Intel Raptor Lakeで発生している不具合の原因はマザーボードメーカーの設定? Intelが初の声明を発表。最終調査結果は5月を予定
Intelの第13世代のRaptor Lakeおよび第14世代のRaptor Lake Refreshなどの最新のデスクトップ向けCPUで発生している不具合について、Intelが問題が発覚後はじめてのメディアに向けて声明を発表しました。
このCPUの不具合についてはCPUを使い始めて数カ月後から高負荷がかかる状況下、特にUnreal Engineを使ったゲームのローディングなどでVRAM不足というエラー表示や、ゲームが落ちる、最悪な場合はBSoDなどが発生するというものになっています。
この不具合の対策としてIntelと各社マザーボードメーカーでは『Intel Baseline Profile』と呼ばれる設定をBIOSに追加し暫定的に不具合の回避を行える様にしています。
- Motherboard AUTO Profile: 4096W/4096W/Unlimited
- Intel Extreme 設定(150W): 320W320W/400A
- Intel Extreme 設定 (125W): 253W/253W/400A
- Intel Standard 設定 (125W): 253W/253W/307A
Core i9-14900KなどのCore i9 CPUはハイエンドマザーボードなどで利用すると電力無制限状態であるAUTOモードが選択されることがあります。
Intelではこの一連の不具合を調査中なのですが、その中間報告とも言える声明を発表しました。しかし、その内容はIntelの推奨値であるIntel Standard(Intel Baseline設定)を守っていないマザーボードメーカーを暗に批判する内容になっています。
Intelでは一連の不具合について、Intelの規定を超える動作設定が行われたことで、高温状態でも通常より高い電圧や動作クロックが長い期間に渡って与え続けられていたことが関連していることが観察されています。
また、不具合を分析する中で、不具合が発生するプロセッサの多くが最小動作電圧が変わってしまっていることも判明し、この原因は上述の規定を超える設定が原因である可能性があります。
- 最終的な原因についてはまだ判明していませんが、Intelでは不具合に関する報告の多くがアンロックまたはオーバークロックに対応したマザーボードで発生
- Intelでは600/700シリーズマザーボードの多くのデフォルト状態で温度や電力供給に関する安全値を無視する設定が行われていることを発見しています。具体例としては以下の通り。
– Current Excursion Protection(CEP)の無効化
– IccMaxを無制限に設定
– Thermal Velocity BoostおよびEnhanced Thermal Velocity Boostの無効化
– その他にシステムを不安定化させる設定
– C-Statesの無効化
– Windows Ultimate Performanceモードを利用する
– Intel推奨値を超えるPL1/PL2値を利用するIntelではマザーボードメーカーに対してデフォルト時はIntelの推奨設定となるように要望しています。
さらに、IntelはデフォルトのBIOS設定はIntelの推奨設定を忠実に守る事を強く推奨し、マザーボードメーカーに対してオーバークロックに関する設定事項を触る際にはユーザーへ警告を行う事を要望しています。
Intelではこの不具合について引き続き真因を突き止めるべく調査を続け、原因や推奨されるBIOS設定値について2024年5月を目処に発表を行う予定です。
Intel (日本語訳)
Intelの発表はマザーボードメーカーのデフォルト設定やオーバークロックプロファイルがIntelの推奨値を超えていたとしており、これが原因でCPUの最小電圧が変わってしまい動作の不安定化などの不具合につながっている可能性があることを指摘しています。
これだけ見ると、マザーボードメーカーがIntel推奨値を無視したのが悪いようにも見えますが、IntelのCore i9-14900KS公式ベンチマークの注釈を見てみるとIntel推奨値のIntel Baselineを使わず、電力無制限状態を使っていることから、Intelもこの設定値を認めているとも言えます。
今後、この問題については保証交換をどうするのかなど膨大な費用負担にもつながる話にもなりますので、Intelとしては自社の被害を最小限に喰い止めるた、マザーボードメーカーやユーザーに責任を擦り付けたい意図もありそうですが、この声明を受けてマザーボードメーカーなどからの反応やIntelの最終発表が注目されます。
Intelとしては、既定値であるPL1/PL2をそれぞれCPUのデフォルト最大である253Wに合わせ、最大電流値も307Aにすること以外は推奨されないと言うスタンスのようです。ただ、マザーボードメーカーがBIOSを作る際にIntel発行のガイドラインもあるはずで、ASUS、MSI、GIGABYTEなど大手みんながこのガイドラインを無視したとは考えにくく、単に何も書いてなかっただけでは?と思ってしまいますね。
今後、Intelは最終調査結果を5月に発表すると言っていますが、この感じで行くとマザーボードメーカーやユーザーの過失で終了という感じで終わりそうです。仮にそう言う結論だと信頼関係にも傷が付きそうです。
Intel releases the “13th and 14th Generation K SKU Processor Instability Issue Update” | Igor’s LAB
コメント
コメント一覧 (1件)
職場のPCで負荷テストやったら通らなくて、上司に報告したところ、過去の仕事のデータが壊れていないか確認する羽目になり全員で連日徹夜で作業を行うことになりました。
結果、過去3ヶ月ぐらいの物に壊れているデータが見つかりました。
青画面出るならまだ良いんですが、いつの間にかデータ壊れていたりするのが非常に困りますね。
CPUにエラーがあるという事を軽く考えている人が多いけど、業務上重要なデータを扱う業種もあるわけで、CPUの処理するデータが気付かないうちに、壊れているかもしれない。
これが本当に困ります、論理エラーはエラーが表示されずにそのまま動いてしまいますからね。
構造計算したデータの数値が一部おかしくなっている、人命に関わるシステムだったら致命的です。