Intel Arrow Lake-S の性能を10%向上させる『IPO』対応PCが登場。保証付きでオーバークロック
Intelの次世代デスクトップCPU「Arrow Lake-S」ことCore Ultra 200Sシリーズは、タイルアーキテクチャの採用や刷新されたPコア/Eコア、AI処理を担うNPUの搭載など、多くの技術的刷新が含まれたCPUです。しかしその一方、発売後はゲーミング性能を中心に、先代のRaptor Lakeシリーズに劣るケースが見られ、レビューでの評価は芳しくありません。同時期に発売されたAMDのRyzen 7 9800X3Dとは対照的に、販売状況も好調とは言えないようです。
そんな中、IntelはCore Ultra 200Sシリーズの販売テコ入れ策として、パフォーマンス向上に焦点を当てたIntel Performance Optimizer (IPO)プログラムに対応したOEM製およびBTO PCを、中国市場先行で発売したことが明らかになりました。
このIPOは、Core Ultra 200SシリーズCPUの性能を最大限に引き出すための最適化技術で、具体的には最新マイクロコード(0x114)とそれに含まれるPerformance Release 5の適用といったファームウェア調整に加え、CPUのオーバークロック、DDR5メモリーの動作速度やレイテンシ最適化、さらにPL1/PL2といった電力制限の緩和などが含まれます。これにより、ゲーミングや、動画・3DCGレンダリングといった高負荷作業でのパフォーマンス向上が期待できるとしています。
Core Ultra 7 265K | 定格クロック・電力 | IPO適用クロック・電力 |
---|---|---|
P-Core | 5.2 GHz | 5.4 GHz |
E-Core | 4.6 GHz | 4.9 GHz |
RING BUS | 3.9 GHz | 4.0 GHz |
NGU (Next Generation Uncore) | 2.6 GHz | 3.1 GHz |
Die-to-Die | 2.1 GHz | 3.1 GHz |
PL1 | 125W | 280W |
PL2 | 250W | 350W |
このパフォーマンス向上策により、例えばCore Ultra 7 265Kでは、P-CoreやE-CoreといったCPUコアが4~6%オーバークロックされます。また、CPUコア以外のRing Bus、NGU(Next Generation Uncore)、Die-to-Dieインターコネクトなども最大1GHz程度オーバークロックされるなど、大幅な強化が図られています。
電力設定については、PL1が125Wから280Wへ、PL2が250Wから350Wへと大幅に引き上げられており、これは前世代のRaptor Lakeシリーズを彷彿とさせる、いわゆる”電力盛り”の設定と言えるでしょう。
CPU以外にもIPOではDDR5の速度が8000 MT/sから8400 MT/sへチューニングされる例もあるとのことで、これらのオーバークロックやチューニングを行うことで同じ構成の定格設定モデルに対して最大10%の性能向上が期待できるとのことです。また、CPUのオーバークロックなどが積極的に行われていますが、このIPOに対応したPCは通常の製品保証も適用されるとのことです。
IntelはこのIPOプログラムによって、競合するAMDに対抗する狙いがあると見られます。ただし、現時点ではこのプログラムはOEMやBTO PC向けに限定されています。
しかし、数週間前にCore Ultra 200Sシリーズ関連のリーク情報として、IntelがIPOに似た機能を一般ユーザー向けにもBIOSプロファイルとして提供する可能性がある、という話も出ています。もし実現すれば、このプロファイルによってCore Ultra 200Sシリーズの性能がどの程度向上するのか、そしてAMDに対して十分な競争力を獲得できるのか、今後の動向が注目されます。
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