Intelが最悪期を脱する。次期製品のArrow Lakeも予定通りだが中身はコストカットが主で油断は禁物?
Intel’s Back in the Black, Says Arrow Lake Already in the Fab | Toms Hardware
Intelについては2022年末頃からPC需要の減少をきっかけに収益が大きく低下し、2023年1月から3月期の決算は過去最大の赤字である27億ドル(約3800億円)を記録しました。この主な原因はIntelの稼ぎ頭でもあるコンシューマ向けPCやサーバー・データセンター製品の不調でしたが、2023年4月から6月まで(23/Q2)の決算においては最悪期を脱したと評価できそうな結果になったようです。
Intelの23/Q2の結果は売上高は129億ドル(1兆8000億円)、純利益は15億ドル(約2100億円)を記録しています。この結果はIntel自身、そして市場予測を上回る結果になっています。
前期の結果が過去最大の赤字に対して、今期は一気に黒字ということで稼ぎ頭であるコンシューマ向けPCやサーバー・データセンター向け製品が売れ始めたと考えられそうですが、決算の中身はそこまでバラ色ではないようで油断できない内容になっています。
というのもここまで収益が改善した主な理由は研究開発であるR&DやM&Aでの支出が前期に対して12億ドル(約1680億円)減っており純利益のほとんどはコスト削減によるもので売上高増が要因ではありません。
ここで特に心配されるのがR&Dコストをどれぐらい下げているかで、IntelではIntel 20AやIntel 18Aなどプロセスノードの研究の他に、コンシューマ向けCPUではMeteor LakeやArrow Lake、サーバー・データセンター向けではGranite RapidsやSieera Forestなど多くの製品の投入を予定にどのような影響が出るのかですが、IntelのCEOであるPat Gelsinger氏によると、Intelでは2024年以降に投入を予定しているArrow Lakeについてはすでに生産工程の確認に移っており、開発が順調に進んでいることをアピールしています。
ただし、Intelについては過去数年間新CPUを計画通り導入できた実績は少なく、直近のMeteor Lakeもデスクトップ向けは登場せず、ノートPC向けだけになったり、Arrow Lakeについては全モデルまたは売れ筋となるモデルはTSMCに生産を委託するというリークが出ています。また他に、Meteor Lakeから搭載され、サーバー・データセンター向け製品であるSierra Forestなどにも搭載される新E-CoreアーキテクチャーであるCrestmontについては性能が計画を下回っているなど過去の実績や出ているリークを鑑みるとIntelの開発は計画通り進んでいるのか疑問が残るところです。
Intelの決算発表の場では開発は順調とのことでしたが、Intel製CPUを取り巻く環境は改善も見られるものの依然として厳しい状況は変わらないとのことです。
コンシューマ向けCPUの売上は前年度比で12%下落し、供給過多の状態が続いているのですが、Pat氏によると供給に対して需要が追いつき始めてきているとのことで、コンシューマ向けCPUの需要については底を脱し、今後は回復に向かう傾向がより一層強まる見方をしているようです。
コンシューマ向けCPUでは明るい兆しが見える一方で、サーバー・データセンター向け製品については見通しが暗く前年同期比で15%下落し、営業利益は2億ドル(約180億円)の赤字となっています。Pat氏によるとサーバー・データセンター向け製品の市場についてはAIに対する需要がほとんどとなる見通しのほか、Intelのサーバー・データセンター向け製品はAMDのEPYCなどの競争力が非常に高くこれらのセグメントにおいてCPUの販売台数や収益が改善するのはまだまだ先になる見通しを持っているようです。
今回の決算内容は全体的に赤字から黒字に転換したことが評価されるのですが、中身は主にコストダウンという内容になっています。しかし、Intelでは2023年秋以降新製品ラッシュで、ノートPC向けのコンシューマ向けCPUであるMeteor Lake、そのあとはSapphire Rapidsの次世代モデルであるEmerald Rapids、そして2024年にはサーバー・データセンター向け製品としてAMDに対抗できるのではと期待されているGranite RapidsとSierra Forest、そしてデスクトップとノートPC向けのコンシューマ向けCPUのArrow Lakeと続々と登場が予定されています。Intelではここ最近の不調は市場環境もありましたが、最大の原因は競争力のある製品を計画通りに出せなかったことであり、2023年以降に投入される製品については『計画通り出せるか』。これが今後の決算内容に大きく関わっていくものと考えられます。
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データサーバーとかのクラウド系は、低消費電力で高性能が求められるから、どうしてもArmとかAMDに有利だから仕方がない部分がある。