しており、最適化次第ではAMDのグラフィックカードでもNVIDIAのグラフィックカードと同等以上の性能を発揮できる事が示唆されています。
Stable Diffusionに関してはまだまだ新しい技術で、NVIDIAに関してはCUDAが存在する事から初期段階から高いパフォーマンスを発揮しています。そのため、Stable Diffusion目当てでグラフィックカードを買い求める人の多くはNVIDIAを選択しています。ただ、AMDに関してもROCmやHIP SDKなどNVIDIAにAI分野で対抗できるようにエコシステムの整備を進めているため、NVIDIA並みにAI分野で高いパフォーマンスを発揮する事をすぐに実現する事は難しいものの、徐々にNVIDIAに追いついてくる事も今後考えられそうです。
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