顧客がいなければ中止のIntel 14AにAppleやNVIDIAが関心を示す?
Intelの次世代製造プロセス「Intel 14A」は、自社製品への採用はもちろん、外部顧客へ製造を請け負うファウンドリビジネスの要となるはずでした。しかし、日本時間で昨日あたる2025年7月25日の決算発表にて、「性能や顧客獲得の目標が達成できなければ、開発中止も視野に入れる」という衝撃的な発表が行われました。
Intelが14Aプロセス開発中止の可能性を発表。顧客が付かない場合Intel製CPUもTSMCへ全委託
仮にIntel 14Aの開発が中止されれば、先端プロセス開発を続ける唯一のアメリカ企業が半導体レースから脱落することを意味し、その影響は計り知れません。
しかし、この危機的状況の中、一筋の光が差し込んできました。AppleやNVIDIAといった半導体業界の巨大顧客が、このIntel 14Aの採用に強い関心を示していることが明らかになったのです。
Apple関連のサプライチェーン情報に詳しいGF証券のアナリスト、Jeff Pu氏によると、Intelはすでに主要な顧客に対して14Aプロセスの初期バージョンPDK(プロセスデザインキット)を提供しているのですが、この中でAppleとNVIDIAが採用に向けて前向きな姿勢を示していることを明らかにしています。
We anticipate NVIDIA's gaming GPU (low-end version) and Apple's M series to emerge as adopters of Intel 14A.
Jeff Pu -GF Securities analyst
具体的には、Appleは将来のMac向けチップ「Mシリーズ」に、NVIDIAは低価格帯のゲーミングGPU「GeForce」に、それぞれIntel 14Aプロセスの採用を検討していると報じられています。
Intel 14A採用でコスト競争力やサプライチェーン多角化が狙い?
Appleは同社が設計するスマートフォン向けのAシリーズやPC向けのMシリーズはすべてTSMCで製造されていますが、現状すべてTSMC製と言うことで価格や生産能力においてTSMCの意向に従わざるを得ない状況です。
また、NVIDIAはGPUという大きなチップを扱うため、高騰するTSMCのウェハー価格が製品コストに直結します。高利益率のデータセンター向けGPUでは問題になりにくいものの、低価格化が求められるコンシューマー向けのGeForce、特にエントリーモデルなどでは、TSMCの最先端プロセスを採用し続けることはコスト的に大きな負担となります。
そのため、AppleやNVIDIAはTSMCに加え、Intelプロセスも採用することで価格交渉力を高めることに加え、サプライチェーンの多角化を図ることで供給の安定性を向上させるという狙いがあると見られています。
ただし、両社がIntel 14Aの採用を決定するには、TSMCに匹敵する製造プロセスの性能に加え、Intelが安定した供給能力を保証する具体的なロードマップを示すことが絶対条件となります。
仮にIntelがAppleやNVIDIAを顧客として獲得できればIntelファウンドリーは市場に認められたことを意味し、Qualcommや場合によってはAMDなど他の大口顧客獲得に向けた足掛かりになる可能性がありますが、失敗すれば決算発表通り先端プロセスから脱落する可能性もあります。
そのため、この交渉はIntelの未来を左右すると言えますが、今後どのように進展しているのか動向には注目が集まります。
Apple May Tap Intel To Manufacture Future M-Series Mac Chips | BGR
https://www.bgr.com/1921034/apple-intel-manufacture-future-m-series-chips
コメント
コメント一覧 (2件)
インテルは株価対策のためなのかイメージ操作のためなのか、こういう希望的観測レベルのことをあたかも事実であるかのように吹聴しまくっていますがどれも法螺ばかり
現実にはTSMCのシェアは70%にも達していて、インテルファブなんて1%にも満たないシェアだし2位サムスンですら7%とかのレベルでとても太刀打ちできません
法螺かどうかは置いておいて、一般的に考えて「TSMC一強状態が好ましくない」というのは大口ユーザーなら誰しも思うことで、牽制のためであれリスクヘッジのためであれ、第二の選択肢を検討することはごくごく当たり前のことだと思います。
ですので、まっとうな思考を働かせる方に対して、この記事が提灯になるとはとても思えないですけどね。