MicrosoftはXbox Series Xに採用されている高速ストレージ技術である『DirectStorage』についてWindows10向けにAPIを提供する事を約束していましたが、必要となるハードウェア構成については未定でした。今回、MicorosoftのDirectStorageに関する説明会に参加した人から、DirectStorageに必要となるハードウェア構成について明らかになりました。
CPU負荷の低減を図るDirectStorage
Microsoftが発表したDirectStorageでは、NVMe経由でデータを読み取る際のCPU負荷を低減し、CPUリソースを別のリクエストに使えるようにする事がゴールとされています。
従来までは、NVMe SSDからデータを読み取る際はシステムメモリーに読み込まれ、その後はCPUでGPUが使えるように処理をした後、GPUのVRAMへコピーされます。この時には、CPUはNVMeにデータを要求する処理やNVMeからのデータを解凍する処理にリソースが使われてしまいます。
一方で、DirectStorageではNVMe SSDのデータはシステムメモリー(RAM)経由でGPUのVRAMにそのまま転送されます。
この際に従来までは1データにつき1個の処理として命令を出していましたが、DirectStorageでは必要なデータ分をまとめて1つの命令として出します。こうする事でCPUにかかる負荷が減ります。
そして、そのデータはシステムメモリー(RAM)からGPUのVRAMにコピーされ、GPUが自らが使えるようにデータを解凍処理を行います。ここでもCPUの処理は必要としません。このような処理を行うことでDirectStorageでは貴重なCPUリソースを節約する事ができます。
この一連の流れの中ではCPUが担っていたデータの解凍処理をGPUに肩代わりさせていますが、GPUはCPUに比べて解凍処理は得意とされており、ロード時間の短縮やデータストリーミングに適しているとの事です。
DirectStorageの説明会参加者によって必要なハードウェア構成が判明
このDirectStorageについて、必要となるハードウェア構成は現時点では発表されていませんでしたが、RedditにてMicrosoftのDirectStorageの開発者向け説明会に参加した人によると、このDirectStorageではPCIe Gen 3.0対応のNVMe SSDおよびDirectX 12に対応するGPUを持っていれば原則、対応が可能になるとの事です。
ただし、細かな要件、例えばNVMe SSDの速度について別途、要件があるのかなどは不明です。
この、DirectStorageがWindows 10でサポートされる事で、ロード時間の改善やCPU負荷の低減などパフォーマンス面での恩恵は絶大なものと考えられます。また、恐らくXbox Series Xでリリースされているゲームでは既にこのDirectStorageは利用されているものが多いと考えられるため、対応ゲームの数も充実していると考えられます。
DirectStorageのような技術はPlayStation 5にも採用されており、ロード時間の短縮やオープンワールドゲームで重要となるテクスチャーのストリーミングを超高解像度で実現したりと、ゲーム全体の体験を向上させるものとなっています。
今回、このDirectStorageにはPCIe Gen 3.0 NVMe SSDでも対応が可能となるとの事でしたが、Xbox Series XのSSDにはPCIe Gen 3.0 NVMe SSDが使われていたという情報を耳にした事があるので、DirectStorageがPCIe Gen3に対応するのは正常な流れのように思えます。
このDirectStorageによってCPU負荷が減るとの事でしたが、これによって最新鋭のCPUや古いCPUでゲームをする際、どれほどの恩恵があるのか、またより高速なPCIe Gen 4.0対応 NVMe SSDを利用するとどのぐらいパフォーマンスが上がるのかなど知りたい事が山のようにありますので詳細に関する公式発表や機能の実装が待たれます。
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