GoogleのAIゴリ押し戦略で自身が定めたCO2排出目標達成が困難な状況に陥る
Googleはカリフォルニアに本社を置く企業として、企業の社会的責任(CSR)を重視し、リベラルなサステイナビリティ目標を掲げています。具体的には、2030年までに再生可能エネルギーを活用して事業に必要なエネルギーを削減し、温室効果ガスの排出をネットゼロにすることを目指しています。
しかし、最近のAIブームに伴い、Googleではデータセンターの急速な拡大と高性能化が進んでおり、2019年から2024年にかけて温室効果ガスの排出量が急増しています。これにより、同社が定めた2030年の目標を達成することが困難になりつつあります。
Googleが公開した環境報告書によると、2023年の温室効果ガス排出量は前年比で13%増加し、総排出量は1430万トンに達しました。これは2019年と比較すると48%の増加です。この大幅な増加の理由として、データセンターの拡大とサプライチェーンの拡張が挙げられています。報告書によれば、データセンターの消費電力は2023年には前年比で17%増加し、同社全体の電力消費量の25%を占めています。また、Googleのデータセンターは世界のデータセンターのエネルギー消費量の7〜10%を占め、冷却に必要な水消費量も前年比で17%増加しています。
これに対応するため、Googleは2023年に推定10億ガロンの水を補充しており、この量は同社の水消費量の18%に相当します。2022年にはこの補充率が6%だったことから、補充率は3倍に増加しています。また、エンドユーザー向け製品であるPixel 8やPixel 8 Proでは100%プラスチックフリーのパッケージを使用するなど、温室効果ガスの排出量削減に取り組んでいます。さらに、AIを活用して情報整理、予測の改善、最適化を通じて気候変動を抑制する方法も模索しています。
ただし、Google自身が設定したサステイナビリティ目標の達成が危ぶまれる現状について、チーフ・サステイナビリティ・オフィサーのKate Brandt氏は「非常に努力している」と述べるなど各社が定める環境目標並みにあやふやなコメントをしています。
サステイナビリティ目標として温室効果ガスのネットゼロ化は日本の企業でも掲げていますが、Googleは環境問題に関心が高いカリフォルニアに位置し、従業員もリベラルな考えを持つ人が多いため、一般的な企業に比べると本気度が高いと言えます。
そのような状況で、AIを稼ぎ頭にする中でサステイナビリティ目標とAI事業による消費電力の増加(温室効果ガス排出量増)をどうバランスを取っていくのかが注目されます。個人的には、現段階ではコンピューティングパワーを重視したAI機能向上を行っていますが、Googleがこの問題を深刻に捉え、より省電力で動作するAIの開発も同時に進めることが理想的です。
Our 2024 Environmental Report | Google
https://blog.google/outreach-initiatives/sustainability/2024-environmental-report
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