サムスンファウンドリーの低い稼働率を救うためにGalaxy新モデルに自社製Exynos 2200を搭載へ
サムスン電子ではTSMCに最も近い半導体製造技術を持っており、現在は4nmの製造技術を持つ自社製ファウンドリーを持っています。この先端プロセスについてはTSMCに対してコストが安い事から過去にはQualcommのSnapdragon 8 Gen 1などを製造していましたが、Snapdragon 8 Gen 1については低い歩留りや性能により数ヶ月でTSMCに乗り換えられ、2023年に登場するSnapdragon 8 Gen 3などもTSMCで製造が行われるなどコスト的には有利なもののあまり評判については良くありません。
そのためこのサムスンファウンドリーの稼働率はあまり高くない事が想定されていますが、この稼働率を上げるためにサムスンがまもなく投入するミドルレンジ向けスマートフォンであるGalaxy S23 FEではサムスンファウンドリーを使用した自社開発のExynos 2200が採用されるようです。
Galaxy S23 FEに搭載される予定のExynos 2200についてはGalaxy S22にて初めて搭載されたSoCとなっており、当時は世界的に半導体不足の影響が残っていた事から、ヨーロッパや東南アジア、中東地域ではExynos 2200を搭載し、他の地域ではQualcommのSnapdragon 8 Gen1が搭載されていました。このExynos 2200についてはAMDのRDNA 2アーキテクチャーがグラフィックスとして搭載されていた事からグラフィックス性能に期待が持たれたSoCとなっていました。
しかし、発売されてみると性能面ではSnapdragon 8 Gen 1と同等の性能にはなっているものの、最適化が不足しているためカメラやスクリーン、GPSなどのバグが多い他、GPU性能も期待されたほどではないなどが問題となり評判が悪いSoCになっています。
そんなSoCをサムスンではGalaxy S23 FEに搭載する事を検討しているようですが、スマートフォン向けSoC関係のリーカーであるRevegnus氏によるとサムスンでは自社ファウンドリーの稼働率が非常に低い事が原因で損失が膨らみ続けているとのことです。稼働率については具体的には不明ですが、ここ最近発売されるSoCやGPUなどでサムスンファウンドリーを使っている製品は無く、Snapdragon 8 Gen 3についてもTSMCが受注を獲得しており新規の大口顧客の獲得には失敗していると見られています。
そのため、サムスンでは既存のExynos 2200の在庫を減らすと共に、サムスンファウンドリーの稼働率を向上させる策として評判が悪いExynos 2200をあえてGalaxy S23 FEに搭載する事を考えているようです。
なお、Galaxy S23 FEはどちらかと言うとコストに焦点を当てた製品になると見られているため、Exynos 2200搭載によるデメリットはあるものの、価格が抑えられるというメリットもあります。と言うのも評判が良いSnapdragon 8 Plus Gen 1やSnapdragon 8 Gen 2については$130~$160程度のコストがかかるものの、Exynos 2200についてはこれよりもはるかに低いコストでの製造が可能となっています。
ただ、Exynos 2200のには低い歩留りも問題の1つとして過去には挙げられていたため、販売台数が稼げるはずの製品の供給を制約する事になればファウンドリーの赤字を補うはずが、スマートフォン事業の売上高を落とすという共倒れ状態となるリスクもあるようです。
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