AMDではZen4アーキテクチャーを採用するRyzen 7000シリーズCPUを2022年8月29日に発表し、9月27日に発売を予定していますが、このZen4に3D V-Cacheを搭載したRyzen 7000X3Dシリーズについて性能などに関する情報が出現しました。
Zen4+3D V-Cache搭載のRyzen 7000シリーズ
AMD Ryzen 7000 ‘Zen 4’ CPUs With 3D V-Cache May Not Hit Desktops Till 2023 (wccftech.com)
AMDではCPUダイの上にキャッシュ専用ダイを積むことでキャッシュ容量を大きく拡大させる3D V-Cache技術を2021年に発表しており、2022年1月にはミドルレンジモデルであるRyzen 7 5800Xを3D V-Cache化したRyzen 7 5800X3Dを発表、パフォーマンス面では8コア16スレッドで2020年発売のアーキテクチャーをベースとしながらも、Intelの16コア24スレッドの最新CPU、Intel Core i9-12900Kに迫るようなパフォーマンスを発揮しています。
この3D V-CacheについてはAMDでは2022年9月27日から発売が見込まれるZen4アーキテクチャーを採用するRyzen 7000シリーズでも将来的に採用する事がファイナンシャルアナリスト向け発表会で発表が行われていますが今回この3D V-Cacheを搭載するRyzen 7000シリーズの性能や登場時期などに関する情報がMoore’s Law is Deadより出現しました。
関連記事:未来のAMDは明るい?AMD FAD2022で公開された内容まとめ。
AMD Zen 4 V-Cache Early Leak: Intel shouldn’t get greedy with Raptor Lake… – YouTube
Zen4 3D V-Cache版は2023年の早い段階で登場。V-Cache部分はTSMC 6nmを採用?
Moore’s Law is Deadによると、AMDで過去に128コアを搭載するBergamoやZen4のIPCに関するリークを出したソースとの事で信憑性は高いとの事です。(AMDの発表前にIPCは15~24%向上と言っており当たってる)
関連記事:AMD Zen4 Ryzen 7000やEPYCの最新情報が出現。IPCはZen 3比で24%向上
- Zen4 3D V-Cache版については、CPUダイはTSMC 5nmで製造され、V-Cache自体はTSMC 7nmまたは6nmでの製造
- Zen4 L3キャッシュ容量がZen 3と同じ32MBなのは3D V-Cache化を円滑に進めるための仕様設定だった模様
現行のRyzen 7 5800X3Dで搭載されている3D V-CacheについてはAMDにとってはベータ版のようなもので、Zen4に搭載される3D V-Cacheが正規版のようなものでより洗練されているため動作クロックはRyzen 7 5800X3Dに比べて大きく引き上げられる見通しのようです。ただ、現時点の試作段階では電圧関係の制約があるようで、動作クロックは低めのようです。
- Zen4 3D V-Cache版についてはオリジナルの計画案では2023年上半期中の発売。
- ただ、AMDではIntelのRaptor Lakeに対抗するために、投入スケジュールの前倒しを決定したようです。
Moore’s Law is Deadが入手したソース全員が2022年内の発売の可能性は薄いとの事。ただ、AMDではIntelをけん制するためZen4 3D V-Cache版の投入予告を2022年Q4(10月~12月)に行う可能性はあるようです。
Zen4 3D V-Cache版として発売がされるモデルは現時点では16コア32スレッドのRyzen 9 7950X3DとRyzen 7 7800X3Dの2モデルとなるようです。
Zen4 3D V-Cacheの性能は初期サンプル段階でZen 3より1.5倍の性能に?
Moore’s Law is Deadではソースからベンチマーク結果を入手したようですが、ソースを守るためにZen 3、Zen4、Zen 3 3D V-Cache、Zen4 3D V-Cacheの相対的な性能に修正したグラフが紹介されています。
なお、ここでのZen4およびZen4 X3DはA0サンプルと呼ばれる初期サンプルが用いられている他、TDPについては最大170WとなるZen4系CPUも、Zen 3に合わせて105Wに制限されてベンチマークが計測されているようです。
この結果によると、ベンチマークによって差はあるものの、『Bench 2』ではZen 3に対してZen4 3D V-Cacheでは1.5倍近い性能を発揮する事があるようです。また、Zen 3 V-CacheとZen4がほぼ同じ結果となっている『Bench 4』においても、Zen4 3D V-CacheではZen 3に対しては35%、Zen 3 V-CacheやZen4に対しては20%ほど高いパフォーマンスを発揮しており初期サンプルでありながらも高いパフォーマンス向上が見られるようです。
なお、AMDの資料によるとZen 3とZen 3 3D V-Cacheの性能差は10~15%ほどですが、Zen4とZen4 3D V-Cacheの性能差は~30%と大きく上がるようです。
AMDのRyzen 7 5800X3Dについては、発売から1年以上が経過したZen 3アーキテクチャーを採用していたものの、Intelの最新鋭かつ最上位CPUであるCore i9-12900Kに対してゲーミングパフォーマンスでは同等レベルの結果を発揮していましたが、Ryzen 7000シリーズ(Zen4)の3D V-Cache版についてはV-Cache側に改良が加えられている事から更なる性能の伸びが期待できそうです。
これに対してIntelでは6 GHzを超えるような動作クロックとE-Coreの倍増したRaptor Lake-Sで迎え撃つと見られていますが、その中の最上位モデルのCore i9-13900KについてはAMDのRyzen 9 7950Xに対しては同等か一部分野では勝てる可能性はありそうですが、今回のリーク通りの性能でRyzen 9 7950X3Dなどが登場すれば差は大きく開けられてしまいと考えられます。
また価格面でもIntelは秋以降にCPUの値上げを行う事は確定しており、Alder Lake-Sでは性能のみならずコストパフォーマンスの高さも相まってAMDからシェアを大きく奪えましたが今回は性能は苦戦し、コストパフォーマンス面でもAMDに対して大きなアドバンテージを見いだせない可能性があり厳しい戦いが強いられるかもしれません。
コメント
コメント一覧 (2件)
「2022年1月にはミドルレンジモデルであるRyzen 7 5800Xを3D V-Cache化したRyzen 7 5800X3Dを発表、パフォーマンス面では6コア12スレッドで2020年発売のアーキテクチャーをベースとしながらも」とありますが、5800X3Dは8コア16スレッドかと
ご指摘ありがとうございます。修正しました。
こんがらがっていました