AMD Radeon RX 7000シリーズ各モデルの詳細判明。性能は現行の2倍が限度?

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AMDでは2022年中にRDNA3アーキテクチャーを搭載するRadeon RX 7000シリーズを発売する予定ですが、この中で初期に登場するGPUダイ3モデルであるNavi 31、Navi 32、Navi 33 GPUに関する詳細仕様のリークが出現しました。

目次

NVIDIAに全面的に挑むRadeon RX 7000シリーズ

2022年にはNVIDIAがGeForce RTX 4000シリーズを登場予定ですが、AMDではこれらに対抗するために現行のRadeon RX 6000シリーズの後継であるRadeon RX 7000シリーズを発売予定としています。

このRadeon RX 7000シリーズでは登場する3つのGPUの内、上位2モデルであるNavi 31とNavi 32はCPUのRyzenのように小さなダイを組み合わせたMCMが採用される予定で、GPUダイ1基に対してキャッシュ系ダイを複数搭載することが予定されています。また、ミドルレンジ向けのNavi 33ではモノリシックダイが採用されますが、アーキテクチャーの刷新により性能が大幅向上すると言われています。

今回はそんなRadeon RX 7000シリーズについて、AngstronomicsとMoore’s Law is Deadが各GPUの詳細仕様や性能に関するリーク情報を入手したようです。

RDNA 3 Configuration Leak: AMD’s “Maxwell Moment” is here! – YouTube

Radeon RX 7000シリーズ各モデルの仕様について情報出現

Radeon RX 7000シリーズでは現在のところ、最上位モデルに採用されるNavi 31 GPU、ハイエンドモデルで採用がされるNavi 32 GPU、ミドルレンジモデルで採用されるNavi 33 GPUの合計3つが計画されていますが、それぞれのGPUについて詳細情報をAngstronomicsが入手したようです。

Navi 31 (Radeon RX 7900 XT、RX 7800系)

Navi 31はRadeon RX 7000シリーズとしては最上位モデルでの採用が予定されているGPUで、主にRadeon RX 7900 XTやRadeon RX 7800系で搭載されると見られています。登場は2022年末までに予定されており、Radeon RX 7000シリーズとしては最初に登場するGPUとなる予定です。

  • コードネームはPlum Bonito(直訳:梅カツオ)
  • チップレット構成はGCDを1基、MCDを6基(通常版と3D V-Cache版あり)
  • WGPを48基(Compute Unit換算で96基、12288基のコア)
  • Infinity Cache容量は通常版が96MB、3D V-Cache版が192MB
  • バス幅は384-bit、VRAMはGDDR6
  • GCDはTSMC 5nmで製造。ダイサイズは約308mm2
  • MCDはTSMC 6nmで1基辺り37.5mm2

Navi 31はコンシューマー向けとしては世界初のチップレットを採用したGPUになる予定で、GCDとMCDにはTSMCのInFO_oSと呼ばれるパッケージング技術を採用する事でコストダウンが図られるようです。

GCDはGraphics Chiplet Dieと呼ばれ、GPU機能が搭載、MCDはMemory Chiplet Dieと呼ばれ主にInfinity Cacheやバス幅64-bitのメモリーコントローラーが内蔵される構成になっています。

MCDについては通常版ではInfinity Cacheが96MBとなりますが、Infinity Cacheを縦に1枚重ねた3D V-Cache版も用意されるようで。こちらは192MBとなるようです。また、MCDはモデルによって容量が若干異なるようで、Navi 31の下位モデルではMCDが5基となり容量は80MBに減らされるようです。

リファレンスカードのデザインについてはファンを3基搭載され、電源は8pinを2口搭載されているため消費電力としては最大でも375Wとなるようです。

ちなみにAMDではInfinity Cacheについては最大288MBにまで増やす事も計画していたようですが、高コストが原因でお蔵入りになったようです。

Navi 32 (Radeon RX 7700系)

Navi 32は2023年に登場が予定されており、Navi 31のMCMを引き継いだ構成になっています。また、Navi 32についてはデスクトップ向けのみならずモバイル向けも計画されているようです。

  • コードネームはWheat Nas(直訳:小麦NAS?)NASサーバーのNAS?
  • チップレット構成はGCDを1基、MCDを4基(通常版のみ)
  • WGPを30基(Compute Unit換算で60基、7680基のコア)
  • Infinity Cache容量は通常版が64MB
  • バス幅は256-bit、VRAMはGDDR6
  • GCDはTSMC 5nmで製造。ダイサイズは約200mm2
  • MCDはTSMC 6nmで1基辺り37.5mm2

Navi 32については3D V-Cacheはコスト上の問題で搭載はされない見込みで、現行のNavi 22の96MBより小さなInfinity Cache容量になるようです。

Navi 33 (Radeon RX 7600系以下?)

Navi 33はミドルレンジモデルでの搭載が予定されているGPUで、2023年以降の登場が予定されています。Navi 33はNavi 31や32と異なり、モノリシックダイになり、Navi 23に対して基板上は互換性を有するためAIBでは低い開発費で製造が可能になっているとの事です。

  • コードネームはHotpink Bonefish(直訳:ホットピンクなソトイワシ目)
  • モノリシックダイ
  • WGPを16基(Compute Unit換算で32基、4096基のコア)
  • Infinity Cache容量は32MB
  • バス幅は128-bit、VRAMはGDDR6
  • GCDはTSMC 6nmで製造。ダイサイズは約203mm2

性能はNavi 31はNavi 21の2倍が限界?その代わり消費電力は350W程度?

Moore’s Law is Deadが各ソースに問い合わせたところNavi 31とNavi 33のパフォーマンスやその他情報について入手しているようです。

まず、Navi 31についてはパフォーマンス面では現行のNavi 21に対して2倍以上のパフォーマンスになるというリークがありましたが、実際には350Wを超えるようなオーバークロック無しではNavi 21に対して2倍以上のパフォーマンス達成は困難との事です。ただ、AMDはNVIDIAのGeForce RTX 4000シリーズに対抗するために350W近い消費電力を許容しパフォーマンスを優先する可能性もあるようです。

Navi 33については1080p解像度でNavi 21を超えるようなパフォーマンスになるとは考えられないとの事です。ただ、AngstronomicsによるとIntelのArc Alchemist最上位モデルであるArc A770を超えるようなパフォーマンスを半分の価格とより低消費電力で実現できると見ており、NVIDIAで言う所のGeForce RTX 3070以上の性能は見込めるようです。

AMDのRDNA3搭載のRadeon RX 7000シリーズはNVIDIAのGeForce RTX 4000シリーズに比べると期待値が低いようにも見られますが、性能と消費電力そしてコスト面で見るとNavi 31の競争力は相当高いようです。特にMCMを採用する事により、GPU機能を詰めたGCDはダイサイズが300mm2台、MCDは37.5mm2と非常に小さく1つのウェハーから取れるダイ数はNVIDIAに対してコスト面では圧倒すると見られています。AMDではこの高いコストパフォーマンスを武器にRyzenで行ったような価格破壊をGPU市場に起こす事が期待されます。

性能面ではNavi 21の2倍程度と見られているため、RTX 4090に比べると若干劣る可能性もありますが、消費電力は350W~400W程度と電力効率は高そうです。

AMDの話ではありませんが、ミドルレンジのNavi 33がIntel Arc Alchemistの最上位モデルを超えるような性能になるという事ですが、これが事実であればIntelのグラフィックス部門は2023年には相当苦しむ事となりそうで先行きが不安になります。一部では既に4500億円ほどの損失がグラフィックス部門によって出ているとも言われているのでIntelの経営状況を鑑みるとこれは非常に厳しそうです。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
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