Core i9-12900K等に搭載のE-CoreはZen2相当のIPC。ゲーミングも可能

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Intelから2021年11月4日に発売がされたCore i9-12900Kでは高性能なP-Coreと高効率なE-Coreをそれぞれ8コア搭載したハイブリッドアーキテクチャーが採用されていますが、TechpowerupがE-Coreのみを用いた状態でのベンチマーク結果を掲載しました。

目次

Alder LakeのE-Coreのみ動かしたベンチマークが出現

Intel Core i9-12900K E-Cores Only Performance Review | TechPowerUp

2021年11月4日にIntelから最新の第12世代CPUとなるAlder Lake-Sが発売され、その中でも最上位モデルとなるCore i9-12900KはライバルだったRyzen 5000シリーズを大幅に上回る性能を発揮し、コンシューマー向けCPUの性能合戦ではひとまず勝利を納めました。

そんな、Intelの最上位CPUでは高性能コア(P-Core)には新開発のGolden Coveアーキテクチャーが採用される一方で、高効率コア側(E-Core)にはTremontを改良したGracemontアーキテクチャーが採用されています。

今回、TechPowerUpでは高効率コアと謳われるE-Coreの性能がどれほどのものなのか、P-Coreを完全に無効化した状態でベンチマークが行われています。

E-Coreの性能はP-Coreの66%程度の性能。IPCはAMD Zen2相当

Intel Core i9-12900K E-Cores Only Performance Review – Application Performance | TechPowerUp

TechPowerUpでは、CPUのベンチマークに用いられるSuperPiやCinebenchR23など多くのベンチマークが行われています。

約36個のベンチマークが行われていますが、平均値としてはCore i9-12900KのE-Core性能はP-CoreからHT無効化した状態に対して約66%ほどの性能を発揮しているとの事です。TechPowerUpによるとCPUのIPCが最も顕著に表れるSuperPiのベンチマークでは、E-CoreのIPCはAMD Ryzen 3 3300X相当だったことから、IPCについてはZen2相当では無いかと考えられるとの事です。また、Skylake相当と謳われている性能についても強ち間違っておらず、Cinebench R23のシングルコア性能との比較ではCore i7-6700Kに対して4%程度の差しかありませんでした。動作クロックがE-Coreは最大3.9GHzに対してCore i7-6700Kは最大4.2GHzであることからSkylake相当と言えそうです。

4KではE-CoreとP-Coreの差が殆ど無く、ゲーミングは普通に出来る模様。

Intel Core i9-12900K E-Cores Only Performance Review – Game Performance 1080p | TechPowerUp

ゲーミング時の性能については720p、1080p、1440p、4Kの4つの解像度でベンチマークが行われています。この中で、CPUがボトルネックとなりやすい低解像度の環境ではE-Coreのみの性能はP-Coreのみに対して差が大きくなっています。ただ、他のCPUと比較するとSkylake世代のCPUであるCore i7-6700KやZen2搭載のRyzen 3 3300Xと並んでおり、各ゲームのFPSを見ると1080p環境ではBattlefield Vで168FPS、Cyberpunk 2077でも104FPSを発揮しているため、プレイ自体は十分出来るようです。

なお、4K解像度になるとGPUが大きなボトルネックとなるため、E-CoreのみとP-Coreのみとの間で大きな差は見られなくなります。

E-Coreは1コア辺りは高効率。8コア全てを使と効率は大幅低下

E-CoreのEはEfficent(効率的)と言う意味であり、消費電力が低いが、性能も低いというイメージを持っている人も多いと思いますが、アイドル時のシステム全体の消費電力についてはE-Coreのみの場合57Wとの事で、ハイブリッドアーキテクチャーを採用しないRyzen 9 5950Xで54W、Core i9-11900Kで56Wという事でハイエンドCPUとほとんど変わらない数値となっています。

ただ、このテストで留意する事がE-Coreのみを無効にしても30MBのL3キャッシュには電力が供給されているため、E-Coreのみの実力と言う訳では無いとの事です。

Prime95を動作させた際のシステム全体の消費電力については、E-Coreのみの場合は123Wを記録しています。ただ、Skylake世代のi7-6700Kが118W、Ryzen 3 3300Xが127Wという事で消費電力が非常に低いという訳でもないです。

ワットパフォーマンスについては、SuperPiのシングルスレッドおよびCinebenchのマルチスレッドを動作させた際に必要だった電力量から効率を導き出すテストですが、スコアについてはシングルコア時は12.5kJという事で比較対象となるCPUの中ではトップクラスに高い効率を出しています。ただ、Core i5-9400Fには負けてしまっていますがこの差は恐らくL3キャッシュなど他のシステムに消費電力が割かれてしまうためでE-Core単品だけ見れば恐らく最もワットパフォーマンスは高いようです。

一方で、マルチスレッドになるとこの傾向は一気に逆転し、P-Coreのみが10.5kJ、Core i9-12900K全体としては10.2kJを記録する中でE-Coreのみは12.8kJを記録します。これはE-Core自体のIPCが低いためベンチマークを終了するのにかかった時間が長く、結果的にワットパフォーマンスが低下してしまっているとの事です。

The TRUE Prius Test: BMW M3 gets Better MPG! – Top Gear – YouTube

(昔Top Gearと言うイギリスの番組で、サーキット場でプリウスをBMW M3が追いかけるという実験をした所、燃費はBMW M3の方が良かったという結果が出ていますが、同じような事なのですかね)

AMD Radeon RX 6500と6400の仕様が判明。TDPは約75Wになる見込み

E-Coreの役割としてはハイブリッドアーキテクチャーと言う特性上、CPUパワーを多く必要としない作業に焦点が当てられており、フルパワーを必要とするような作業には向いていないCPUとなっています。そのため、ワットパフォーマンスについては、E-Coreのみでベンチマークを動かすと芳しくない結果が出てしまうのはある意味当然かもしれません。

第13世代 CoreとなるRaptor Lakeのラインアップとコア数などの情報出現

ちなみに、IntelではRaptor Lakeなど次世代CPUではE-Coreを現行の8コアから16コアに倍増させる計画ですが、ゲーミングなどでもそこそこ性能を出せている事からコア数を増やしつつ、負荷を下げてワットパフォーマンスを上げる戦略なのですかね?

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。
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コメント

コメント一覧 (1件)

  • 前半部分はIntelの公式の「E-CoreのIPCはSkylake並みという」説明が正しいということを追認する内容で、HT有効でマルチスレッド性能を30%上がると考えれば、同クロックならP-Core 1C2TとE-Core 2C2Tの性能が同じで、E-Coreは半分の実装面積で済む、ということが示されてます。

    後半の消費電力は”Whole System”、つまりGPUなどを含むゲーミング環境全体なので、Eコア1つあたりの電力性能を示すには不適当でしょう。理想的にはCPUパッケージ電力モニタを使うべきですし、せめて負荷時-アイドルで評価すべきでしょう。負荷時-アイドルを基準とすると最後の図で7.65kJ相当の位置になるはずです。

    また普通のCPUは全コア走らせたときにTDPに合わせてクロックを落として効率寄りに振るんですが(例えば5950Xは全コア動作時3.9GHzあたり)、Eコアは原型のJasper lakeがターボ3.3GHz&4コアTDP10W付近であるところを、3.9GHz&8コア70W程度のOC状態で走らせてるので、効率性の評価という意味でも不適という感じですね。

    AtomミニPCを使ってるので、電力に関してはそういう比較の仕方はないんじゃない?とかなり疑問になりました。

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