Intel Meteor Lakeの歩留まりに問題。次世代CPUもTSMC任せで収益に大きな悪影響に

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Intel Meteor Lakeの歩留まりに大きな問題。次世代CPUもほとんどTSMC任せで収益に影響も

Intelが2024年8月1日に発表した2024年第2四半期決算は市場予想を下回り、半導体業界が熱狂するAI向けでは全く収益が上がっていないことや第3四半期の予測も減収減益で失望を買い、その結果株価は大きく下落しています。このようにIntelは深刻な状況に陥り、1.5万人(全従業員の15%)のリストラを実施すると発表していますが、2023年末に投入されたMeteor Lakeでは歩留まりに問題を抱えているほか、2024年9月に発売される次世代CPUのLunar LakeやArrow Lakeに関しては生産のほとんどをTSMCに任せるため、収益回復にはかなり時間がかかる状況に陥っているようです。

Meteor Lakeは2023年末に投入された最新鋭のCPUで、コンシューマ向けCPUとして初めてタイル・アーキテクチャーを採用し、製造プロセスもIntel 4と呼ばれる最新鋭プロセスを導入しています。しかし、Intelの決算発表の場でMeteor Lakeの生産を急いだものの、歩留まりの問題からOEMの需要に対して供給が追いついていない状況に陥っているとのことです。

2024 Q2ではCore Ultra (Meteor Lake)の出荷が予想を上回ったことに加え、オレゴン州の開発用Fabからアイルランドの量産Fabへ移すなどIntel 4およびIntel 3の量産体制強化を加速させました。この強化により、短期的にはアイルランドでのウェハーコストが高くなり、収益性に影響を与えました。

この決定は、AI PC製品(Meteor Lake)の需要を満たすために必要な措置でしたが、その結果、粗利益率が低下し、収益性に悪影響を及ぼしました。結果、Intelは高い需要に対応するために生産能力を迅速に拡大することを選択しましたが、短期的なコスト増加という課題に直面しました。

John Pitzer — Corporate Vice President, Investor Relations

IntelはMeteor LakeはアイルランドのFab34で生産が行われていますが、2023年末の発売に向けて生産設備の導入や生産開始を急いだためコストが嵩んだと説明しています。一方で、歩留まりはIntelやOEMの期待を下回り、コストだけが膨れ上がり、コンシューマ向けCPUを扱うCCGセグメントは減収減益という結果につながってしまいました。

今後、IntelはMeteor Lakeの後継モデルとしてLunar LakeおよびArrow Lakeを投入しますが、これらのCPUも収益を回復する決定打にはならないとされています。その原因は、これらのCPUのほぼすべてのチップが自社ファウンドリーより高価なTSMCファウンドリーで製造されるためです。

AI PCは会社にとって大きな勝者であり、Lunar Lakeの性能に関する初期段階の報告は非常に良好です。

したがって、来年はLunar Lakeを大幅に増産し、市場の需要に応えるつもりです。ただ、このLunar Lakeは素晴製品ですが、主に外部ウェハーを使用するなどコスト最適化されていない狭いターゲット製品です。その結果、来年の粗利益率はわずかにしか上昇しない予想です。ただ、良いニュースは、後継製品であるPanther Lakeは18Aで内部調達され、コスト構造が大幅に改善される予定です。

John Pitzer — Corporate Vice President, Investor Relations

Lunar Lakeはまだ正式発表前ですが、CPUの大部分を占めるCompute DieはTSMC N3Bで製造され、I/Oや内蔵GPUを備えるSoCダイはTSMC N6で製造されるため、全体的にコストが高くなります。また、Lunar Lake以外にもデスクトップ向けのArrow Lakeもハイエンドモデルを中心にTSMC製造のダイが採用されるため、コストがかかり粗利益率の低下が懸念されます。

一方、IntelはLunar LakeとArrow Lakeの後継となるPanther Lakeについては自社のIntel 18Aファウンドリーを使用する見込みのため、収益改善が期待できると述べていますが、逆に言えばPanther Lakeが出る2025年までIntelの主力製品であるCPUは低い収益しか見込めず、それまで耐えるしかないという状況です。

Intelは収益率の低下に対抗するために全世界で1.5万人の従業員を解雇するほか、2026年までに研究開発費を含む支出を毎年数十億ドル削減し、設備投資も削減することを明らかにしています。この削減は短期的には収益改善につながるかもしれませんが、先行投資とも言える研究開発や設備投資も削減対象に含まれています。そのため、Intelにとって重要なPanther Lakeなど次世代CPUの開発に悪影響を与えず、予定通り出せるのかなど今後の動きに注目が集まりそうです。

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Intelは現状、AIブームで流れに乗っているNVIDIAやAMDに遅れを取っており、株価を見てもその失望ぶりが感じ取れます。2025年上期まではほとんどTSMCで作られるLunar LakeやArrow Lakeが主力製品になるため、さらなる収益低下が危惧されます。

Intelも危機感を持っており、1.5万人の解雇など支出削減を行うようですが、その中にはIntelの未来を決める研究開発費や設備投資も含まれているため、Panther Lakeなど直近の製品には影響が無くても、3〜5年先の製品に大きな悪影響を与える懸念があります。

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『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
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