MINISFORUM UN1265の基本的な仕様について
MINISFORUM UN1265は小型PCなどを主に販売するMINISFORUMのエントリー向け小型PCとなっており、CPUにはノートPC向けのAlder Lake-HのCore i7-12650Hを搭載するモデルとなっています。
価格はベアボーンモデルが46,180円から、16GB+512GB SSD+Windows 11 Homeを搭載する構成が55,980円から販売されています。なお、32GBメモリー+512GBのSSDを搭載した組合せも存在し、それらは59,580円で販売されています。
CPU | Intel Core i7-12650H (6P+4E | 10コア/16スレッド) |
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グラフィックス | Intel Iris Xe Graphics (64EU) |
メモリー | 32GB (16GBx2) DDR5 SO-DIMM 4800 MHz |
ストレージ | 512GB M.2 PCIe Gen 4 NVMe SSD |
OS | Windows 11 Home |
インターフェース | フロント側 – USB3.2 Gen2 Type-A x 2 – 3.5mm ステレオジャック リア側 – 2.5Gbps イーサーネットポート x 1 – USB 2.0 Type-A x 2 – USB-C Gen 3.2 Type Alt DP+PD – HDMI 2.0 x 1 – DisplayPort 1.4 x 1 |
拡張スロット | – M.2 x 2 (ストレージ用 x 1、WiFi用 x 1) – SATA (2.5 inch SATA HDD/SSD) x 1 |
ワイアレス機能 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2 |
サイズ | 幅129.6 x 奥行き127.8 x 高さ54.3mm |
電源 | 19V ACアダプター |
価格 | 55,980円~62,380円 |
パッケージ内容と同梱物
箱は他のMINISFORUMモデルとは異なり、段ボール感のある質素なパッケージングになっています。この点は価格を抑えたモデルという事でコストダウンがされています。個人的にこちらの方が開封しやすく、処分する際は立派な箱よりも楽です。
同梱されているものは、ACアダプターの他に、長さ50cmとかなり短めのHDMI、モニターの裏面にUN1265を設置するためのマウント、SATA接続用のフラットケーブル、M.2固定用のネジと簡単な説明書が入っています。
MINISFORUM UN1265のデザインと品質、拡張性について
ここではMINISFORUM UN1265のデザインや品質そしてミニPCではあるものの気になる拡張性について解説します。
デザインと品質:本体はすべてプラスチック製。見た感じの質感は悪くない
外観は過去に紹介したMINISFORUM Venus NPB5に似たデザインで、角が丸められた正方形に近いデザインになっています。素材は本体価格を抑えるために全面プラスチック製となっており、叩いたりするとかなりチープな感じがしてしまいます。ただ、プラスチックの加工については艶消し加工が行われており、触った際の質感も安っぽい感じはしません。
本体のインターフェイス用の穴とインターフェイス類の間にある隙間の間隔は一定に保たれており、品質感が高いです。本体裏面で各種インターフェイス部分が集約されている部分は白色に統一されています。
今回、サンプル品として提供していただいたモデルは見ての通りパステルカラーの緑色です。かなり珍しい色で好みが別れそうですが、シルバーモデルも存在しますので普通の色が欲しいと言う人はシルバーを選ぶとよいでしょう。
拡張性:SSDやWiFi、メモリーに2.5inch SSDも搭載可能。拡張性はかなり高め。
本体内部へのアクセスは裏面のゴム足の後ろに隠されているネジを外す事で可能です。
裏蓋を開けるとM.2 SSDとWiFi、DDR5 SO-DIMMそして、フラットケーブル型のSATA端子など取り換えが可能な部分すべてへアクセスが可能になっています。
特に評価できるのがメモリーの拡張性で、ミニPCでもメモリーをマザーボードに内蔵してしまっているモデルも多くある中でメモリーの拡張が可能なSO-DIMMスロットを用意している点は高評価です。なお、このUN1265では既に16GBメモリーを2枚搭載している状態ですが、各スロット最大16GBのメモリー、合計では32GBのメモリー容量までサポートしています。
本体同封の取扱説明書には液体金属を用いているため、CPUクーラーの取り外しは推奨されないと注意書きがありますのでCPUクーラーを取り外す事は控えた方が良さそうです。
MINISFORUM UN1265の各種パフォーマンスについて
内蔵のCore i7-12650Hについて
内蔵されているCore i7-12650HはIntelの第12世代ノートPC向けCPUになっています。型番の最後にはHが入っているという事でTDPはベースが45Wで動作するなど高性能なゲーミングノートPCなどで採用されるCPUになっています。詳細な仕様としては、6P+4Eの合計10コア、16スレッド構成になっており、動作クロックはベースが2.3 GHz、ブースト時が最大4.5 GHzに設定されています。
グラフィックスについてはCore i7-12650Hではコア数が64基と抑えられておりグラフィックス性能は抑えられたモデルになっていますが、軽いゲームであればグラフィックス設定によっては対応する事ができる性能になっています。
CPUパフォーマンスについて
Core i7-12650Hについては仕様上は最大4.7 GHzでの動作が可能になっていますが、UN1265においては本体の冷却性能上、シングルコア時では最大4.5 GHz、マルチコア時は最大2.5 GHzに制限が行われています。
その結果、Cinebench R23におけるスコアはシングルコアは1665ポイント、マルチコアは10174ポイントを記録しています。
このスコアはCore i7-1260P相当の性能でありCore i7-12650Hの限界性能に対して低くなっていますが、軽い動画編集やゲームを実行するには十分な性能になっています。
PCMark 10のスコア:動画編集も1440pまでなら可能?
PCMark10においては合計4749pt記録されており、各項目においてはウェブブラウジングや各アプリの起動など日常用途の快適性を表すEssentialsでは10257ptを記録しており、デスクトップ向けのCore i5-12600並みの性能になっています。
Wordやエクセルなどオフィス用途での性能を示すProductivityにおいては7656ptでCore i3-12100Fを超えるスコアになっておりデスクトップPCと遜色のない快適性があると言えます。
RAW画像や動画編集、3Dのレンダリングなどを評価するDigital Content Creationにおいては5346ptを記録しています。こちらはスコア面ではCore i7-11700と同等レベルになっており4K動画の編集などは厳しいものの、1440p程度の解像度であれば特に問題なく編集が可能と言えるレベルになっています。また、RAW画像の編集なども6000万画素を誇るソニーのα7R Vなど高解像度なRAW画像でも問題なく編集する事が可能と言えそうです。
UN1265のゲーミング性能
UN1265についてはCore i7-12650Hに内蔵されているIntel Irisグラフィックスが搭載されており、CPUに内蔵されるGPUコア数は64基(EU)になっています。
3DMark TimeSpyのGraphicsスコアにおいては1211ptを記録しており、AMDのRyzen 5000シリーズまで内蔵されていたRadeon Vega 8を下回るパフォーマンスになっていますが、League of Legendsでは120fps程度、原神などでは設定や場面により平均30fps~50fps程度のパフォーマンスが確保されています。
UN1265の消費電力
UN1265の消費電力についてはCinebench R23のマルチコアを動作させた際にはCore i7-12650H最大ブースト状態である2.50 GHzで動作し、その後はCPUの電力制限により1.8 GHzにまで抑制されます。その際のピーク消費電力は75Wを記録していますが、電力抑制語の消費電力は平均60Wを記録しています。
なお、アイドル時の消費電力の平均値は13W程度でノートPC向けのCPUという事で非常に低く抑えられています。
内蔵されているSSDの性能
UN1265ではKingstone製のPCIe Gen 4接続の512GB NVMe SSDを搭載しています。Crystal Disk Markでは読み込みでは約4800MB/s、書き込みは約3550 MB/sで高速な分類に入るSSDが採用されています。オフィス用途やRAW画像の編集などであれば必要十分な性能を持っています。
なお、内蔵されているNVMe SSDにはヒートシンクも備えられているためサーマルスロットリングの発生が抑制されています。
MINISFORUM UN1265の日常での使い心地と使い勝手
PCではパフォーマンスなどが重要でもありますが、毎日使うという点で気になる使い勝手や使い心地について取り上げて行きます。
ファンノイズ:ベンチマーク時など高負荷はうるさめだが、それ以外なら静か
このようなミニPCの多くはブロワー型ファンを搭載しており、高負荷時にファン回転数が上がるとモーターノイズと共に甲高い風切り音が目立ちます。この甲高い音についてはUN1265も例外ではなく、ベンチマークなどCPUをフルに活用する場面ではファンノイズは割と大きめと言えます。しかし、CPUを多少使うレベルの作業、例えばブラウジングやMicrosoft Officeなど負荷が軽い状況あればファンノイズは全くと言っていいほど聞こえません。
特にファンノイズは低音寄りの音であるため机の奥やモニターの後ろなどに置くとアイドル時は暗騒音に紛れる音質です。
排熱はすべて後ろに向いている
UN1265では空気の取り入れ口が左右と底面にあり、そこで吸った空気を後方に排出します。そのため、机への置き方に寄らず排熱が手に当たる事が無く快適に使用する事が出来ます。最近のミニPCでは発熱が大きいCPUを積んでいるため、底面と上面から吸って左右と後ろに熱を排熱するモデルが増えていますが、このモデルはそれには当てはまらずキーボードやマウスの近くに置いても快適に使用する事が出来ます。
本体がすべてプラスチック製
UN1265についてはCPU性能などが高い代わりに外装のコストダウンが行われており、本体すべてがプラスチックで出来ています。そのため、本体の質感を気にする方には残念に思えるポイントとなりますが、プラスチック感丸出しな加工でもなく、何よりもCore i7-12650Hで16GBのメモリーを積んで5.5万円と言う価格である事を考えると妥協すべきポイントと言えます。
MINISFORUM UN1265の最終評価:安いのにCPU性能が高いミニPC
- 高性能なCore i7-12650H搭載だが5.5万円と安い
- メモリーの交換や増設が可能
- USB-PDやAlt Mode対応モニターならUSB-Cケーブル1本だけで動作する
- 高負荷時でも騒音が小さい
- 排熱はすべて後ろ向きになっている
- 筐体がすべてプラスチック
- USB-Cポートは1つだけ
- 冷却性能によりCPU性能が抑えられている
MINISFORUM UN1265は価格が5.5万円に抑えられていますが、CPUにはCore i7-12650Hを搭載するなど性能面では妥協がありません。これだけの性能があればOfficeやネットサーフィンなど仕事やプライベートでの使用は快適で、軽い動画編集、RAWの編集などスペックが求められる用途でもアマチュアレベルであれば十分快適に使用する事が可能な性能を持ち合わせています。
日常での使い勝手においてはUSB-PDに対応しているため対応しているモニターがあればUSB-Cケーブル1本でPCが利用可能で、HDMIやDPも備えているため最大3画面出力まで対応するマルチモニター構成にも対応するなど拡張性は非常に高くなっています。
ただ、価格の割に性能が良い反面、筐体の素材は全面プラスチック製であったり、CPUに対して放熱性能が不足し、CPU性能が抑えられるなど妥協しているポイントもあります。ただ、価格を考えると仕方が無いと言えます。また、USB-Aポートは合計4つ搭載されているのですが、USB-Cについては1つしかなく、USB-PDとして利用すると塞がれてしまうためこの点は少々残念と言えます。
全体的な評価としてはコストパフォーマンスが優れているミニPCと言え、5万円台でCore i7-12650Hと16GBのメモリーを搭載している点が何よりも魅力と言え、高性能でも価格が安いミニPCを探しているのであればMINISFORUMUN1265は検討対象に含めるべき機種と言えます。
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