NVIDIA最速のAI GPU『Blackwell』の価格は約600万円。研究開発費は約1.5兆円以上かけたことも明らかに
NVIDIAがGTC 2024でBlackwellアーキテクチャーを搭載するB100とB200 GPUを発表しました。この中で最上位モデルのB200 GPUではTSMC 4nmで製造可能な最大サイズのGPUダイをチップレット構造で2つ搭載し、合計2080億のトランジスターを備え、Hopper H100に対して最大5倍の性能向上を実現していますが、このGPUの販売価格と開発に必要だった研究開発費などがCNBCが行ったNVIDIAのCEOのJennsen Huang氏とのインタビューで明らかになりました。
このインタビューの中でBlackwell GPUの価格についてJensen Huang氏は言及しており、$30,000から$40,000の価格帯で販売を行うとのことです。これは日本円に置き換えると$=150円で450万円から600万円と言う価格になります。
現行のHopper H100は企業向けの供給価格は$25,000から$30,000と言う事で最大で$10,000の値上げが行われる可能性があります。
Hopper H100は日本ではバルク品が513万円で販売されていますが、Blackwellの最上位モデルのB200については最低でも600万円ほどの価格になるのは確実で、輸送費や保険、関税など加えると700万円近い価格での供給になると考えられます。
さらにインタビューではこのBlackwell GPU開発にかかった研究開発費について質問をしており、Jensen氏は開発費は約100億ドル、日本円で1.5兆円ほどかかったと述べています。
Raymond James estimates it will cost Nvidia more than $6,000 to make a B200 and they will price the GPU at a 50-60% premium to H100. Nvidia has not disclosed pricing. https://t.co/NtC0xSHtCK
— tae kim (@firstadopter) March 19, 2024
この莫大な研究開発費を回収するため、NVIDIAではBlackwellの値上げを行っていますが、それでもB200自体は製造するためのコストは約6,000程度であるため1台辺りの利益は最大$34,000(510万円)と驚異的であるため、これだけ研究開発費をかけても販売による利益のほか、サービスなど様々なエリアで利益を上げられるため回収は容易であると考えられます。
トヨタの1年間の研究開発費が1兆円を超えていますが、これはあれだけ大量の車種を出しての額ですので、莫大すぎる規模感がわかると思います。
Hopper H100は先代のAmpere A100から大幅な値上げが行われていますが、それでも飛ぶように売れているためBlackwell GPUについても特に値上げの影響もなく好調な販売が期待できそうです。特にApple、Microsoft、Google、Amazonなど大手テック系企業もAIで主導権を握ろうと必死であるため、ハードウェアを使って戦いを有利に進められるのであればどれだけ高価であっても売れると考えられます。ですので、今後もNVIDIAはAI向け事業は収益の柱として続く見込みで、ゲーミングGPUなどの優先度は必然的に下がっていきそうです。。。
Nvidia CEO on the next generation of semiconductors and computing | Youtube CNBC Television
Kim Tae | X (Twitter)
コメント
コメント一覧 (1件)
私を含む一般人からしたら羨ましい話、これを購入しなければならない企業及び購買担当者からしたら恨めしい話、というところでしょうか。
ですが、G80(初代Tesla)からこっち、CUDAを基盤として長年非グラフィックス向け市場開拓に投資してきたNVIDIAの取り組みからすれば、当然の対価だと感じます。
1.5兆円という開発費も、長期的な生産性向上がもたらす経済効果を考えると、単にNVIDIA単体の投資回収という観点のみならず、社会が浴せる恩恵という観点でも、十分ペイできるものでしょうね。