5年ぶりにアーキテクチャーの全面刷新が行われたIntelの第11世代デスクトップCPUである『Rocket Lake-S』。その最高モデルに当たるCore i9-11900KがPassmarkのシングルコアベンチマークで1位を獲得しました。
Intel第11世代CPU『Rocket Lake-S』の最新情報
シングルコア性能重視のIntel。AMDのリードを取り返す
CES 2021にてIntelは5年ぶりにデスクトップ向けCPUラインアップでアーキテクチャーを刷新した『Rocket Lake-S』を正式発表しました。デスクトップ向けCPUでは2015年に開発された『Skylakeアーキテクチャー』が長らく使われていましたが、『Rocket Lake-S』からはモバイル向けCPU向けに2019年に開発された『Sunny Coveアーキテクチャー』をベースとした『Cypress Coveアーキテクチャー』が採用されています。この変更によりAMD Ryzenシリーズに対して遅れていたPCIe Gen4.0への対応や、シングルコア性能などAMDに対して追いつく姿勢を見せています。
Passmarkのシングルコア性能で1位を獲得
今回、Passmarkで1位を獲得したのはCore i9-11900Kで仕様は8コア16スレッドで、ベースクロックは3.5GHz、ブースト時はシングルコア時は5.2GHz、全コア利用時は4.8GHzへ上がります。また、IntelのThermal Velocity Boostによりブーストクロックに対して熱や電力的に余りがあればブーストクロックから更に0.1GHz上がります。
このような様々な最適化が施されている事でIntel Core i9-11900Kは3764ptを獲得しています。また、2位にはCore i7-11700Kが3548ptでランクインしており、『Rocket Lake-S』系が1位2位を独占しています。『Rocket Lake-S』が登場する前までは2020年11月5日に発売されたAMD Ryzen 7 5800Xが3514ptで1位を獲得していましたが、Core i9-11900KはRyzen 7 5800Xを約7%上回るスコアを記録しています。また、1世代前のCore i9-10900Kに対しては約19%に及ぶ向上を果たしておりアーキテクチャー刷新の効果が表れています。
マルチコア性能はRyzen 7 5800Xとほぼ同じ
今回、シングルコア性能については非常に高いパフォーマンスを発揮していたCore i9-11900Kですが、マルチコアに関してはCore i9-11900Kと同じく8コア、16スレッドを搭載するRyzen 7 5800Xとほぼ同じスコアを記録しています。Core i9-11900Kは28082ptを記録し、Ryzen 7 5800Xは28703ptを記録しています。Ryzen 7 5800Xの方が約2%高いスコアを記録していますが同等と言えるレベルに収まっています。
ちなみに、前世代であるCore i9-10900K(10コア20スレッド)は24084ptを記録しており、Core i9-11900Kは2コア4スレッド少ない状態で16%高いスコアを叩き出しています。
アーキテクチャー刷新により非常に高いパフォーマンスを発揮する『Rocket Lake-S』ですが、発売は3月末頃とされています。4K動画の編集やエンコードなど多くのコアが必要な場面では最大8コア16スレッドは物足りない場面が多いですが、ゲーミングやフルHD動画の編集などであればCore i9-11900Kの性能は必要十分と言えます。
IntelのCPUは長年、アーキテクチャーが据え置かれていた事や最近ではAMD Ryzen 5000シリーズの登場により売れ行きが非常に悪いという状況が続いていました。そんな中で、『Rocket Lake-S』ではアーキテクチャー刷新やシングルコア性能の大幅向上など弱点を補った製品となっておりどのような価格設定で登場し、どれほどのユーザーを取り込めるのか楽しみです。
ただ、本音を言うとIntelは2021年下半期に新しいアーキテクチャーを採用し、対応チップセットやソケットも変わる『Alder Lake-S』のリリースが予定されています。そのため、あと1年ぐらい待てるのであれば『Alder Lake-S』の登場を待つのが賢明な判断と言えると思います。
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