IntelのAlder Lake-SではP-Coreにおいては一部ソフトウェアにおいて性能が向上するAVX-512が利用できるように設計がされていますが、Intelの商品戦略上の理由で2022年1月より各マザーボードメーカーに対して機能の無効化を行うように通達を行いました。しかし、MSIに関しては一時的にAVX-512を無効化しましたが、最新のBIOSで再度復活を果たしているようです。
対応しているのに、無効化されたAVX-512
Intelが発売したAlder Lake-Sでは動画エンコードや機械学習の高速化などに用いられる命令セットであるAVX-512は正式にはサポートが行われていませんが、ハイブリッドアーキテクチャーの内、P-Core側はAVX-512に対応しており、E-Coreを無効化し、P-Coreのみを有効化する事でAVX-512に対応させるという裏技があります。
IntelがAlder LakeでAVX-512を動作させる裏技をBIOSで無効化する予定 (gazlog.com)
Intelはこの裏技に関しては、P-Coreのみを搭載するCore i5-12400など普及帯のAlder Lake-S CPUが発表されるCES 2022前に各社マザーボードメーカーに対してAVX-512を動作させないようにすることを通達しました。そのため、CES 2022以降に発売やBIOSアップデートがされたマザーボードではAlder Lake-SでのAVX-512は動作しないようになっています。
しかし、Intelの通達に反して、MSIのハイエンドマザーボードであるZ690 Unify-Xの最新BIOSにて『Microcode Selection』と言う新しい項目が再度出現、この中でAVX-512を有効化するオプションが搭載されるようになったようです。
Z690 Unify-Xの最新BIOSでAVX-512が復活。電力効率が向上
A22 bios for the @msigaming MEG Z690 Unify-X reintroduces AVX-512 with microcode selector switch in the bios. This is amazing for enthusiast fans of performance and actual efficiency!
world-fastest 8-core cpu on ambient cooling in y-cruncher! 😍😍😍https://t.co/6cNg3g9pi6 pic.twitter.com/yNM9Q1tWBT
— Xaver Amberger // cancel µcode 18! 🔥 (@skullbringer123) January 30, 2022
Igor’s Labの編集者をしているXaver Amberger氏によると、MSI製のZ690 Unify-Xと呼ばれる9万円近くするマザーボードの最新BIOSアップデートにて、一時的に無効化されたAVX-512の動作可否を選択する設定が復活している事が発見されています。
また、このツイートへの返信にて、MSI Z690-A Proでも同様のアップデートを受けたと返答している人もいるため、もしかしたらMSI製のマザーボードであればAVX-512を有効化する事が可能になっているのかもしれません。
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MSIがAVX-512を有効化できるとの事ですが、どのマザーボードまで可能なのか不明な所も多いですが恐らく検証する人が出てくるので、気になる人はウォッチしておいた方が良いかもしれません。また、GIGABYTEやASRockなども同じ様な対応をするのか注目です。
このAVX-512の件で頂けないのが、後出しで無効化する措置を取った事です。
正常に動作するにもかかわらず安全上やセキュリティー上の理由以外でこのような対応をするのはあまりいい印象は持てません。特に、今回最も有力視されている理由が商品戦略上の都合ですので、このような理由で当初搭載されていた機能を無効にするのはかなり身勝手な対応のように思えてしまいます。
オーバークロックが出来ないはずのCeleronやCore i3などでオーバークロックをする方法が見つかった際にはIntelは「CPUにダメージを与える可能性があるから辞めて!」と通告していますが、今回もCPUにダメージを与える可能性があると発表するのか気になりますね。
ただ、これを言われても故障の心配より、Intelの収益にダメージを与える可能性の方を心配しているようにしか聞こえないのですよね。