AppleではM2 SoCを搭載したMacBook AirやMacBook Proなど多くの製品を発売していますが、どうやらこれらの製品の売上が芳しくない様で搭載されているM2 SoCについて生産が一時停止されている可能性が明らかになりました。
AppleがM2 SoCの生産を一時停止した可能性。搭載するMacBookなどの需要が大幅減少している模様
Appleでは主力製品のMacBook AirやMacBook ProなどにTSMC 5nmで製造が行われている最新鋭SoC、M2 SoCが搭載されています。このM2 SoCでは従来のM1 SoCに比べてCPU性能やグラフィックス性能が向上し、より高いパフォーマンスを発揮しながらも長いバッテリー寿命を提供する製品になっています。しかし、どうやら世界的な経済不況が原因でMacBook AirやMacBook Proの売上が芳しくなく、結果的に搭載するM2 SoCの生産が一時停止にまで追い込まれてしまっている事が韓国のTHE ELECの取材で明らかになったようです。
この生産の一時停止に関する情報は半導体のパッケージテストを行うOSATと素材、部品メーカーなど多岐に渡るようです。
まず、OSAT業界によると、台湾のTSMCでは2023年1月と2月にM2 SoCのウェハーをOSATに出荷しなかったとされています。これは、MacBookの需要が減少したため生産停止の要請があったためと考えられています。また、3月についてはウェハーの入荷が再開されたものの、その入荷量は通常時の半分程度に留まるとのことです。
M2 SoCに関わる部品供給業者も生産量減少に伴い一時停止する必要がありました。Acusはパッケージ基板と半導体チップダイを球形に接続する部品であるはんだ球のサプライヤーです。ドイツのBacherは、高い熱伝導性を持つ物質で作られた熱界面材料(TIM)を供給しています。これは、熱をヒートシンクに伝えるためにパッケージ外部に適用されます。日本のNAMICSは、半導体チップダイと基板間で電気を伝導するバンプの間の空白を埋める材料であるアンダーフィルを供給しています。その主な目的は絶縁であり、接続エリアを保護します。パッケージカバー(リード)は現在、韓国のYoungil Precisionが供給しており、カバーを基板に取り付ける接着材はドイツのHenkelが供給していますが、これらの部品の多くは生産の抑制または一時停止を余儀なくされたと見られています。
ウェハーをパッケージングするAmkor社ではApple向けのパッケージングに特化した専用の『Appleライン』を開設していますが、Apple側の都合で約2か月間ラインがアイドル状態となり、部品や材料などを供給する業者の多くも生産の一時停止、またApple向けに専用開発した生産ラインであるため、他への転用もできなかったとのことで大きな影響が出てしまっているようです。
AppleのM2 SoCについては15.5インチの大型ディスプレイを搭載した新しいMacBook Airや、13.4インチの若干小型のOLED MacBook Airなど採用機種が増えると見られていますが、一方でAppleについては決算発表の場でMacBookやiPhoneなど全製品で売上が落ちている事が明らかになっています。特に、主力のM2 SoCが2ヵ月以上も生産が止まり、そのあとも半分程度の生産量に留まっている事を考えると、AppleのMacBookなどはApple自身が予測するよりも需要が低いという可能性がありそうです。
Appleでは2023年6月5日に開催されるWWDC 2023にてM3 SoCなどのプレビューなどを発表し、実際にM3 SoCが搭載される製品は秋以降に発売されると見られています。M2 SoCの後継であるM3 SoCまでまだまだ時間がある中でM2 SoCの生産を2ヵ月も完全停止し、3月からも生産量は半分に抑えるというのは大幅な減産と言えAppleでさえもノートPCなどの需要の大幅減少に悩んでいる様が伺えます。
コメント
コメント一覧 (1件)
Macは対応ゲームが全然無いからな
SNS向けの動画編集なんてスマホで十分だし
子供の学習用途だと日本はWindowsで海外はChromebook
いくら同価格帯のx86マシンより性能よくても用途が限られすぎる